第二十八話
「……ん。…ん~。……あれ?」
「ああ!アリシア!!目が覚めたのね!!」
「え?…あ!本当だ!アリシア、大丈夫か?」
「…ウ、リル?…雄、一、様!?え!?えっ!?どういうこと!?」
アリシアを別室に運んでから日も落ちていたため、部屋を1つ借りて一晩を過ごした。その後、目覚めた後でウリルとともにアリシアの眠る部屋へ行くとようやく目を覚ましたようだった。
ウリルと俺が目覚めたアリシアに話しかけると、アリシアは混乱していた。
敵対していた俺とウリルが一緒にいることに対して戸惑いを覚えたのだろう。
「ウリル、雄一様。戦争はどうなったの!?なんで二人は一緒にいるの!?」
「ふふっ。すごい慌ててるわね。」
「ああ、そうだな。」
「それで、その…どうなの?戦争は?今の状況は?」
「ええ、そうね。戦争は終わったわよ。」
「それは……どちらかの勝利、という形なの?」
「いや、違う。勝利や敗北は特になかったな。…そうだよな、ウリル?」
「そうよ。今回の戦争は第三者の介入によるものだったから、それを解決したことで戦争自体が終了したのよ。」
「そう…よかったぁ。ウリルまで失いたくなかったから、本当によかったよぉ。」
アリシアが慌てながらも、現状を把握しようと質問してきたため、俺とウリルは戦争の結末を簡潔に説明した。
すると、案の定アリシアは喜んでくれた。そして、喜びのあまり涙まで流していた。
「ほら、泣かないの。そんな姿、あなたの英雄様の雄一さんに見られていいの?」
「あっ!これは、その…コホン!それで、なぜお二人が一緒におられるのですか?」
ウリルがそう言うと、アリシアは俺がいることを再認識したのか、初めて会った時の口調に直した。
「ぷっ、あはははっ!もう話し方を変えても遅いわよ。さっきからずっといるんだもの!」
「え!?そんな!?…うぅ~。」
それを聞いて、我慢できなくなったのか、ウリルが噴き出して笑った。
そしてアリシアがショックを受けたようにしょんぼりと俯いた。
「はははっ!」
「雄一様?」
「あぁ、ごめんごめん。アリシアってこんな話し方もするんだなって思ってさ。俺と話してた時はなんというか、お姫様って感じの話し方だったから新鮮に感じたんだけど。今の話し方も親しみやすくて俺は好きだな。」
「あ、えと、その、あぅ。」
「ん?……あっ。」
その二人のやり取りに堪らず俺も笑うと、アリシアに呼ばれたため謝った後に思ったことを素直に言ってしまった。
すると、その言葉に顔を赤くさせて俯いた。俺も言った後になって気づいて、少し恥ずかしくなって顔を逸らした。
「はいはい。イチャイチャするのは後にして、話を進めるわよ。」
少しの沈黙の後、ウリルが手を叩いて呆れたようにそう言ってきた。
「そ、そうですね。」
「あ、ああ、わかった。」
俺たちはその言葉に乗るようにして、話を再開した。
「それで、俺とウリルが一緒にいる理由だっけ?」
「はい。なぜお二人が一緒におられるのかと思いまして。」
「あー、それは……」
「この戦争の原因を話すためよ。」
俺が言葉に詰まったタイミングでウリルが話し始めた。
「戦争の原因?」
「ええ、あたしだってこんな戦争やりたくなかったわよ。でもそうしなきゃいけない理由があったの。」
「え、それって……」
「今から、そのことについてあなたたちに話すわね。」
ウリルはそう言うと、小さく深呼吸をして口を開いた。
「あれは、そうねぇ。2年ほど前のことよ。」
そうして、ウリルはその時のことを思い出すように話し始めたのだった。




