第四十八話
アリシアの後についていき城の中を進んでいくと、ゲートのある部屋とは反対側の通路へと進んでいった。
しばらく進むと、他よりも警備兵の数が多い部屋に辿り着いた。
その中に入ると、以前アリシアに見せてもらった連絡用の水晶玉の10倍程の直径の大きさの物が中央に置かれていた。
また、部屋の四隅には部屋の中央の水晶玉の半分ほどの大きさの物が置かれている。
「あれは、なんなんだ?」
「あの魔導具は星全体にある街全てに一度に情報を伝達するためのものになります。中央の大型水晶に向けて話すことで、その情報を四隅の中型水晶へ移してそれぞれの方角にある街の中心にある水晶玉へと発信していくようになっています。」
「なるほどなぁ。見た目だと大きさ以外に違いはないのに、機能は変わってくるんだなぁ。」
さらっとどういうものかを聞いただけだが、大きさによる機能の違いには驚いた。
まあ、パソコンも大きくなるほど性能が高くなるってのは聞くし、それと同じことだとは思うんだけど。
(見た感じは初めに見た手乗りサイズの水晶玉とサイズ以外は全く同じなんだよなぁ。だってどれも半透明だし、中身も特に違いとかないんだよなぁ。)
そんなことを思いながら見ていると、アリシアや部屋の中にいた兵士たちが動き出した。
準備はできてると言っていたが、最後の仕上げなのかアリシアが兵士からグローブを受け取った。それは手のひらと指先にダイヤモンドカットされた水晶玉と同じ輝きを放つ鉱石が付けられていた。
アリシアはそれを手に付けると、大型の水晶玉に触れて何か呪文のような文言を呟いた。すると、それまで半透明の状態だった水晶が内側から光を放ち始めた。
その光は薄暗い部屋の中でアリシアの全身を照らすと、今度は中央の水晶が四隅の水晶へ細い光線を放った。
アリシアはその場から少し後ろに下がると、訥々と語り出した。
「皆さん、こんにちは。わたくしは、アリシア・ルー・メルダです。本日は突然のことではございますが、この度の戦争に関することでお話致したいことがございます。この戦争は――」
アリシアは慣れないながらも、懸命に今回の戦争についての話をしていた。
ただ、悪魔に関することはあまり口外すべきではないと思ってなのか、その部分を除外して話した。そのため、アリシアがこの戦争の主犯として祭り上げられるような形となってしまった。
「――以上のことから、この戦争はわたくしの不徳の致すところでございます。雄一様を召喚することができ、命を落とした方を少数で抑えることはできましたが、皆さまにはご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ございませんでした。……謝罪しても、命を落としてしまった方々が蘇るわけではありません。所詮は、わたくしの自己満足と、言われてしまっても致し方ありません。ですので、わたくしはこれからの施政で皆様により良い政策を築き上げていくことで償いとさせていただきます。……不肖の身ではございますが、今後ともよろしくお願いいたします。」
そう締めくくると、アリシアは頭を深く下げた。
俺は王侯貴族については詳しくないが、不用意に頭を下げるものではないというのは聞いたことがあった。それでもアリシアが頭を下げたのは、誠実なところを見せようとしてなのか。
(いや、これまでのアリシアを見てたら、それはないか。ただ、民たちに寄り添おうとしているだけなんだろうな。)
統治者としては良くないかもしれないが、これがアリシアのやり方なんだなと思った。




