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第85話 迷子の小妖精

 ネベルとデルンは手分けして牢屋の鍵を探した。しかしどんなに探しても、クローン兵の死体からそれらしい物は見つからなかった。


「フリーク、なんで炎魔法なんか使ったんだ。こう煤だらけじゃ探しにくいし。それに鍵ももしかしたら、燃え尽きてしまったかもしれない」


「ハハハ……、申し訳ありません」


 すると、デルンもクローン兵士の服を探りながらこう言った。


「ですが、どうしましょうネベルさん。鍵が見つからないと、牢から出られませんよ」


「ああ……」


 その時、牢屋の外を見張っていたマックが、ダイバー達に小声で注意を促す。


「ビークワイエット! 誰か近づいてくる」


「えっ マズイじゃないですか」


 そう言った望の視線の先には、未だ三体のクローン兵士の死体が転がっている。


「ちくしょー。あれだけ騒いだら、そりゃあ見つかるよな」


「つべこべ言ってないで、早く隠すです!」


「でもさでもさっ 一体どこに隠せばいいんだよぉ~」


 こんな狭い牢屋の中では、都合のいい死体の隠し場所など存在しない。仕方がないのでダイバー達は、動かないクローン兵士を牢の奥の方へと積み重ねた。そして外から死体が見えないように、自分達が前に並んで立ち壁代わりとなった。


 下手な事をすればまたレーザーライフルで攻撃されかねない。「どうか見つかりませんように」彼らはそう祈りながら、ただクローン兵が過ぎ去るのを待った。


「うへ~ん。みんなー、どこぉー?」


「あ? お前、なんでそんな所にいるんだ」


 ネベル達のいる牢の外を通り過ぎたのは、銃を持ったクローンではなく小さな妖精だったのだ。


「ん? ……ああッ、ネベルいたぁ!!! もー、わたしがどれだけ探し回ったと思ってるのよ。プンプン」


「姿が見えないと思ったら、まさか今までずっと、革袋の中で寝てたのか?」


「そうだよ? なんだか怖い音が聞こえたんだもん。 でも、起きたら誰も居ないんだもん。もう酷いよー。わたしだけ抜きでおしくらまんじゅうごっこをしてるなんてさー」


 ピクシーは狭い牢の中で密集しているネベル達を見るとそう言った。


「いや、これはさー……」


 ネベルは彼女に、自分達が敵に捕まっているのだと懇切丁寧に説明した。


 その後マックは、牢の外にいるピクシーにこう尋ねた。


「さっきまで君の眠っていた部屋というのは、もしかして守衛室なんじゃないかい」


「しゅえいしつ? よくわかんなーい。あー、でもそこに倒れてる人達と同じ見た目の人がいたよ。ここ真っすぐ行って曲がったとこ」


 それを聞くとフリークは頷いてみせた。


「ええ、おそらく守衛室で間違いないでしょう。私がクローン兵に連れていかれた時もそこを通りましたから」


 するとマックはこう言った。


「ヘイ、君にお願いがある。守衛室に行って、ここの牢屋の鍵を探してきてくれないかい」


「ははは。そんな事ならお安い御用だとも~」


 そう言うとピクシーは勢い勇んで元来た方向へと飛んで行った。



 ピクシーは自在に姿を消す事ができる。なのでクローン兵の見張りがいても、楽々と鍵を奪うことが出来た。


「どうネベル? わたし凄いでしょ! えっへん」


「はいはい。 よく出来ましたっと」


「にへへ~。やっぱり? まあ、わたしってば天才妖精だもんね」


「フン……(ちょろ」


 そしてピクシーが手に入れた鍵で牢から脱出したダイバー達は、基地の構造を少しだけ知っているフリークとピクシーの案内で、自分達の押収された荷物のある保管室へと向かった。


 保管室にたどり着き、各々が自分の装備を身に着けた。

 そしてダイバー達は今後の作戦について話し合った。


「ここに捕まってる獣人族の人たちを放っておくわけにはいかないよね」


 望がそう言うと、デルンがこう答えた。


「そうですね。ですから僕たちがやらなくてはいけない事は大きく二つあります。一つはここで働かされている捕虜達の開放。もう一つはこの基地の破壊です」


「破壊だって? オイこらデルン。なんでそんなメンドイ事までしなくちゃならないんだ。ただ、獣人族を連れて、逃げればいいだけだろう」


「忘れたんですか。奴らがここで作っている原子移動装置(テレポーター)が完成してしまったら、バルゴンさんのケイブロングヴェルツが攻め落とされて、大変な事になってしまうんですよ。何としても阻止しなくてはなりません」


「う、ううん……。そうだな。それにバルゴンの奴も解放してやらなきゃ」


「はい、そうです」


 催眠電波に操られダイバー達を気絶させたバルゴンは、その後もクローンの機械に操られたまま他の捕虜たちと同様に鉱石の採掘や機械の組み立てをさせられていたのだ。


 デルンの話を聞いたマックはこう言った。


「すると、チームを二つに分けた方がいいよね」


「はい。どちらにも機械に詳しい人はいるべきでしょうから、マックさんとキャンディは分かれてくださいね」


「分かったです」



 そうしてダイバー達は二手に分かれて行動を開始した。

 陽動作戦のAチームと救出作戦のBチーム。


 ネベルはもちろん、(A)暴れるチーム担当だ。

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