第三十五話
イズンが取り乱した後、落ち着くまでしばらくかかった。
「すみません、取り乱しました。」
「いや、大丈夫だ。でも、なんでイズンはその、イリア様だったか?その人とアリシア達が仲良しだって知ってたんだ?」
「ええ、街では有名でしたから。仲良しな三人の王女だと。それに、私の育ての父が仕事でお城に行くことが多かったですから。何の仕事かは教えてもらえませんでしたがね。」
「そうなのか。少し話を戻すようだけど、イズンの知ってるイルミダ星のことを教えてくれないか。」
「はい、わかりました。」
それから、イズンは話し始めた。
王都で生活していたこと、決して裕福な家庭ではないが活気のある街で周りの人と助け合いながら生活していたことなどを。
そして、ある日突然に王都の人たちが1人、また1人とおかしくなって暴れ出したこと。最後に近くにいた兵士の装いをした人に避難するように言われてついていくと、イズンだけがワープゲートでアルミダ星に転移させられたことを話して終わった。
「そう、だったのか。……ん?なあ、その兵士は一緒には来なかったのか?」
「はい。なぜか私だけがワープゲートに乗せられました。一緒に行こうと言ったのですが、断られてしまい……くっ、私がそんなことを言わなければ!!」
「おい!どうした?何があったんだ!?」
急にイズンが自身を責めだしたので声をかけて落ち着かせる。
「大丈夫か?無理に話さなくてもいいんだぞ。」
「…いえ、大丈夫です。……すぅ、はぁ。…その兵士は私が声をかけると一緒に行くことを断ったのですが、その時に後ろから、斬りつけ、られて……」
「なるほどな。わかった。もう言わなくてもいいぞ。」
俺はそう言って、背中を軽くさすってやった。
イズンが落ち着くと、さっきの話を聞いて気になったことがまた増えてしまったため、聞いてみることにした。
「あー、また聞くようですまないんだけど。」
「いえ、大丈夫ですよ。私も気になりますから。」
「そうか、ありがとう。それで、なんだが。イズン以外に生き残りはいなかったのか?あと、言い方が悪いけど、なんでイズンが救われたんだ?いや、別に他意はないぞ!ただ、他のイルミダ星の生き残りもいるなら話を聞きたいし、もしも、イズンだけなら何か特別な理由があるのかと思っただけだ。」
俺は失言をしてしまったかと思い、焦って早口に言い訳のようなことを言った。
すると、イズンは気にした様子もなく、話し出した。
「いえ、気にしてないですよ。ですが、私にもなぜなのかはわかりません。イルミダ星の生き残りが他にいるかもわからないですが、少なくとも私は会ったことがないです。」
「そうか…わかった。」
少しの間、黙り込んでいた。
試してみたいことがあったのだが、実際に可能かどうかの確認をするためだ。
(なあ、あれってここでもできるのか?)
(あぁ、できるぜっ。それに、あの時のヤツと比べると負荷も少ないだろうなっ。)
(そうか、よかったよ。ありが――)
(ただ、それでも少しずつのイメージでしろよっ。でないと、またさっきみたいになっちまうぜっ。)
(ああ、わかったよ。)
俺が礼を言おうとすると、それを遮るように忠告してきた。
照れ隠しのようで少し微笑ましく思った。
「あ、あの、どう、されましたか?」
「ん?ああ!ごめん、ちょっと考え事してたんだ。」
俺はなんとなく誤魔化すと、話を進めることにした。
武器と話してるなんて、ちょっと恥ずかしくて言えなかったからな。
「ちょっと試してみたいことがあるんだが…イズン、お前の記憶を確認させてくれないか?」
俺はそう言うと、右手にギール・アルガーを剣の状態で出現させた。
「記憶、ですか?え?なんで剣を?まさか、私を殺すのですか!?」
「落ち着け。殺すんじゃない。イズンの記憶を見たいだけだ。この剣でさっき悪魔の過去を断片的だけど見ることができたからさ。イズンの記憶を見てみれば、何かわかることがあると思ったんだよ。」
俺がそう言うと、安心したのか、落ち着きを取り戻した。
「そ、そうですか。…わかりました。それならお願いします。私も真実を知りたいですので。」
「わかった。行くぞ。」
イズンが記憶を見ることを許してくれたため、俺は剣先をイズンの額に軽く当てると、そこから少しずつ記憶を読み取っていくのだった。




