第二十五話
今、俺の目の前にはデミルがギール・アルガーに巻き付かれた状態で倒れている。
俺はそれを見ながら、怒りの感情が暴走しかけているのを自覚していた。
(やっと捕まえれたか。これからどうしようか。(邪魔なやつは全て殺せ!)お前は落ち着けよ!少し黙ってろ!!(はあ?お前こそ黙れよ。お前も邪魔なんだよ。あいつは殺すべきだろ?だからお前に変わって殺してやるって言ってんだ。わかったらさっさと俺に変われ!)いや!もう、それはダメだ。また暴走して他の人まで傷つけるのは嫌なんだ!!だからお前は、すっこんでろ!!)
すると、ギール・アルガーが俺の中での会話については触れてこず、ここから先のことについて聞いてきた。
(……それでこいつどうするっ?殺すのは決まってるだろうが、他に何かしとくこととかあるかっ?)
(…ああ、そうだな。他の仲間がいるか、背後の存在とか知りたいけどできるか?)
(それなら、その剣でそいつの頭を貫けっ。そうすれば、殺すと同時にそいつの記憶も得られるぞっ。ただ、相棒の脳に負荷がかかるから気をつけろよ―――っておいっ!?あがあぁぁぁァアア!!??)
俺は頭を貫けと言われたと同時に動き出しており、デミルに巻き付けていた剣をほどき、元の長剣の状態に戻した。それを逆手に持ち、デミルの頭めがけて振り下ろしてそのまま貫いた。
すると剣を通して、デミルの記憶のようなものが流れ込んできた。
それは濁流のごとく流れ込んできており、頭が割れるほどの痛みが襲ってきた。
「うがあああぁぁァアアア!!!???」
俺はあまりの痛みに、頭を抱え込み叫び出していた。
そしてその痛みのショックにより、意識を手放したのだった。
――――――――――
俺は気づいたときには、暗闇の中にいた。
自分の身体を視認することさえできないほどだ。
そもそも身体があるのかさえ怪しい。
身体を動かしてみても、その感覚すらない。
唯一動かせれるのは、首から上で見る場所を変えることはできるが、声を出すことはできない。不思議な空間だ。
俺が辺りを観察していると、空間に亀裂が走り紫色の光がこの空間を照らしてきた。
亀裂は次第に広がっていき、そしてその空間は割れた。
どうやら、卵のようなものの中にいたようだ。
卵から出た所で辺りを見渡すと、そこは広大な空間が広がっており、目の前には俺が先ほど倒したはずの悪魔の姿があった。
よく観察してみると、ここは玉座の間のような場所だった。しかし、玉座も絨毯も他の調度品も巨大で、まるで巨人の王が使っているような部屋だった。
そして玉座には、全身に闇を纏った巨人がいた。そばには同じく巨大な剣が立てかけられていた。巨人は玉座に座っており、こちらを、いや、記憶の主を見つめており、その目は紫色に光っていた。
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あの悪魔と正面から戦って、その英雄は圧倒してみせただけでなくそのまま打ち倒してみせた。
ただ、あの武器は何だろうか?始めは長剣かと思いきや、さっきは急に伸びて悪魔を拘束して、性能が変化しているように感じる。後で研究させてもらえないだろうか。
………はっ!
ダメだ、今はそれどころではないのに。でも、知らないものとなると気になって仕方ない。あたしの悪い癖だわ。
「うがあああぁぁァアアア!!!???」
あたしが自制していると、英雄の叫び声が聞こえてきた。
驚いてそちらに目を向けると、頭を抱えて蹲っている英雄の姿があった。
唖然としていると、その英雄は糸が切れた操り人形のように倒れて動かなくなった。
そのそばには、頭部を貫かれて力尽きた悪魔が倒れていた。
そして、この場所で意識を保っているのはあたしだけになっていた。




