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第63話 三度目

「オイこらてめぇ、いい加減しつこいんだよッ!」


 ディップはエルダーリッチ目掛けてエナジーライフルを乱射した。

 この銃は〈サキエル〉で使長にもらったカスタムモデル((γタイプ‐2))だ。威力や連射速度重視の改造がされていた。


 剣や王杖には当たるものの、エナジー弾はエルダーリッチの身体をことごとくすり抜けていってしまう。

 それを見る度に、リッチは骨をカラカラと鳴らして、こちらをあざ笑っているようだった。


「はぁ、ぜんぜん手ごたえねえぜ。オイこら作者!この話、エナジーライフルが効かない敵多すぎじゃないか?」


「に、兄さんっ そういう事は言ってはいけません!」


「チッ…… てか、コイツはそもそもなんなんだ」


 それを聞いたネベルはこう言った。


「アイツは死霊系モンスターだ。魂を集める習性があるエルダーリッチにとって、この渓谷はいい狩り場なんだろ」


「くそー。俺たちも殺して幽霊にする気なのか」


「そ、そんな~! おれ、そんなのヤダよぉッ?!」


 悠長にそんな事を話していると、エルダーリッチは王杖に魔素を込め剣に魔法のエンチャントをし始めた。

 黒い闇のオーラを纏った剣が出来上がると、エルダーリッチはそれを大振りに構える。


「まずいですよ皆さん。あれは致命傷に繋がります。絶対に喰らってはいけません!」


「聞いたか! みんな、全力で回避だ!」


 エルダーリッチは剣を振ると、デスブレードという闇属性の魔力波を放った。

 飛翔する黒い刃に触れてしまうと負のエネルギーが過剰に流し込まされ、場合によって一撃で絶命に至ってしまうのだ。


 ダイバー達は地面に突っ伏したりして、それぞれ攻撃を躱した。

 魔力波は極めて鈍足だったが、この視界不良の中でいつまでも攻撃を避け続けるのは難しいだろう。

 さらに、こちらからの攻撃にも有効打はない。


「……攻撃できない相手がこんなにイラつくとはな」


 たとえネベルの持つ最強剣エクリプスでも、透過してしまう相手ではダメージを与える事ができないのだ。



 今の状況では自分たちに勝ち目がないと判断したディップは、ロンドにこう指示した。


「このままじゃ埒が明かないぜ。仕方ない、アレをやれ!」


「えっ!? ……いや、分かりました! みんな気をつけてください!」


 ロンドは自分のスリングショットを取りだすと、エルダーリッチに向かって煙幕弾を発射した。


 この霧の中で、さらに煙幕だ。ダイバー達の視界は完全にゼロになってしまった。



(今のうちに身を隠せ。そしてなるべく気配を消すんだ)


(でも……、もしエルダーリッチに見つかってしまったら?)


(馬鹿野郎! しゃべるんじゃない。息を殺すんだ)


 現在、ダイバー達は孤立状態にあった。

 リッチの視力も奪ったが、同様にこっちからも何も見えない。

 デルンが危惧したように、それぞれが一人でいる時に奴に見つかってしまったら確実にあの世行きだろう。


 そして彼らは音を立てず微塵も動かずに、ただエルダーリッチが立ち去るのを待った。



 幸運にもしばらく待ち続けると、エルダーリッチはダイバー達を見失いその場から姿を消したようだった。


「危ないところだったです。正直、あんな不気味で非科学的な存在にはもう会いたくないです!」


「分かるよ。骸骨が動いてるってだけでも怖すぎるもんね」


「いいえ、怖いとかじゃないですよ? ただ合理的ではないからという事です!」


 キャンディは望に対し、むきになってそう反論していた。


「クソ、リッチめ。次は絶対倒してやる!」


「だから、もう会いたくないんです!」


「まあ、ともかく。これで邪魔者は消え去ったんだ。お前ら、急いでマックの野郎を追いかけるぞ」


 そうしてダイバー達は、マックが走り去った方向に向かって歩み始めたのだった。

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