続きだよ!三回連続でドーン!でドーン!
闘技場。
観客席は満員になり、イバノバイ中から集まった人々の歓声が響き渡る。
中央の舞台。
司会者が高々と声を張り上げた。
司会者:「改めて!」
司会者:「この武闘会のルールについて説明いたします!」
会場が静まり返る。
司会者:「その一!」
司会者:「殺しはなし!」
観客席から歓声が上がる。
司会者:「その二!」
司会者:「どちらかが降参!」
司会者:「または範囲から出て、地面に着地した時点で――」
司会者:「強制的に降参となります!」
司会者:「その三!」
司会者:「本気でやること!」
その言葉に、参加者たちの空気が変わる。
冗談半分で来た者。
腕試しに来た者。
本気で優勝を狙う者。
それぞれの覚悟がぶつかる。
司会者:「以上!」
司会者:「今回はトーナメント形式でやらせてもらいます!」
掲示板が魔法によって浮かび上がる。
参加者名簿が表示される。
司会者:「参加者は――」
司会者:「全員で36人!」
観客:「おおおお!!」
司会者は中央へ向かって手を伸ばす。
司会者:「それでは……。」
一瞬の間。
司会者:「武闘会!!」
司会者:「スタート!!」
大歓声。
戦いの幕が上がった。
マサムネは木刀を握り直す。
マサムネ:「……。」
周囲を見る。
36人。
その中には、明らかに普通ではない気配を持つ者もいる。
:ロインは観客席から声をかける。
:ロイン「頑張ってきなさいよ。」
マサムネは振り返り、笑う。
マサムネ:「ああ。」
一方。
別の参加者席。
シエル――デイルも静かに立っていた。
デイル:(36人。)
デイル:(優勝賞品の確認。)
デイル:(そして……。)
視線をマサムネへ向ける。
デイル:(監視対象の実力確認。)
そして。
第一試合の組み合わせが表示される。
巨大な魔法板に文字が浮かぶ。
第一試合――
マサムネ VS ―――
会場中の視線が中央へ集まった。
魔法掲示板に文字が浮かび上がる。
司会者:「第一試合!」
司会者:「マサムネ選手の対戦相手は――」
一拍置き、大きく叫ぶ。
司会者:「マグロク!!」
会場がざわめく。
観客A:「おい……マグロクっていえば……。」
観客B:「あぁ……。」
観客B:「前回武闘会の優勝者だ……。」
観客C:「お相手さんは負けだなぁ……。」
観客D:「あの巨体から繰り出される一撃は化け物だぞ。」
観客E:「初参加でいきなりマグロクか……運が悪すぎる。」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
やがて、選手入場口が開いた。
ドシン……。
ドシン……。
一歩踏み出すたびに地面がわずかに揺れる。
現れたのは、二メートルを優に超える大男。
全身を覆う鍛え抜かれた筋肉。
肩には巨大な木製の戦棍。
顔には歴戦の戦士らしい傷跡。
マグロクは闘技場の中央へ立つと、腕を組んだ。
マグロク:「……。」
観客席から大歓声が巻き起こる。
「マグロクー!!」
「二連覇だー!!」
「ぶっ飛ばせー!!」
一方のマサムネは、その姿を見ても表情を変えない。
木刀を肩へ担ぎ、ゆっくりとリングへ歩く。
マサムネ:「なるほど。」
マサムネ:「最初から大物か。」
観客席ではロインが苦笑する。
:ロイン「いきなり前回優勝者なんて……。」
:ロイン「くじ運、本当に悪いわね。」
少し離れた参加者席。
デイルは静かに二人を見比べる。
デイル:(前回優勝者……。)
デイル:(いきなり実力が見られるな。)
闘技場には、試合開始直前の緊張が満ちていた。
マサムネは闘技場の中央まで歩くと、目の前の大男を見上げた。
マグロクの影が、自分の足元まで伸びる。
マサムネは木刀を肩に担いだまま、小さく笑う。
マサムネ:「でかいねぇ……。」
頭のてっぺんから足先まで眺める。
マサムネ:「こんなデカいのを相手にするのは、いつ以来かな?」
少し昔を思い出すように目を細める。
マサムネ:「その時は人間じゃなかったけど。」
六房ではなく、今は木刀を軽く握り直す。
マサムネ:「人間相手なら、こいつが一番でかいな……。」
マグロクはその言葉を聞き、低く笑った。
マグロク:「ほぉ。」
マグロク:「怖がらねぇのか。」
マサムネ:「怖い?」
肩をすくめる。
マサムネ:「いや。」
マサムネ:「大きい相手ってのは、狙う場所が分かりやすい。」
マグロクはニヤリと口角を上げる。
マグロク:「面白ぇ。」
マグロク:「その減らず口が、試合の後も叩けるといいな。」
観客席からは、
「マグロクが笑ったぞ!」
「珍しい!」
という声が上がる。
:ロインは腕を組みながら苦笑した。
:ロイン「開始前から挑発し合ってる……。」
少し離れた場所で見守るデイルは、そのやり取りを静かに観察する。
デイル:(相手の威圧感に飲まれない。)
デイル:(……精神力も相当高いな。)
その時。
審判が二人の間へ歩み出る。
審判:「両者、構え!」
会場全体が息を呑んだ。
闘技場の中央。
両者は向かい合う。
マサムネは木刀を肩に担いだまま、不敵に笑う。
マサムネ:「さて……。」
マサムネ:「どんな相手かな?」
マサムネ:「前回優勝者ってのは伊達じゃねぇだろうな?」
口角を上げる。
マサムネ:「ワクワクさせろよ?」
その言葉に、観客席がざわつく。
観客A:「あいつ……。」
観客A:「前回優勝者相手にあんなこと言ってるぞ。」
観客B:「肝が据わってるのか。」
観客B:「ただの馬鹿なのか。」
マグロクは鼻で笑う。
マグロク:「フッ。」
巨大な肩を鳴らしながら答える。
マグロク:「まだそんなことを言えるのは……。」
マグロク:「今だけだぜ?」
そう言うと――
コキッ。
コキコキッ。
首をゆっくり回す。
続いて肩。
肘。
手首。
腰。
膝。
足首。
一つ一つ丁寧に関節をほぐしていく。
観客の一人が思わず呟く。
観客C:「マグロクだ……。」
観客C:「ちゃんと準備運動してる。」
観客D:「相手を格下だと思ってない証拠だ。」
観客E:「本気で潰しに来るぞ……。」
一方。
マサムネも木刀を一度地面へ立て、軽く肩を回す。
腕を伸ばし、
足の感覚を確かめる。
マサムネ:「……。」
マサムネ:「よし。」
木刀を握り直す。
その瞳には、ただ純粋な高揚だけが宿っていた。
観客席。
:ロインは小さく息を吐く。
:ロイン「……二人とも。」
:ロイン「試合前なのに、楽しそうね。」
そして。
審判が右手を高く掲げた。
審判:「――始めっ!!」
開始の合図が、闘技場中に響き渡った。
開始の合図と同時に――
ザッ。
マサムネは一歩だけ前へ出る。
しかし、それ以上は踏み込まない。
木刀を肩の高さで構え、相手をじっと観察する。
マサムネ:「さて……。」
視線は一切逸らさない。
マサムネ:「まずは様子見か……。」
マグロクの足運び。
重心。
呼吸。
肩の力の入り具合。
全てを見極めようとする。
マサムネ:「相手が――」
マサムネ:「スピードタイプか。」
少し間を置く。
マサムネ:「力任せタイプか……。」
観客席からは、
「動かないぞ?」
「様子を見てるのか?」
と囁き声が上がる。
一方、マグロクも不用意には動かなかった。
マグロク:「……。」
大男とは思えないほど静かに構えを保つ。
デイルはその様子を見て、小さく分析する。
デイル:(互いに初手は探り。)
デイル:(相手の癖を見るつもりか。)
:ロインも腕を組んで見守る。
:ロイン「慎重ね……。」
闘技場には一瞬、静寂が訪れる。
観客たちは固唾を呑み、
最初に動くのはどちらかと息を潜めて見守っていた。
闘技場に緊張が張り詰める。
マグロクは微動だにしない。
その巨体とは裏腹に、視線だけが鋭くマサムネを捉えていた。
(心の中)
見られているな……。
ここで不用意に行動するのは得策ではないが……。
わずかに口元が上がる。
少し……嘘もついてみるか。
次の瞬間――
マグロク:「墳ッ!」
ドンッ!!
右拳が勢いよく闘技場の地面へ叩き込まれる。
バキィィィィッ!!
石畳が粉々に砕け、
蜘蛛の巣状の亀裂が一気に広がる。
砕けた石が宙へ舞い、
砂煙が立ち上る。
観客席がどよめく。
観客A:「うおおっ!!」
観客B:「相変わらずの馬鹿力だ!!」
観客C:「あれが前回優勝者……!」
しかし。
マサムネは一歩も動かない。
砂煙の向こうをじっと見つめている。
マサムネ:「……。」
そして、小さく笑う。
マサムネ:「なるほど。」
木刀を肩へ戻しながら呟く。
マサムネ:「フェイントか。」
観客席から「え?」という声が漏れる。
マサムネ:「俺に見せたいのは。」
マサムネ:「"力任せの戦士"って印象だろ?」
マサムネ:「でも。」
口元が少しだけ上がる。
マサムネ:「そんな簡単な話なら。」
マサムネ:「前回優勝なんてできねぇよな?」
砂煙の奥。
マグロクもニヤリと笑った。
マグロク:「……。」
マサムネは木刀を構え直す。
マサムネ:「いいねぇ。」
マサムネ:「ワクワクしてきた。」
観客席のロインは思わず苦笑する。
:ロイン「開始一分もしないうちに、心理戦になってるじゃない……。」
少し離れた場所では、デイルも目を細めていた。
デイル:(単純な怪力型じゃない。)
デイル:(そして、マサムネもそれを見抜いたか……。)
マサムネVSマグロクの戦いはまだまだ続く!




