第二十七話
「……はっ!ここは…玉座の間、か?……ふう。戻ってきたみたいだな。」
「あら、目を覚ましたのね。」
目覚めて周りを見ていると、ウリルから声がかけられた。
そちらに目を向けると、意識を失っているアリシアを支えた状態のウリルがいた。
また、反対側に目を向けると、デミルに取り憑かれていたイズンが倒れていた。
イズンの右手を見てみると、手のひらの上半分が無くなっていた。ただ、出血はしていなかったようで血痕が見当たらず、失血死することはなさそうだった。
そして、デミルの気配は完全に消えており、イズンの近くに砂状のモノが散乱していた。ギール・アルガーに確認してみると、デミルの頭部を刺した時にその剣の効果で悪魔であるデミルは消滅したらしい。あの砂はデミルの成れの果てなのだとか。
「なあ、ウリル。俺が気を失ってから、どれくらい時間が経ったんだ?」
「5分くらいしか経ってないわよ。」
「そうなのか。…教えてくれてありがとうな。」
「い、いえ…お礼を言うのはこっちの方よ。アリシアを救ってくれて本当にありがとう!あたしにはあいつの言いなりになるしかできなかった。この恩は絶対に忘れないわ。」
周辺を確認した後に、ウリルに聞くとそんな言葉が返ってきた。
アリシアのためにやったことだし、敵であるはずのウリルに感謝されるのはなんか違和感があった。
ただ、今はアリシアを守ってるわけだし敵ではないと考えてもいいだろう。
まあ、味方とまでは言えないが。
「あー……それで、戦争はこれで終わり…で、いいのか?」
「あっ、そう言えばそうだったわね。」
「おいおい、しっかりしてくれよ。…って俺が言うことでもない気がするけどさ。」
「ふふっ。そうね。あたしは女王なんだもの。しっかりしなくちゃね。…ええ、この戦争はこれでおしまいよ。」
「そっか……なら、よかったよ。ウリルを殺したくないと思ってたからさ。」
「え!?それって、どういう――」
「アリシアが悲しむしな。」
「あーー、ソッカ、ソリャソウヨネー。」
「ん?なんでカタコトになったんだ?」
「っ!?なんでもないわよ!!」
突然にカタコトになったから気になって聞いてみると、声を荒げて否定してきた。
「お、おう。そうか。……それで…この後、どうするんだ?」
勢いに押されて、これ以上そのことを聞くことは出来なくなったため、この後のことを聞くことにした。
「え、ええ、そうね。アリシアはあたしが寝室に運ぶわ。それで、あの兵士は……拘束しておいてくれるかしら?操られていたとはいえ、やったことは反逆だもの。」
「あぁ、そうだな。縛っておくよ。ただ、イズンが意識を取り戻したら話を聞いていいか?どうやら、こいつはイルミダ星の生き残りらしいんだ。」
「え!?……わかったわ。ただし、その時はあたしとアリシアも同席するわよ。」
「ああ、そうだな。俺は長くはいられなさそうだし、今後のことも考えると2人とも聞いておいた方がいいからな。」
「え?あなたどこかへ行ってしまうの?」
「ああ、なんかアルミダ城の宝物殿にあった古代魔法具?を使った召喚魔法で呼ばれたらしくてな。今回の件が終わればお役御免ってことになるらしい。」
「あら、そうなのね。それは残念だわ。」
「ん?なんか言ったか?後半部分が聞き取れなかったんだけど。」
「い、いえ、何でもないわ。」
「そうか?」
話してても時間が経つだけなので、俺は会話を切り上げてイズンを拘束しに向かった。
そして、拘束したイズンはウリルが呼び出したウルミダ兵によってどこかへと連れていかれた。
その兵士は俺やアリシアを見ても、何も言わずに行動しており、会釈すらもしてきていた。おそらく、俺が拘束している間に兵士たちに終戦を伝達してくれたんだろう。
その後、俺とウリルは気を失ったままのアリシアを別室に運んでいった。
――――――――――
アリシアを運んだあと、俺はその部屋でウリルと2人でいた。
「なあ、気になってたんだけど、結局今回の戦争はなんで起きることになったんだ?」
「あぁ、その話もしなきゃね。でもそれはアリシアが起きてからでもいいかしら?この娘にも話さなきゃいけないから。」
「そうだな。わかったよ。じゃあ、とりあえずアリシアが起きるのを待つとするか。」
「そうね。」
そのまま、俺達はアリシアが目を覚ますのを待った。




