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DareDevil Diver 世界は再起動する  作者: カガリ〇
世界をはじめるための戦争(後編)
106/120

第106話 共闘

 作戦班からの救援要請を受けた特別遊撃隊は、ディップが小隊を連れ、味方が劣勢である左翼の危険地帯へと向かっていた。


「……間に合ぇーっ!」


 ヒポテクスに乗って血埃にまみれる戦場を駆け抜ける。


 そうして目的地につくと、そこにはかすかに見えるクローン兵の塊。

 味方がもし居るとしたら、あの軍勢の中か……。


「ディップさん、あれはもうダメだ! 今からじゃあもう助からないッ」


「だが、もしかしたら救えるかもしれねぇ!」


「どっちみち死んでるよ! それに下手したら俺らが死んじまう」


「くッ クソぉぉ!」


 50万対15万で始まった戦争。不利的状況は続き、今も戦線をギリギリで保っている。

 そんな中、ディップ達のいる特別遊撃隊はあちこちから救援を受け、その度に戦場を駆けまわっていた。


 現在バルゴンは、ディップとは別の場所へ救援に向かっており、デルンは坑道砦門の異常事態を聞いて、急いで応援へと戻っていた。

 よってディップの部隊も、それほど戦力が残っていなかったのだ。


「ちくしょー。また、間に合わなかったのか」


「仕方ないです。どこも同じなんだから」


「さぁ、他の所に行きましょう」


「ああ…… いや、ちょっと待て!」


 去り際になって、ディップはある異変に気が付いた。

 ここに来たときと比べて、クローン共の戦いの勢いが全く衰えていなかったのだ。


 敵の塊は永遠に、その中心めがけて剣を振り続けているようだった。


「まだ戦っているんだ……。あの中心で、味方がまだ戦っている!」


 いくらクローンといえど、虚無に向かって剣を振るはずは無い。

 そしてディップは特別遊撃隊の仲間に指示を出した。


「いくぞお前ら。横撃だッ。味方を援護しろ!」


「「ぅおおおおッ!」」


 ディップの隊はヒポテクスに騎乗したままの一斉突撃を行った。


 運よくクローン兵は剣を振るう事ばかりに夢中になっており、衝突の直前までディップの隊に気が付かなかった。そのせいで、クローンの大隊は一瞬で余計に大きな被害を受けた。


 それを深刻だと判断した部隊長B-2クローン兵は、即座に撤退を決断したのだった。



 敵がその場から居なくなると、これまでずっとクローンの塊に囲まれていた味方が姿を現した。

 彼は満身創痍であったが、足元には一万体の屍があった。その中に味方のモノはほとんど見られない。


「しっかりしやがれっ ネベル!」


 特別遊撃隊を見つけると、ネベルはまるで糸が切れたように、その場でパタリと倒れてしまった。


 ネベルは窮地にいた連合軍の味方を逃がすと、代わりに自分が一人で死地に残り、クローン兵と戦い続けていたのだ。



 ディップは急いで駆け寄り、持っていたハイポーションを頭から掛け流した。


 幸いネベルの身体に致命傷はなく、すぐに意識を取り戻した。


「オイこら。いくらなんでも張り切り過ぎだ」


「……ああ。助かったよ」


「どこ行くんだ。まだ話の途中だぜ」


「う゛っ」


「オイ!」


 足に力が入らず崩れ落ちるネベル。ディップはあわてて肩を貸した。

 ポーションで怪我は治っても、体力がまだ完全に戻っていなかったのだ。こんなに弱ったネベルを見たのは、ディップは初めてだった。


「お前…どうして」


 すると彼の耳に、小さいが力強い呟きが聞こえた。


 ……まだだ、俺が全部守るんだ。


 驚いたディップがネベルの顔を見ると、彼は悔しそうに歯を食いしばりながらも、澄んだ瞳で前を見つめていた。


「お前、変わったな……」


 するとその時、再びクローン兵の大隊が彼らの前に現れた。さっきの部隊が、失った人員を補充して復讐にやってきたのだ。


「く、来るか」


 ネベルはエクリプスを構えた。だが足取りはまだおぼつかない。するとディップが、ネベルと背中合わせになってこう言った。


「全部守るだって? アッハッハッ いくらなんでも、それは欲張りすぎだろ」


「あ? なんだと」


「ならさ、お前の背中くらいは俺にまかせろ!」


「!!!」


 思ってもない一言に驚くネベル。だが、別に悪い気持ちではないと思った。


「フン、おくれんなよっ」


「おうよ!」

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