第四十二話
「は?……そんなことができるの!?」
話を聞いた時のウリルの第一声がそれだった。
まあ普通そうだよな。俺だって聞いても信じられないし。
ギール・アルガーがわざわざ嘘を吐くとも思えないけど、だとしても死者蘇生とかありえないことだと思ってた身としては信じがたいことである。
「俺もよくわからないんだけどさ。ギール・アルガーが言うには、こいつ自身で殺した奴の魂はこいつの中に取り込んだ状態になるらしくてさ。それらを元の身体に戻してやれば肉体の損傷も無くなって蘇生できるみたいなんだ。」
「それホントなの!?すごすぎるじゃない!!」
「いや、あの、あははは……」
「っ!?ごめんなさい!あたしったら何を…!?」
「……うん、大丈夫。」
俺がギール・アルガーからの言葉を伝えると、ウリルが興奮して急に迫ってきた。
それに驚いて反応に困っていると、ウリルがハッとして離れた。心なしかウリルの顔が赤くなっているような気がするが、とりあえず話を進めることにした。
「それで…蘇生しても大丈夫かな?」
「……そうね。それが可能ならお願いできるかしら。今回の戦争の被害を抑えることもできるから、その分を街の警備や害獣の駆除にも回せるようになるからありがたいわ。でも、少し待ってもらえるかしら。」
「ん?いいけど、どうしたんだ?」
「アリシアに連絡するからよ。あなたが倒したのはあたしの兵だけだから、そのあたしの方だけ生き返らせてもらうなんて申し訳ないじゃない。」
「まあ、そうだなぁ。でもアリシアは気にしないんじゃないか?むしろそのことを知ったら是非やってくださいとか言ってきそうだけどな。」
俺がそう言うと、ウリルは苦笑しながら「そうね。アリシアならそう言うでしょうね。」と答えた。
それからウリルは少し離れた場所に行くと、アリシアに連絡を取っていた。
俺はその間、ウルミダ兵の遺体を確認していった。ウルミダ星での戦いの遺体は一晩のうちに全てここに集められていたようですごい数の遺体が並べられていた。
その中で俺が殺したと思えるものは半数以上を占めていた。
(かなりの数の兵を俺が倒したことになるだろうけど、今回の戦争の裏を知った身としてはそれ自体がすごい申し訳なくなってくるな。)
俺がそんなことを思いながら歩いていると、ある遺体の前で1人の兵士が黙とうをしていた。
見るとその遺体も俺が殺したものらしく心臓を一突きされているものだった。
「えっと、あんたはその遺体の人とどういった関係なんだ?」
俺が話しかけると、ギロリと睨むと話し始めた。
まあ、俺が敵だったのは事実だし仕方ないよな。
「この人は俺の恋人ですよ。」
「え、恋人、なのか?この人、女なのか?」
「ええ、そうですよ。鎧を着てるからわかりにくいですけど、女性ですよ。それにほら、首に羽のペンダントをしてるでしょう。この戦争が終わったら結婚しようって約束してました。このペンダントはそのためのお守りだったのに。うぐっ。」
そう言うと、その兵士は泣き出した。
俺はすぐに言葉が出てこなかったが、何とか話しかけようと声を発した。
「その…申し訳ないことをしたな。」
「いえ、あの時は戦時中でしたから仕方のないこととは理解していますよ。でも、申し訳ないですが、許すことはできる気がしません。」
「いや、良いんだ。…でも、もしかしたらその人は生き返らせられるかもしれない、とだけ言っておくよ。」
「え!?それはどういうことですか!?」
俺の発言に食いついてきた兵士に、さっきギール・アルガーから聞いた話をした。
「――それでこの剣で倒した相手は蘇生できるって言われたんだ。この遺体は俺が倒したものだと思うから、蘇生できる可能性はあるかなって思ってな。…っ!?」
俺が話し終えて、その兵士に目を向けると、兵士は深々と頭を下げていた。
「お願いします!俺の恋人を、助けてください!!」
「わ、わかった、わかったから、顔を上げてくれ!やってみるけど、本当に俺が倒したかは確かじゃないし、蘇生も聞いただけだからどうなるかはわからないからな。」
「はい!それでもいいです!お願いします!!」
その兵士はその後も必死に頭を下げ続けた。
俺が何度も頭を上げるように言ってようやく頭を上げると離れていった。
「これでもし助けられなかったら、すごい恨まれそうだよなぁ。はぁ、言うんじゃなかったかもな。」
俺はそう呟きながら、ウリルが帰ってくるのを待つのだった。




