第八話
「そろそろ行った方がよくないか?早くしないとまた敵が来ると思うんだが。」
「そうですね。では行きましょう。」
俺たちは戦闘後の負傷兵の治療や体力の回復のため休憩していた。ある程度時間が経過して兵士たちも落ち着きを取り戻してきたところで、休憩を切り上げてワープゲートのある場所を目指した。道中でも敵と遭遇したものの敵兵の数はそれほど多くなかったため、負傷者は出たものの犠牲者を出すことなくワープゲート付近の丘にたどり着いた。
「ここから先は兵の半数とともにあそこにいるイズンという者の指揮のもとで進行してください。私は残りの兵を率いてこちら側で守備にあたります。」
ワープゲートに辿り着いたところでゲイツがそう話を切り出してきた。
「……わかった。でもゲイツは行かなくてもいいのか?」
「私はアリシア様を守るためにいるのですから構いません。それに…あなたがいれば、何とかなるでしょう。私が行っても足手まといになるだけだ。」
そう言うとゲイツは悔しそうな顔をした。
確かに道中での戦闘に関しては俺が先陣を切ったりして多くの敵を倒していた。
ゲイツは指揮を行いながら敵を倒していた。俺からしてみれば十分にすごいことだと思う。
恐らく、ゲイツは俺の倒した敵の数と比較して自身を過小評価しているのだと思う。足手まといなんてことはないと思うが、そんな精神状態では実力を出し切れないかもしれないため残ってもらう方がいいかと感じた。
「……わかった。なら早く部隊編成をしてワープゲートに行こう。早くこの戦争を終わらせるために。」
――――――――――
アルミダ兵がワープゲートに到着していた頃、アリシアは戦争を終わらせられないかとウルミダ星の王女に通信を送り続けていた。
ザーッ…ザーッ……
アリシアは雄一たちとの通信の後、ウルミダ星の王女のウリル・アル・メッカに通信をし続けていた。
何度通信を送っても、一切応答がなかった。しかしアリシアは通信を送り続けた。通信回数が100回に迫ろうとしたころ、ようやく繋がりウルミダ星の王女の声が聞こえた。
『………何?忙しいんだけど。』
「何じゃないわよ!なんで急に戦争を始めたりなんてしたのよ!?わたくしたちはあんなにも仲良しだったじゃない。ねえウリル、この戦争をやめることはできないの?」
アリシアはこの戦争をどうにか和解できないかと、ウリルと話し合うことで解決の糸口を探していた。
(確かに、雄一様がいてくださればこの戦争には勝てるかもしれない。でもわたくしは、ウリルたちウルミダ星の人たちにも死んでほしくない!)
アリシアはそう思いながら、いい返事が返ってくることを切望した。しかし、ウリルの返事はアリシアの願いを裏切るものだった。
『…残念だけど、この戦争はどちらかが侵略しきるまでは終わらないわ。』
「そこをどうにかならないの?わたくしはウリルたちと戦争をしたくないの。」
『………………』
するとすぐには返事がなく、少しの間沈黙が続いた。
アリシアが返事を待っていると、少し声のトーンの上がったウリルの声が聞こえた。
『戦争をやめてあげてもいいわ。…ただし、あなたが呼び出した英雄とやらを殺しなさい。アリシア、あなたの手でね。』
「っ!?」
そう言うと、アルミダ星とウルミダ星のそれぞれの王室を繋ぐワープゲートが現れた。これはお互いが起動しないと出てこないが、アリシアはいざという時のために連絡をする前から起動していたのだ。
『ほら、ワープゲートを出してあげたわよ。戦争を止めたいのならこちらへ来てあの英雄を殺しなさい。どうせもうすぐしたらそいつもここに来るでしょうしね。』
そう言ったすぐ後に、ウリルの部屋に兵がやってきた。
『ウリル様、大変です!アルミダ星の兵が攻め込んできました!後、半日もしないうちにこの宮殿に攻め込んでくると予想されます!!』
それを聞いたウリルはさらに笑顔を深めた。
『ほらね。早くしないと間に合わないわよ。』




