第四話
俺はアリシアとともに城に出口へと向かっていた。
「アリシアが案内してくれるのか?ありがたいんだが、姫様にしてもらうようなことじゃないと思うし、なんだか申し訳なくなるんだが。」
「いえ、今のわたくしに出来ることはこれくらいしかありませんので、お気になさらないでください。それにわたくしが望んでやっていることですので。」
「そうか?ならいいんだけど。」
それから俺は、アリシアと他愛のない会話をしながら城門に向かった。
「なあ、気になったんだが、この城の中の騎士の数が少ないように見えるんだが。まあ実際に何人いるかは知らないんだけどさ。」
城門に辿り着いた頃、俺は少し気になったためそう聞くと、アリシアは少し困ったような表情を浮かべて言った。
「いるにはいるのですが、今はほとんどの騎士が戦争に行ってしまいました。元から戦争などがない環境だったので、騎士の数も多くはないのですが、皆が勇んで戦争に行こうとしましたので困ったものです。」
そう話しながら城門を潜り、城下町に出た。
「お姫様!こんにちは!」
「姫様!おいしいパンが出来たんだけどいるかい?」
「姫さん!こっちの串焼き肉も美味いですよ!よかったらどうぞ!」
「姫様!……」
「姫様!……」
街に出ると、そこにいる人たちが引っ切り無しに話しかけてきた。
「すごい人気なんだな。…というかここの人たちは今戦争していることを知っているのか?いくら何でも暢気すぎるんじゃないか?心配になってくるんだが。」
「何言ってんだい!そもそもその戦争だって姫様が悪いわけじゃないんだろうし、仮に姫様に何か原因があったとしてもあたしらは姫様を責めたりしないよ!これまであたしらのためにいろいろしてきてくれた姫様のことがあたしらは好きだからね!」
俺がアリシアに向けてそう言うと、パンを渡してくれたおばちゃんが話に割り込んできた。
「まあ、そう、ですね。わたくしが、そのことで街の方々に謝りに行ったのですが、逆に謝ったことを怒られてしまいました。「姫様が謝ることじゃないだろう。戦争を仕掛けてきたのはむこうなんだから。」と。」
アリシアは苦笑しながらそう言った。
俺は正直、感心した。アリシアは確かに優しいし、人に好かれるような印象のある娘だと思う。だけど、だからと言って戦争になってしまったことの責任を責めないのも、逆に謝るなって。普通そこまで思うものなのか?と、少し違和感を感じるがそれだけ民から慕われているんだろうなと思った。
それからも街の人たちはアリシアに声をかけていた。
俺はその中で、アリシアに案内してもらいながら町の出口まで向かうのだった。




