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DareDevil Diver 世界は再起動する  作者: カガリ〇
豪傑たちの伝説
74/120

第74話 地下洞窟の秘密

 狐人族(フォックスマン)犬人族(ウェアドッグ)蜥人族(リザードマン)猫人族(ケットシー)。それにドワーフやエルフまでもが、首輪をつけられクローン兵士の労働力となっていた。


 暗黒洞窟から続く通路の脇からこっそりと見下ろしただけでも、およそ40人は捕まっているのが分かった。彼らは鉱石を掘ったり、何かの機械を組み立てているようだ。

 同族が傷つけられるのを見て、フリークとバルゴンはそれぞれ苦々しい顔を浮かべた。


「おい、あれを見ろ」


 そう言ってディップは通路の端の方をさし示した。そこにはちょうどよく他の誰にも見られないような隅っこの場所に、クローン兵士が一人でポツンと立っていた。

 ネベルはそのクローン兵士を捕まえると、ダイバー達の元へと連れ帰った。そしていつか黒魔法使いにやったのと同じように、エクリプスの刃を喉元に当てクローン兵士を脅しながらこう言った。


「お前らはここで何をしてたんだ! さあ言え」


「…………」


 しかしそのクローン兵士は、まるで大型刀剣で切り裂かれる事など恐れていないといった様子だった。


「作り物の命である彼らは死など恐れませんよ。私がやります。どいてください」


 するとフリークは、クローン兵士の頭に手を置き呪文を唱えた。


「……深き謎を明かせ、コードアンセム」


 クローン兵士は意識を失った。そしてフリークの頭の中に、クローン兵士の持つ情報が流れ込む。


 そして全ての情報を読み取ると、フリークは深刻な表情でこう言った。


「これは……とても大変な事になりました。もうすぐ戦争が始まります」


「な、な、な、なんじゃとぉぉぉおおお?!!???!」


 それはロワンゼットが仕組んだ20万の軍勢がドワーフの国に向かって攻め込んでくる計画の事であった。

 ケイブロングヴェルツに住むドワーフは多くて4万人くらいだ。まともにぶつかってはとても太刀打ちなど出来ない。


 この場所で、クローン兵士達が獣人族の奴隷を使って行っていた事は主に二つあった。

 ドワーフ達に隠れてリ・ケイル山に眠る貴重な鉱石を横取りし、兵士に持たせる兵器の材料を採取していたこと。もう一つは、大群が奇襲できるような大型の原子移動装置(テレポーター)の建設である。

 暗黒洞窟からまとまった軍を出撃させられるようになれば、西側の〈ガブリエル〉とで、ケイブロングヴェルツを挟み撃ちにできるというわけだ。


 この恐ろしい計画を聞いたダイバー達は、もはや宝探し気分など何処かへすっ飛んでしまった。

 事態は極めて深刻であり、既に後戻りの出来ない段階まで進行していた。


「どうやら、とんでもない事に巻き込んでしまったようじゃな」


 そう言うとバルゴンはふと自分の戦斧を取り出した。


「すまなかった。今の内に、おぬしらだけでもここから逃げてくれ!」


「バルゴンさんは?」


「わしは、ちとひと暴れしてこよう。もう一秒たりとも、ドワーフの仲間達があんな扱いをされるのが許せないのじゃ」


 その時の彼の瞳には、普段の穏やかなバルゴンからは想像もつかない激しい怒りが宿っていた。


「お前だけズるいぞ。俺も戦う」


「しかし…」


「フッ、ちょうどいい機会だ。今度こそ奴らに一泡吹かせてやるぜ」


 ネベルは白絹の森での一件で、あのような形でまんまと班目マダムに逃げられた事を根に持っていた。だからこのように、クローン兵士やコードブレイン社に仕返しのできる機会を待ち望んでいたのだ。


 バーンズ兄弟もエナジーライフルを構え、戦いの準備はバッチリだ。


「僕たちも戦いますよ。バルゴンさん一人をこんな所に置いていけるわけないじゃないですか」


「オイこら。しらけた事言うなよな。俺たちもう仲間だろ?」


「おぬしら、かたじけない!」


 バルゴンがそう言うとダイバー達は力強く頷いた。



 そのころ、双眼鏡で階下の獣人奴隷たちの様子を探っていたキャンディは、とある異常に気が付いていた。


「フリークさんっ」


「はいはいフリークですよ」


「ちょっと、あそこを見てくださいです」


 フリークはキャンディから双眼鏡を受け取ると、クローン兵士にバレないようにそっと通路から身を乗り出した。


 下層の獣人族やドワーフは、一切不平をもらさず黙々と鉱石の採掘などをしている。

 しかしキャンディがさし示した先にいた狐人族(フォックスマン)の様子は、他とはだいぶ違っていた。その狐人族(フォックスマン)だけは何もせずただその場で立ち止まっていた。と思いきや、次の瞬間、彼はまるで気が狂ったかのように叫び出したのだ。


「ぐあぁつ もう止めてくれ! ここから出してくれ!」


 苦しそうに頭を抱え、しまいにはツルハシをもって暴れ出した。

 それに気づき、武器を持ったクローン兵士が彼に近づいていく。


 だがその直後、先ほどまで暴れ狂っていた狐人族(フォックスマン)は落ち着きを取り戻していた。

 そして、命令された作業へと戻っていったのだ。



 キャンディが、突然暴れだし突然元に戻る不思議な人を見たのは二回目だった。


「どう思いますか?」


「うーん。妙ですね」


 クローン兵士が武器を持っていたとはいえ、あれほど興奮状態にあった狐人族(フォックスマン)の男が急に従順になったのは不自然だ。

 それに周りにいた獣人族の中に、狐人族(フォックスマン)を気に留めようとする者が少しもいなかったのもおかしい。


「まるで人が変わったようでしたです」


「なんですって? まさか……!」


 ―捕まっている奴隷たちは洗脳されているのではないか―


 この洞窟の何処かにも、洗脳電波を放つ機械が設置されてる可能性がある。


 しかしフリークがその可能性に気付いた時には、既にバルゴンは下層で働くドワーフ達のように洗脳電波の影響下に入ってしまっていたのだ。

 ダイバー達は一瞬のうちに気絶させられ、牢屋の中へと連れていかれた。

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