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神子の救済記  作者: 雪夢優希
第一章 二つ星仲裁編
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第九話

俺たちが、ワープゲートを抜けるとワープゲートの周囲に1000ほどの敵兵が待ち構えていた。

 

 「なっ!?待ち伏せか!?」

 「くそっ!なんて数がいるんだ!!」

 「お前ら落ち着け!まず陣形を整えるぞ!急げ!!」

 

 ワープした先での待ち伏せ自体は予測できたが、あまりの数の多さにこちらの兵達は浮足立っていた。しかしゲイツの義理の弟であり直属の部下でもあるイズンが叱咤することによって、落ち着きを取り戻して陣形を整えることができた。

 

 「雄一殿は遊撃に行ってください!できるだけ多く倒してくださると助かります!」

 「わかった。やってみるよ。こっちは任せる!」

 「はい!ご武運を。お前ら、死ぬなよ!全員生きて帰るぞ!前衛部隊は敵の弓に備えて大盾を構えろ!後衛部隊は弓の用意をしとけよ、敵は広範囲にいるからな!」

 

 俺はそんな指揮を聞きながら敵兵めがけて走り出した。そしてそのまま敵兵の内側から崩していくように戦ったのだった。


 こっちの数は200、アルミダ星の守りに150を残してあとの兵全てで向かったのだが、元々兵の数の差があるためこんな不利な戦いになってしまった。しかし元々の練度の差なのか傍目からは苦戦しているようには見えなかった。


 そして戦い続けること3時間ほどで敵兵の無力化に成功したのだった。 

 「はーっ、はーっ」

 「くっ、かはっ」

 「はーっ、もうっ、終わり、ました、か」


「はあ、イズンお疲れ。アルミダ兵ってこんなに強いのか?それとも敵兵が弱かったのか?俺がいた所じゃ戦争なんて経験してないからどうなのかわからないんだが。」

戦いの後、俺はイズンに気になったことをなんとなしに聞いた。

「どうですかね。私も戦争は今回が初めてなのでわかりかねます。普段は訓練や巡回、害獣駆除などをしておりましたが。恐らく一番の要因としてはアリシア様への忠誠心でしょうかね。あのお方はとても愛されておりますから。」

「そうなのか。アリシアって人気なんだな。そういえば街の人たちもアリシアに親しくしてたなあ。やっぱアリシアってすごいんだな。」


イズンの話を聞いて俺はまた、アリシアを尊敬した。

そこでふと、気になったことができたのでそれも尋ねてみることにした。


「他にも気になったんだけど、なんでこんなに兵数の差があるんだ?いくら何でもこっちは少なすぎると思うんだけど。」

「それは、お互いの星のスタンスの違いでしょう。ウルミダ星の王女殿下は有事の際に対する備えをと日々兵たちを募っていましたが、アリシア様は戦いそのものを好みませんから。その要因になりうる兵も最低限必要な数以上は取らないようにしているのです。まあその結果が今回の戦況に繋がっているわけですから、良い選択とも言いづらいですがね。ただその分アリシア様への忠誠心の高い者たちで構成されていますので、あれだけの兵数の差でも対抗できたとも言えますね。」


イズンはそう言うと苦笑していた。

その時、俺は何かの違和感があったが何かわからず、他にも気になったことがあったためそちらを聞くことを優先した。


「聞いてばっかりであれだけど、じゃあなんで俺が最初駆けつけたときはあんなに劣勢だったんだ?俺が加わったこともあるかもだけど、それでもさっきは危なげなく戦えてたと思うんだけど。」

「それは…」


すると、イズンが口を噤んでしまった。

俺が怪訝そうにしていると、別の兵士が話し出した。


「イズンさんの方が、ゲイツ隊長よりも指揮能力とかが上だからですよ。」

「おいっ!」

「別にいいじゃないですか。事実なんだし。」

「それは、そうだが…」


そう言ってイズンは複雑そうな顔をした。

「まあ、だからって隊長はゲイツ隊長で誰も文句ないんですけどねっ。だってあの人、いつも最後まで欠かさず仕事して訓練とかも手抜きせずに全力だし、正直尊敬してますもん。」

「っ!そうだな。」

純粋な表情でそんなことを言う部下にイズンは毒気を抜かれたのか、最初のように声を荒げることはなかった。


その兵士が離れていったタイミングで、俺はさっき言われていたことをイズンに確認したら、イズンは元々孤児でゲイツの父親に拾われたそうだ。ゲイツもイズンが養子だからといじめたりすること無く、義理の兄弟として仲良くしていたそうだ。

そのことを恩に感じているイズンが陰ながらゲイツを支えることで恩に報いようとして今でもゲイツ直属の部下として働いているのだそうだ。

指揮能力に関しても少しでもゲイツに役立つため、身につけていったらしい。


「このことは他の人には言わないでくださいね。恥ずかしいですから。」

そう言うと、イズンは恥ずかしそうに目を逸らした。

「ああ、わかったよ。他の人には言わない。」

俺はそう言うと、少しイズンのことを眩しく感じながら尊敬したのだった。

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