第1幕
・創作です。
・実際の法制度を参考に作っています。ですので法の抜け穴を利用するシーンが出てきますが、問題点等を浮き彫りにするつもりはありません。
私が新聞社に勤務して10年。
三年目で身体を壊し、リハビリ部署である文化部と生活部を行ったり来たりする毎日である。
私は日々安定剤をのみ、なんとか正気を保っていた。時々療養中の同僚が奇声をあげて問題を起こす。なんと言うか不思議な職場だ。建物こそ大層で立派なオフィスで、その中では颯爽と人々が精力的に仕事をしていると思う。だが、実際はおよそ私も含めて大いに問題を抱えた人が社会参画の名を元に程度の差はあれ迷惑をかけながら生活しているのだ。
幸い私の体はそんな奇声をあげて上司に摑みかかるほど会社に酷使されなかったが、こんなふうになったのは、会社のせいだと私は思っている。
少なくとも救いのないクラッシャー上司の下についたためだと思っていた。その上勤務上、酷使されたことがあると思っている。このために精神病にかかり、この時に私のジャーナリスト人生は終わった。
そうして、今私は生活部記者としてリハビリ部署で過ごしている。
時々一年目で知り合った同業の記者島津と飲む。島津も同じようなものであった飲むというのもお酒ではない。ジュースだ。
二人とも飲んでいる薬が影響して酒は飲めない。 お互い同じように会社にすり潰された仲間だ。そんなわけで2人とも気心はしれている。
島津「吉井さんは今どんな感じなんだ?」
吉井「1日に3-4個かな。取材して帰って来てだいたい半分ぐらいは暇しているよ」
島津「うちもそうだな。早く復帰したくて朝早くから取材と記事を作るわけだけど、実際には締め切りからはるか早くにできてしまうし、逆にできなくてもドサ回りをしていたときに比べれば上司もあまり言わないから、こちらも楽な仕事よ。明日も同じところで聞き取りするんだろ?」
吉井「島津さんが先だったけ?僕が10時にいって1時間ほどか。同じ商品を違う日で書くのも変なものだ。」
吉井「まあ、他社の記者である以上しょうがないところか。まあ、明日もよろしく。」
そういって島津とは分かれた。
この時はただの負け組同士の話し合いに過ぎなかった。ただ、競争に負けこのままくすぶり続けることを受け入れて2人だった。
細く長く続けられるといいなと考えています。