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11話

私が感じていた「甘いものに対する欲求」は妖精の特性のようだ。

 だよね!じゃないとあれだけ甘さしかないようなパンケーキを完食出来はしなかったさ!


「今朝のパンケーキは甘かったでしょう?あれは、リタが用意したんです」


なんと。リタちゃんの手作りだったか。

 

「リタは料理全般の味覚は正常なのですが、こと菓子になるととたんに甘みが過剰になるのです。妖精のあなたになら喜んでもらえると思って用意したのですが」

「あ、はい。甘くて美味しかったです。でもシドさんが作ってくれたこのクッキーも美味しかったですよ」

「それは嬉しいです」


嬉しそうにシドさんがにっこり。釣られてわたしもにっこり。


「……」


またもや仲間はずれにされたとでも思ってるのでしょうか。ジェイドの視線が痛いです。仲間に入れて欲しいのならシドさんのスマイル見習わなくちゃね!


「……そろそろ、契約の話をしても?」


あぁ、そういえばそんなことも言ってましたっけね。

名前と契約がなんちゃらかんちゃらと。


うん?覚えてましたよ?


「あ、はい」


拾った猫のように名前をつけられることになるのかしら。ドキドキ


「色々省くが……“名前“は妖精が成長するに連れ自然に得る。だが、ヒトとの“契約“によって名を与えることでその存在を固定させるんだ。若い妖精は名も持たず状態も不安定だからな。こういった手段でその存在を確立させている。まぁ、名を持った契約していない妖精ももちろんいるし、名を持ったあとに契約する妖精もいる」


そこまで言って、こちらに「どうする?」と尋ねるような視線を向けてくる。


「なるほどです。名前はともかく契約は……うーん。まだあまりこちらの世か……じゃなくて生まれたばっかりですし」

「お前は他の妖精と違うしな……。無理に契約する必要はないが、名前は必要だろうな――…」


こちらの世界に来たばかり、と言いかけた。なんだかすらっと出ちゃいそうで気をつけないと。


うーん。名前、かぁ。

自分でつけれるのなら、そりゃもう可愛い名前をつけるんだけどなぁ~。


名前名前……むむむむむ。

暫くうなっていると、ふと。浮かんでくるものがあって口からぽろっとこぼれてました。


「“アーシェスタ“」


あり?

なんだかわからないけど、ぽこんと浮かんできたのですが。

もしや、これって私の名前ですか?


「アーシェスタ……それがお前の名前か……?」


とりあえず、そうらしいので頷いておく。

ジェイドが呆れたような目で見てくる。そんなふうにみられる事言った覚えないよ!


「生まれてすぐ自分で名前を得るなど、本当に非常識なやつだなお前は……」


あれれ、おにーさんなんだか口調が乱暴になっておりませんこと?もしかしてこっちが素ですか?


まったく。さっきから特殊だとか非常識とか言いすぎですー。

失礼ですよーまったくー。これだからイケメンはー。


「とりあえず、名前も得たことだしこれからのことだが――――」


と、何かを言いかけたのに急に眉を潜めてなにか苦いものでも飲み込んだかのような顔をしているジェイド。

ん?どうしたのでしょ?


その原因はすぐにわかった。

ゴゴゴゴゴという轟音とともに、屋敷に振動が伝わってくる。


これは地震か!?と日本人の骨髄反射的にどこか隠れる場所を探してしまったが、目の前のふたりは落ち着き払ったもの。ふたりとも諦めたかのように溜息をついてたり首をふってヤレヤレとやっていた。


この音の原因に心当たりがあるみたい。


段々と近づいてくる音とともに屋敷に伝わる振動も半端ない。


「あわわわわわわ」

「大丈夫だ、そのうち収まる」


その言葉とともに轟音はぴたりと止んだ。


そして、


「ふぅん?お前がそのへんちくりんな妖精か?」

「誰がへんちくりんかー!」


耳のすぐ後ろから声がしたかと思うと、暴言を吐かれてしまった!なんなんだこいつらはー!

失礼なことばかり言いやがる。がるるるる。


へんちくりんと言われて噛み付きそうな勢いで声のする方に振り向いたら、そこにいたのは。


見るからに鍛えられた体に、視界いっぱいに映る黒い色。

赤茶けた髪を短く切りそろえているが、後ろだけ長くたらして一つにくくっていた。

浅黒い肌と、髪と揃いの瞳。全体的に暗い色合いの中、両耳には金色の大きめなピアスが輝いていた。


彼は私と目が合うと、野性味のある瞳を細め口元をニヤリと歪めた。


わざわざ大きな体を屈めて座る私のうしろから声をかけたらしい、野性的な風貌を持つ新たなるイケメンの出現でした。

ワイルド系です。今更ですが逆ハー路線です!

こちらの更新もそうですが、もう一作のほうも更新しております。ジャンルがだいぶちがいますが……。ヤンデレ耐性あるかたはよろしければ。

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