第四十一話
俺が苦笑しつつ頭をかいていると、突然、アリシアに抱きしめられた。
驚き、固まっているとアリシアが話し始めた。
「そんなことありません。助けたいと思うのは至極真っ当なことだと思います。ですので、どうか謝らないでください。わたくしは雄一様に救われました。それは、ウリルも、イズンも両星の兵や民もです。あなた様のおかげでわたくしたちは、今こうして生きられているのです。ですので、どうかご自分を責めるようなことはしないでください。」
俺は、アリシアに抱きしめられたままの状態でその言葉を聞いた。
それはまるで、聖母のように全てを優しく包み込むような聞き心地で、俺の悩みや不安、傷ついた心さえも癒してくれているようだった。
アリシアは話し終えて抱きしめ続けていると、ウリルの咳払いが聞こえた。
すると、アリシアが我に返ったのか、急に手を解いて「申し訳ありません!差し出がましいことをしてしまいました!」と言って離れていった。
俺としては、心が救われたような気持ちになったので非常にありがたいことだったのだが、呆然としていて言葉にすることができなかった。
すると、続いてウリルやイズンも声をかけてきた。
「そうね、そんなこと気にしなくていいわよ。あなたはあたしたちの星を救ってくれた。それだけのことをしてくれた人に文句を言うなんてありえないもの。それに、あなたはより良い結末を求めただけ。それは良いことであっても決して悪いことなんかじゃないわ。」
「そうですね。貴殿は私たちの星の救世主だす。ただ敵に情けをかけただけで、非難されることなどありません。その慈悲の心はこれからも持ち続けてください。」
「皆……そうだな。うん、そうするよ。ありがとう!」
俺は笑顔でそう言った。
その時、俺の心には自己嫌悪などの負の感情はもう無くなっていた。
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それからの話し合いで、イズンは無罪とまではいかなかったが、悪魔に操られていたこともあって情状酌量の余地があるとみなされた。
そのため、降格処分は下されたが、処刑などの重い刑罰を科されることは無かった。
そのことに少し安心しつつも、今後のことについて話し合うと、アリシアとウリルは戦後処理のために動き出した。
「こ、これは…酷いわね。」
「あー、なんかすまん。」
「いや、これはそもそもあたしから仕掛けた戦争だからこうなっても仕方ないことなのよ。まあ、やりすぎ感は否めないけどね。」
ウリルはそう言って苦笑した。
今、俺はウリルと共にウルミダ星で死んでしまった兵士たちの遺体が集められた場所へとやってきていた。
その中にはウルミダ星の兵士だけでなくアルミダ星の兵士も少数ながら存在した。
アリシアは先にアルミダ星の民や兵士に終戦を告げ、戦後処理を行うように連絡するため、一度アルミダ城へと戻っている。
そしてさっきのウリルの一言は、ウルミダ兵の遺体の数だけでなく殺され方がほぼ同じで、心臓を一突きされている者ばかりだからだった。
俺はウルミダ星にワープゲートで来た時に囲んできた敵を倒すのに、戦闘を早く終わらせるために効率的に敵を倒すため、心臓を一突きで倒すように意識して戦っていた。
弓兵と剣や槍の兵士などと鎧の形状が違う兵士もいたため突き刺した角度は違うことがあるが、そのほぼ全てに心臓に致命的なダメージを与えて倒していた。
「流石にこれじゃあこの星に住んでる人が困るかもしれないな。何かいい方法はないかなぁ。」
「それはあたしが考えることだから、あなたは気にしなくてもいいわよ。」
「でもさ……」
殺った後に敵の心配をするのはどうかとも思ったが、どうしても申し訳ない気持ちになっていると、ギール・アルガーの声が聞こえた。
(それなら相棒が殺った奴だけだが、蘇生させてやろうかっ?)
「は?そんなことできるのか!?」
「どうしたの?何かあった?」
俺がギール・アルガーの提案に驚いて声を上げると、怪訝そうにウリルが聞いてきた。
蘇生とか、聞いただけで本当にやってもいいのかわからないし、もしかしたら禁忌に当たるのかもしれないと思った俺はウリルにこのことを話すことにした。
ギール・アルガーは万能すぎますね。
流石悪魔なだけありますwww
主人公もその武器もチート…今更ですけど、この人に勝てる敵を作るの難しく思えてきます。




