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DareDevil Diver 世界は再起動する  作者: カガリ〇
いくつもの偶然と、たった一つのキセキ
114/120

第114話 仲間

「ピクシー。また寝てたのか? けどもう少しかかるから、まだ休んでおけよ」


「……むにゃむにゃ、ここどこだぉ」


 目覚めたばかりのピクシーは瞼をこすりながら革袋の中から這い出てきた。隣ではネベルが腕を組んで座っていた。


「あ? 何寝ぼけてんだ。飛行船の中に決まってるだろ。それとも、まだケイブロングヴェルツにいるとでも思ってたのか」


 ダイバー達の乗った飛行車両(エアロバイク)は、順調な航行を続けていた。ティクヴァのように宇宙船クラスの性能では無かったが、墜落することもなく、着実に敵の本拠地に近付いていたのだ。


「ううん、違うよ。ただちょっと実感がなかっただけ。だって何だか寂しいじゃん!もうすぐこの冒険も終わっちゃうなんてさ」


「そうだな。お前とも色々あったよな…… ここまでついて来てくれて、サンキューな」


「な、なによっ。いきなり、そんな正面から言われたら恥ずかしいじゃん! わたし、まだ心の準備が… えへへ、えへ」


(キモイからくねくねすんな……)


「でもねでもね、この旅が終わっても、わたしはずっとネベルについていくよ! だってネベルがわたしの居場所だからね!いいでしょ?」


「フ、勝手にしろ」


「わーい、やったぁ! わたし知ってるよ?ネベルのそれはいいって意味だからね」


「……ム」


 すると、それを聞いていたディップはこう言った。

 彼はデルンと一緒に銃の手入れをした後、テーブルでカードをしていた。


「そうだな。また一緒にやるかは分からないが、俺たちの旅は終わらない。終わらせないためにも、きっと世界を救わないとな」


「そうですね。キャストのいないアドベンチャーなんて、つまらないですから。それと兄さん、これでチェックメイトですよ」


「なに?! オイこら、今のはどうやったんだ!」


「はあーまだまだですねぇ、フィールドの召喚獣の能力で手札のマナコストを下げたんですよ」


「なるほど。それで一気に強いやつが出てきたわけか。よし、もう一回勝負だ!」


 そうして二人は、再びカードを再開した。



「いやですねー。どうして男子ってああなんです?」


 そう言いながらネベルに近付いてきたのは、仕立て屋のキャンディだった。


「ディップさんは、あんな風に言ってましたけど、きっとまたみんなで冒険がしたいって思ってますです」


「……そうなのかな」


「はいな!絶対そうです! だって、アタシもそうなんだもん! この旅の間、ずっと楽しかったから……」


「キャンディ」


「望さんのおじいちゃんとの約束を果たせたら、またみんなで色んな所にいきましょうね」


 そう言うと、キャンディは機械室の方へ去っていった。



 ネベルが操縦室に行くと、そこにはマックとロンドがいた。


「何してるんだ?」


「ああ、ネベル! 今ロンドに船の操縦を教えている所なんだよ」


「えっ 船の操縦を?」


 飛行車両(エアロバイク)の操縦はティクヴァに比べればずっと簡単だし、なんなら自動運転も可能だ。しかし一からそれを学ぶとなればそれなりに大変な事であった。


「ごめんなさいネベルさん。さっきから船が揺れてたから、気になって来たんだよね」


「ああ、まぁな。でもどうして、船の操縦なんて覚える気になったんだ?」


「うん。いや、特にこだわりがあるわけじゃないんだけどさ。でも、もっと色んなことが出来るようになりたいんだ。そしたらもっと、立派なダイバーに成れるんじゃないかなって思ったんです!」


 するとマックがロンドの頭を撫でながらこう言った。


「彼の心がけは立派だとおもわないかい」


「ああ、そうだな」



「えっ、そんなに褒めてくれるのぉ」



「まだまだ技は拙いけどね」


「それも、そうだな」



「ガガーん」



 まだ到着まで数時間あるというので、ネベルは少し眠ろうと思い自室に向かっていた。


 その途中で、マストの上に立っていたフリークを見かけた。

 彼の視線の先には、まだ遠くにありぼんやりとしか見られないが、途轍もない存在感を放っている世界一高い塔があった。

 それに気づいたので、ネベルはそっとしておく事にした。



 部屋の前では、望がネベルの事を待っていた。

 こちらに気づくと、彼女は顔を赤らめながらタタタと駆け寄ってきてささやくようにこう言った。


「あのさ、ネベル。あの約束って覚えてる?」


「約束?  …………なんだっけ」


()()の事だよっ! もーお」


 望はさらに顔を赤らめさせた。そしてネベルに近付き、二人にしか聞こえないくらいの小さな声でこう言った。


「それで…ロンド君のその、キス?ぅ! みて思い出したんだけどさ。 私たちも帰ったらさ? 絶対しようね。約束だからね!」


「ああ、分かってるよ」

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