ナイトバトル1
「考えれば、考えるほどわからない」
全員から情報を集めたものの、疑問が増えるばかり。
しかも考えれば考えるほど、頭を使いすぎて眠くなる。
「そろそろ、寝るかな」
現実世界なら営業終了にとなる時間だが、魔法生物はウロウロしていた。数はかなり減ったように見える。
『その先に三角印良品がありますよ。店舗面積が大きいので、展示用のベッドとかあります』
「え、売り物に寝ても大丈夫なのか?」
『グランドマスターから許可が出てます』
「それなら大丈夫か」
「大丈夫じゃねぇよ……」
反対する声があがった。
「隼兎」
目的地である三角印良品前には隼兎がいた。
いや、隼兎だけじゃない。琴子さんや恵凜先輩。生徒会長にhodakaさんや衣聖羅さん、吹田まで。
つまり全員がいた。
「三角印良品の展示ベッドで寝ようと思っているようだけど、俺たちもそうだ」
皆、考えている事は同じらしい。
『マスター、三角印良品にはダブルサイズが1台シングルサイズが2台あります』
「ダブルベッドがあるのか」
「しかもテレビ付き」
じゃーんと琴子さんが両腕を伸ばし展示方向に向ける。
テレビボードに雑貨を置いた棚。くつろぎの空間をイメージした部屋は自分のより立派なものであった。
「もちろん、君もダブルベッドだろう」
うなづく俺を確認してから、生徒会長は続けた。
「そちらの女性以外は皆、ダブルベッドを狙っている」
「え、hodakaさんはダブルいらないんですか?」
相棒カヴィーリアと同じ格好のままで目のやり場に困るhodakaさんを見ると、ふぅとため息をついた。
「家具の配置とか気になっちゃってね。ましてや大手メーカーでしょう。あれやこれと考え過ぎて眠れなくなっちゃうのよ」
「職業病ね」
彼女がインテリアコーディネーターだと知っている衣聖羅さんは相槌を打ち、疑問を口にした。
「なのにバトルには参加するの?」
「まあね」
hodakaさんの視線はなぜか俺に向いている。
「1番とったら、りっちゃんにあげるわよ」
「りっちゃん……」
親しげな呼び方と特別発言に周りの視線が俺に集中した。
「もちろん、条件付きでね」
「踝ですね」
変な関係に誤解されないように部位を強調したが、わかってくれたのだろうか……hodakaさんの好きなものを知っている衣聖羅さんのフォローを期待したが、ニヤニヤ笑っているだけだった。
「自分で1番を取るから大丈夫です」
「強気ねえ」
発言とは逆に視線を地面に向け、琴子さんの表情の変化を見ないように背けた。
「全員でバトルという趣向も良いものだ」
生徒会長の声が聞こえる。
「………」
でも少し気になる……おそるおそる視線を上げてみる。
「じゃあ店員さん、呼んできます」
しかし見えたのは、店の奥に駆けていく琴子さんの後ろ姿だけだった。
「全員って事は、魔法使いとも?」
話題と視線も、発言した吹田と魔法使いに進んだ。
「魔法使い」
その言葉に皆が皆、周りに視線を向ける。
「いいんじゃないのかい、魔法使いは」
少し重くなった空気を生徒会長が取り除いた。
「今は夜。魔法使いよりも、寝床争奪戦が最優先というものだ」
皆がうなづいた所で琴子さんが三角印良品の店員を連れて戻ってきた。
いつもの表情で




