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DareDevil Diver 世界は再起動する  作者: カガリ〇
血塗られた秘密
79/120

第79話 勇者

 人間族とは神の寵愛を受けた種族であった。正し、その愛には偏りがあった。


 基本的に人間族とは、魔力も無ければ腕力にも乏しい非常に脆弱な種族である。

 しかし彼らの中には()()()()という特殊能力を与えられた者がいたのだ。


 脆弱な人間族の社会はその優れたタレント保持者を中心に回っており、他を貶める厳しい階級制度がそこにはあった。



 人間族たちに底なし沼から助け出されると、一目でフリークは彼らが只者ではない事に気が付いた。


 三人組はまるで貴族が着るような豪華で立派な鎧やローブを身に着けていた。

 しかし貴族であれば居るハズの護衛の従者は見当たらない。

 彼らは、各々の防具に見合うだけの高い実力を持っていたのだ。


「アベルっ どうしてこんなの助けたのよー。ハイエルフなんてプライドが高いだけでロクな奴がいないのよ」


 そう言ったのはコーラスという勇者パーティの女魔法使いだった。

 燃えるような赤い瞳と赤いポニーテールを持っており、彼女はウッドエルフと人間のハーフだった。


「ん……アベルのする事なら正しい。と、わたしは思う」


「あーっ そうやって、またアベルに(こび)うるつもりねミナ。抜け駆けは許さないんだから!」


「ん……何を言ってるのか分からない。でも、同衾は早いもの勝ち」


「ええッ! そんなミナったら…、ハレンチよっ!?」


 そう言いながらコーラスはぽっと顔を赤らめた。

 ミナは西の商業組合出身の神官だ。彼女は聖職の身でありながら、頭の中は常にどすけべえっちな妄想で一杯らしい。


 そんな二人を見て、勇者アベルは朗らかに笑った。


「あっはっは! 相変わらず二人とも仲いいなぁ!」


「「どこがよ!」」


 コーラスとミナは、思わず息を合わせてアベルにそうつっこんだ。


「あはは! やっぱり仲良しじゃないか」


「ん……笑いごとじゃない。わたし達はあなたの事で話し合ってる」


「ああ、そうだったね」


 するとアベルはフリークに手を差し出してこう名乗った。


「ボクの名前はアベル・グラジオン。この二人と一緒に魔王の城まで旅をしてる途中なんだ。いわゆる勇者って奴だよ。それでさ、もし良かったら君の事も教えてくれない?」


「はい、そうですね。どうも、沼にはまっていた所を助けて頂いてありがとうございました。私はフリークといいます」


 フリークは敵対心を持たれないよう、勇者達に丁寧な言葉で自己紹介をした。


「そうそれだよ、フリークはエルフなんだよね。土いじりが大好きなドワーフならともかく、綺麗好きなエルフがこんな暗くて鬱蒼とした森の中で沼にはまっているなんて、少し変わってるよね」


「……それがどうかしましたか。変わってるというのはよく言われますよ」


「あっ、ごめん。悪くいうつもりはなかったんだ。ただボクは、君が困っているなら何か力になりたいと思ったんだ。本当にそれだけだ」


 普段なら出会ったばかりの他人に、自分のことを明け透けと話したりはしない。

 しかしこのアベルという人間族からは、思わずこちらが心を許してしまうような特別なな力を感じたのだ。


「そうでしたか。実は…」


 フリークは自分が千年草を取りに来た経緯をすべて話した。

 そしてアベルはフリークの話を聞き終えると、彼にこう言った。


「そうか。じゃあ早速その千年草を取りに行こうぜ!」


「はい? いや、でも貴方には関係なくないですか?」


 それを聞くと、アベルは朗らかに笑ってこう言った。


「あっはっは。何言ってるんだフリーク。お前もこの世界の為に動いているんだろ。だったら、ボクたちはもう仲間だよ」


「…………はい?」


 彼の発言は少しこじつけが過ぎていたが、それを理解出来ていないのはこの場でフリークただ一人だった。


「あーあ。また始まったよアベルの悪いくせ。ま、いいんだけどねっ」


「ん……そういう強引な所も、好き」


 アベルはこのようにして、今までの旅の道中でも多くの人を助けて来たのだった。


 そしてアベルは最強だった。

 彼に与えられた特殊能力(タレント)は【すべての攻撃などが必中でクリティカル】といった。

 また彼は5属性のすべての大精霊と契約を交わしているため、全ての魔法がノーリスクで扱えたのだ。

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