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DareDevil Diver 世界は再起動する  作者: カガリ〇
いくつもの偶然と、たった一つのキセキ
116/120

第116話 神の雫

 人類の資源枯渇は、サイバーエイジ以前にも問題視されていた。


 光の時代、それこそ第三次世界以前にだって、あまり効果は無かったが、人間たちは解決策を模索していたのだ。


 そしてその中の一つが、長久の時を経て思わぬ形で功を奏した。



 サイバーエイジ 2351年

 科学者ゲバル・ウェーバーは、アレックス・ブレインズから革命的な発見だという連絡を受けた。

 そのとき既にブレインズはAI化しており、ゲバル博士は半信半疑ながらも仮想空間(カテドラルスペース)内にある隔離研究空間へと急いで接続した。


「どうしたんだブレインズ。君がそんな大げさな表現を用いるなんて、らしくないじゃないか」


「これは本当にスゴイ事なんだよゲバル博士。とにかくコレを見てくれませんか」


「はぁ、分かったよ」


 そうしてブレインズが見せてきたのは、ほんの数日前に地上世界に落ちてきたロケットだった。


「なんだこれは。400年前の化石か?」


「まあそういうのも無理はない」


 とても古いロケットで、今の技術レベルだったら子供のラジコンにも劣る。

 それの役割としては、旧文明の人類が外宇宙に新たな生息圏の探索のために発射したものだった。

 だが成果は得られず、今日まで完全に忘れられていた存在だった。


「いいかい。大事なのはロケットにほんの僅かに付着していた微粒子なんだ。調べた結果、地球にはない未知のマテリアルだという事が分かったんだよ」


「そ、それは本当か?」


「ああ! しかもそれだけじゃない。核融合のエネルギーとして革命的な代替物質になる可能性を秘めてるかもしれないんだ。この件に関しては君のほうが詳しいだろ。調べてくれないかな」


「分かった。そういう事なら早速とりかかろう」



 だがゲバルが調べた結果、判明したのはそれが人類を滅ぼす可能性をも秘めているという事だった。

 ゲバルは、この物質をBKAと名付けた。


 通常の核融合とは、原子核同士が融合し新しい原子核が生まれる際に、莫大なエネルギーを生じるという現象だ。

 だがBKAはそこで終わらない。核融合の際に観測不可能な所から新しいBKAが生じ、核分裂のような連鎖反応が起きる。それもエネルギーの規模は桁違いなのだ。



 たしかに、このアルティメットマテリアルには永久機関の可能性が秘められていた。だが使い道を誤れば、一瞬で世界は滅んでしまうだろう。


 ゲバルは今の疲弊した人類には到底扱えるものではないと悟った。


 そして、BKAの劣化クローン物質uhOを作ると、それを替え玉として隔離研究所に残し、自らは仮想空間(カテドラルスペース)を脱出したのだ。




 ―キュンキュン ドガン!


 ディップはアポストロスに向かってエナジーライフルを発射した。すると奴は背中に目が付いているかのように、ふわりと銃撃を躱した。

 だがその瞬間に、ネベルがエクリプスで斬りこむ。


 アポストロスは、音波剣(ウェーブレード)を展開しそれを受け止める。


「…つまりっ 神の雫の中身は、その物質BKAという事か!」


「ああ、そうだとも! BKAのリスクなんて私が管理すれば問題ない。神の雫は無限のエネルギーを生み出す。その力で、私は永遠の世界を創りだすのだ!」


 フリークはヒートヘイズを詠唱した。炎の波はアポストロスの背中に向かって飛んでいったが、アポストロスの中のアースが唱えたリフレクトマジックによってそれは弾かれる。


「永遠なんてどこにも存在しない! 誰しもが限られた時の中で生きているんです。それを理解しなければ、人はただの驕り昂った獣になってしまう」


「私は例外だ。そんなことはない! 私はすべてのリソースを管理する。人類すべてを私の完璧な管理化におき一切の無駄をなくす。そうすれば必ず実現できるはずだ」


「極端なリソース管理が必要だったのは旧世界の話です。この二つが融合した世界においては、そんなものはもう必要ありません!貴方は過去に縛られている!」


 ネベルとアポストロスの間で、激しい剣の戦いが続いていた。だがアポストロスは片方の機械の腕を変形させると、そこから素粒子砲を放った。

 ネベルはギリギリでそれを躱す。


「ちがう!私はいつだって未来をみすえているのだ。人間は愚かな生き物だ。何度も同じ間違いをする。お前たちにまかせていたら、また文明は滅びてしまうだろう?」


 するとディップがこう言った。


「たしかに、人間は間違う生き物だ。だがしかし、前を向いて歩くかぎり、俺たちは進歩し続けることが出来るんだ!」


「……話にならないな。結局は野蛮人らしく力で決着をつけるしかないということか」


 そう言ってアポストロスは、腕の砲台をネベルにつきつけた。


「臨むところだ。その方がよっぽどわかりやすいぜ」

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