第五話
しばらく街の中を歩き続けて、アリシアは街の出口まで俺を連れてきた。街の出口から先ははっきり言って何もないような状態だった。草原や森や山が遠くに点々とあるだけで、動物などもいるが他の村や街は一切見当たらない。ただ、遥か先に薄っすらと見える空の上まで伸びていそうなものが見えた。アリシアはその塔のようなものを指して言った。
「あそこに向かってください。皆、あそこに向かっています。」
「あれは何なんだ?やけに高いな。」
「あれは、アルミダ星とウルミダ星を繋ぐワープゲートです。今、あそこからウルミダ星の兵が攻めてきています。わたくしたちが助かるためには、あそこからウルミダ星へ行き城を攻め落とすしかありません。お願いできますか?」
「…あぁ、最初からそのつもりだよ。まあ、どこまでできるかはわからないけどな。……じゃあ行ってくるよ。」
「はい。本当に申し訳ございません。雄一様をわたくしたちの戦争に巻きこんでしまって。」
アリシアは、俺を召喚したことに罪悪感を感じたのか、俯きがちに暗い顔をしてそう言ってきた。
「まあ、もうそのセリフは結構今更な気もするけどな。」
「うっ…。申し訳ございません。」
「いや、いいよ。ていうか、もう俺の中では気持ちは決まってるしさ。アリシアを助けるって。」
「えっ?それは…どうしてですか?」
俺のセリフを不思議に思ったのか、アリシアは首をコテンと傾げた。
「いや、まあ、なんだ。俺は元の世界が嫌いで逃げ出したいとか、捨て去りたいとか思ってたんだけどさ。アリシアは俺とは違って、この世界のことを本気で愛してるように感じたんだよ。ただでさえ可愛いっていうのに、更に輝いて見えたよ。眩しいって思うくらいに。」
「えっ!?あっ、うっ、その…」
俺が本心をありのままに言っていると、アリシアが反応に困ったように頬を赤らめてもじもじしだした。
「え?あっ、いや、その…惚れたとかまだそこまでじゃないから安心してくれ!って違うか、何言ってんだろ俺。……ああっ!…とにかくだ!」
アリシアの反応の意味を何となく察した俺は、慌てて訂正しようとしてテンパってしまった。ってか、そんな反応されたらこっちまで照れてしまうだろ!
俺は一度呼吸を落ち着かせて、再度話した。
「こんなダメな性格をしてる俺だけどさ。アリシアみたいな良い人のために何か出来ることがあるならこっちから手伝わせてくれって思ってるんだよ。だから、そんなに申し訳なさそうな顔をしないでくれ。まあ俺はどっちかって言うと、やっぱり笑顔の方が見たいからさ!」
「っ!はい!ありがとうございます!」
俺が話し終えると、アリシアは笑顔でそう言ってきた。やっぱ美人は笑顔の方が似合うよな。と、なんとなく思いながら俺は歩き出しながら言った。
「じゃあ、行ってくるよ。出来る限りのことはやってくるから。」
「はい。どうか、私の星を救ってください。」
俺はその言葉を聞いた後アリシアに手を振り、ワープゲート目指して走り出した。
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「まだ惚れてない、ですか。はぁ。」
雄一が走り去った後、アリシアはそうとだけ呟いて、雄一が見えなくなるまでそこで見送り、城へと戻っていったのだった。




