第五十一話
雄一様がこの世界を去ってから半年、あれから本当に忙しい日々が続きました。
この星の民たちに告げたように政策の改善に励んでいったのです。
税収の見直しや各街同士の流通方法の改築、戦争で亡くなられた方の遺族への補填や教育制度の見直しなど、多岐にわたっての施政は各所からの反感も少なくありませんでしたが、やりきることができました。
まあ、わたくし1人では不可能でしたので、ウリルにも知恵をいただきましたが。
「本当にありがとうございました。ウリルに助けていただかなかったらここまで上手くはできませんでしたわ。」
「別にいいのよ。今回の戦争はあたしにも責任があるからね。……というか、こんな拙い政策ばっかでよくあんな兵士たちが育ったわね。逆にそれが恐ろしいわよ。」
「兵たちの皆さんが日々頑張ってくださったお陰ですね。有難い限りです。」
「…ほんと、アリシアの人望が凄まじいってのだけは理解したわ。」
「?」
ウリルが呆れ顔でそんなことを言っていましたが、何のことでしょう?
わたくしは何を言われているのかわからず首を傾げます。
そんなわたくしを見てウリルはため息を吐くと、表情を真剣なものに変えてあの件について切り出しました。
「……それで?アリシアの使っていた召喚魔法について、何か進展はあったのかしら?」
「はい、わたくしが使用した古代魔法具での召喚魔法の解析は完了いたしましたわ。」
「そうなの?相変わらず魔法知識や技術に関しては流石ね。どうせ解析も全部1人でやったんでしょ?」
「そうですね。周りの方々も初めは一緒に頑張ろうとしてくれるのですが、どうにも理解の及ばないところが多くあるらしくて最後まで手伝ってくれた方は1人もいませんわ。」
「なのに、あの人が元の世界に返されるってことを知らなかったの?」
「うっ。だ、だって仕方ないじゃないですか!!あの時はただただ必死だったんですから!!」
褒められたと思っていると、ウリルにそんなことを言われてからかわれてしまいました。
わたくし自身もこういった確認不足などのミスが度々あるので気をつけてはいるのですが、いざという時にはまたやってしまうのでどうにか治せないかと考えてしまいます。
「ま、アリシアをおちょくるのはこの辺にしといて。」
「お、おちょ!?」
「あの人の世界に行く方法は見つかったのかしら?」
「もう!ウリルはもう少しわたくしにも礼儀を持った方が良いと思います!!」
「ふふっ。それは難しいわね。だってこんなに可愛いんだもの。」
「っ!?はあ。もういいです!それで雄一様の世界へ行く方法ですが…なんとか見つけることができました。」
ウリルのからかいやちょっとした言葉で顔を赤くしてしまうわたくしは恥ずかしさをごまかすように研究の結果をウリルに伝えました。
雄一様が帰られてから、施政だけでなく召喚魔法に関しても詳しく研究を始めていました。
ひとえに雄一様にもう一度お会いするために。
そのため寝る間も惜しんで没頭してしまうこともありウリルには散々怒られてしまいましたが、結果を出すことができたので良しとします。
「あの古代魔法具は、異なる世界同士の時空を歪曲することでかなり強引に繋げていたようです。そのため、この世界にも多大な負荷が掛かってしまい、次に使用できるのは本来であればかなりの先のことになります。」
「先ってどれくらいなの?」
「概算で見積もりますと、50年…余裕を持って考えますと、100年以上の期間が必要になります。」
「え…それって、もう…あの人に会えないってこと?」
先程のからかいの仕返しのつもりで勿体つけて話しましたが、そのせいでウリルが泣きそうなほどに目を潤ませてしまいました。
「お、落ち着いてください!先ほども言いましたが、その上で雄一様のいる世界へと行く手立てを見つけることができたのですから。」
「っ!…そ、そうよね。アリシアが勿体つけるから早とちりしちゃったじゃない!…もう。」
そう言って、照れ隠しのようにそっぽ向く姿を見てわたくしは謝罪しました。
それと同時にこうも思いました。
(やはり、ウリルも雄一様のことをお慕いしてらっしゃるのですね。)と。




