第二十三話
私はデミル。魔神様から産み出された悪魔です。
今回の任務は、アルミダ星とウルミダ星の両方を支配下に置くことです。
私は私の能力で両星を争わせて疲弊させることで、両星の内と外の両方から崩していき支配下に置くことにしました。
私の能力とは人間の心の隙に入り込み、それを操ることや、ある程度の精神操作ができるというものです。攻撃力は他の悪魔に比べて低いですが、使い方に応用が効き今回の任務も簡単だと思っておりました。
事実、初めのうちは上手くいっていました。
アルミダ星王女の心の隙に入り込み、ウルミダ星王女に宣戦布告を致しました。
まあお互いに信頼し合っていたのか、すぐに偽物と見破られたが問題ありません。なぜならこの身体を人質に取ってしまえばいいのですから!
そうやって下地を整えてウルミダ星から侵攻させるように促すと、面白いほど簡単に従ってくれました。予想以上に簡単で拍子抜けでしたが、計画が順調なためそのまま進めておりました。
そして他の人間にも取り憑き、アルミダ星、ウルミダ星のどちらにも自然に戦争へと意識を向けるようにと動き続けて、戦時にもアルミダ兵に取り憑いて様子をうかがっていたのです。
その隙にあのバカ王女が召喚の儀をするとは、予想外でしたがね。
まあバカ王女はその英雄様とやらを好いているようでしたので、王女自身の手で殺してやって失意の底に堕としてやれば完全に精神掌握できるため、利用しようと考えてましたが。
まさかそいつにここまで邪魔されるとは想定外でした。
簡単な仕事だと思い油断していたため、ここまで相手に苦戦はしましたがまあ私が少し本気を出せばひとたまりもないでしょう。
現に今、防戦一方でこちらに一切攻撃できていないのですから。
『くっくっ。どうですかぁ?これであなたは私に近づけないでしょうぅ?はっはっはっ!所詮は人間ですねぇ!!黒炎弾に触れてただで済むはずもないのですよぉ!!このまま塵となって消えてしまいなさいぃ!!!』
そして黒炎弾を無数に放ち続けました。
さすがに連発し続けるのはエネルギー消費が激しいですが、まあいいでしょう。
これで邪魔者がいなくなるのですから。
それから私はしばらくの間、黒炎弾を放ち続けました。
総数1万を超えて打ち続けた所で、私は打ち止めました。
まだエネルギーはいくらか残っていますが、かなり消費したので疲れましたね。
『はぁ、はぁ、はぁ。流石にあなたも耐え切れずに死んでしまったでしょうぅ。』
黒炎弾の煙がまだ残っているので死体の確認はできていませんが、おそらくもう死んでいるのでしょう。まあ、私の手にかかればこんなものですね。
『ふぅ。これで計画を邪魔されることもなくなりますねぇ。』
黒煙が漂っている中、私は勝負がついたと判断してウルミダ星王女へ目を向けました。
(こっちの王女はなかなか心の隙を見せてこないから取り憑くのは難しいですが、バカ王女を人質にしてしまえばどうということもないでしょう。)
そう判断して身体を進めようとした時でした。
「は?何勝手に死んだことにしてんだよ。」
悪魔の私からしても、震え上がるような声が聞こえてきました。
声自体は落ち着いているのに、その声を聞くだけでまるで蛇に睨まれた蛙のように動けなくなるように感じるほどです。
何とか声の聞こえた場所に目を向けると、そこにはさっき殺したはずのあいつが無傷のまま無表情を私に向けてきているのでした。




