第十九話
(本当に情けねえ奴だな、お前は。)
光に包まれたと思ったらそんな声が聞こえてきた。
俺はその声がどこから聞こえてきたのかと、辺りを見回した。
(無駄だって。探しても見えるわけないだろ。なんせお前の中にいるからな。)
(ん?どういうことだ?お前は誰なんだ?)
(そんなの言わなくてもわかるだろ。さっき見てたんだからよ。まあ、あえて言うならオレは強欲と傲慢の武器、ギール・アルガーだよ。情けねえお前の代わりに問題を1つ解決してやったところだ。もうこれ以上無様をさらしてんじゃねえよ。早くお姫様を助けてやったらどうだ。)
(っ!?本当だ!体が治ってるのがわかる!!これなら…まだやれる!!!ありがとう!!ギール・アルガー。これで俺はまだやれる!!!)
そして俺の思念体を包んでいる光がより強くなると、そのまま俺の身体へと引き寄せられていく。
その時にも状況は変化していった
ウルミダ星王女のウリルが壁際に追い詰められて逃げ場を失っていた。
そしてアリシアのナイフが振られウリルが小剣で防ぐ形になった。
「もう逃げても無駄だぜぇ。ほら、死んでしまえよぉ。」
「くっ!まだ死ぬわけにはいかないのよ!!アリシアのためにも!!!」
(ダメ!ウリル逃げて!!あなたまで殺してしまったらわたくしはもうどうすればいいのよ!!逃げてよぉぉ!!!)
(アリシア…そんなにそいつが大切なんだな。アリシアのためにもウリルってやつを助けないとな。待ってろよ、絶対に助けてやるからな!!)
(その傲慢さ、いいねぇっ!オレの主なだけあるぜっ!!よし、オレの力を貸してやるよっ!上手く使ってくれよな、相棒っ!!)
ギール・アルガーがそう言うと、俺の内側に別の力が埋め込まれたような感覚がした。
ウリルはアリシアの力が予想以上に強かったのとアリシアを傷つけたくない思いで力を発揮できないようで、じわじわとナイフで小剣が押されていた
「くくっ。抵抗しても無駄だぜぇ。ほぉら、死ねえぇぇ!!」
「なっ!?なんでこんなに力強いのよ!!このままじゃ!?」
(いやあぁぁぁ!!やめてえぇぇぇ!!!)
そしてウリルの顔までナイフがあと少しという所で、俺の意識は完全に身体に戻った。
俺は素早く起き上がり、全速力でアリシア?とウリルの間へと割り込んだ。
そのまま腕を振り上げてアリシア?のナイフを弾き飛ばした。
「えっ?」
すると、後ろから気の抜けたような声が聞こえてきた。
まあ、死ぬって思ってたところに来たんだからそうなるよな。
「大丈夫か?…確か、ウリル、だっけ?」
「え?え、ええ、大丈夫よ。あ、ありがとう。助けてくれたのよ、ね?」
俺が背中越しに声をかけると、ウリルは戸惑いつつも返事を返してきた。
俺はアリシア?を注意しつつも、会話を続けた。
「まあ、一応な。アリシアがお前を殺したくないようだったからさ。」
「ん?なんでそう思ったの?あなたと会うのはこれが初めてよね?もしさっきのやり取りを見てたとしても、そう捉えることは出来ないものだと思うのだけど。」
「そうだな。表面的な部分だけ見ればそう思うだろうけど、死にかけてた時にアリシアの心も見えてたから。それで何となく理解できたんだけど、あれってアリシアに何かが取り憑いてるんだよな?ならそいつだけを倒しちまえばいいってわけだ。」
「え?ええ、そうね。いろいろと聞きたいことができたのだけど、そうよ。でもどうするの?あいつは身体を傷つけても無傷なのよ。倒しようがないじゃないの。」
「大丈夫だと思うぞ。たぶんなんとかできるから、アリシアを助けてくるよ。」
「え、ええ。お願い!アリシアを救ってあげて!!」
「わかった。」
俺はそう会話を切り上げると、アリシア?に向かって歩き出した。




