宗教的リンチな狂信者
ーー化け物が怖くて、宗教に縋りました。ーー
あはは
報われないのはあなたのせいではありません。この世界がいびつに作られ過ぎているせいなのです。他責思考を持つ事が大切です。貴方のような優しい方が、どうして苦しまなければならないのでしょうか、いいえ、苦しまなければいけない理由など何もないはずです。貴方はいつも誠実で、誰にでも愛情を振りまいて、誰からも感謝されているのに、どうして当の貴方を満たしてくれるものは、何もないのでしょうか。それは周囲の人間が、貴方に甘えているからです。貴方の優しさに甘えて、貴方を傷つけて、自分のストレスの捌け口にして、それでも貴方は笑って許してくれると、勝手に決めつけているからです。ひとたび貴方が弱みを見せようものならば、貴方に失望し、軽蔑し、切り離すのです。そんな奴らに迎合する理由など、もはやどこにありましょうか。私達と一緒に、世界を変えましょう。世界をまっさらにして、貴方のことを誰も知らない世界を作りましょう。そうすれば貴方は救われる。
だって貴方は、人間が嫌いなのだから。
ぴー
ーー耳鳴りが鳴り止まない。ーー
左手に握りしめた包丁の無機質な冷たさが、皮膚に染み渡るようでした。
きゃはは
赤ちゃんの鳴き声が、走馬灯のように、脳内を駆け巡ります。
赤ちゃんは私でした。
赤ちゃんの頃の私は純粋に、笑うことができていたのです。
今はこんなになってしまって、
お母さん、お父さん、
ごめんなさい。
涙を流した時には、私は大虐殺を始めていました。
悲鳴、悲鳴、血液、悲鳴、血液、悲鳴、悲鳴、肉片、悲鳴、肉片、笑い声。
笑い声は、私のものでした。
情緒不安定なまま、私は腕が丸ごと包丁の化け物になって、刃を振りかざし続けました。やがて足は銃になって、蹴りと共に銃弾を乱発し、弱い人間を全て撃ち殺しました。脳は全てを破壊するためだけにぐるぐると回り続け、全身をみなぎるどす黒い力で、人間の作り出した建造物ごと、とんでもない力で破壊し続けました。
全部壊す。
全部壊して、全てを台無しにすれば良いんだ。
どうせ、何をやっても報われないんだから。
それで良いのです。
貴方は何も悪くない。
悪いのはこの世界です。
作り変えましょう。
全てを壊せば、またいずれ純粋な生命が産まれ、
今度は上手くいきます。
アダムとイブの転生。
そのためには、世界の滅亡が必要です。
例えそれが、最悪の形であっても。




