第十二話
「雄一殿、そろそろ進軍を開始します。よろしいですね。」
「ああ。わかった。邪魔はしないようにしよう。」
あれから、体力の回復ための小休止をとって進軍を再開することになった。
「そうですか。それは良かった。貴殿に邪魔されると失敗する可能性が上がりますからね。」
「そうか。だけど1つだけ言わせてもらおう。同じことを言うようだが、アリシアのためになるように考えてやれよ。この先の責任は取れないかもしれないが、この先の憂いが無くなるように力を尽くすからさ。」
「はぁ。やはり貴殿は甘い。……いいでしょう。もしそうなるようならその時はアリシア様のためになるようにしましょう。」
「ああ。その言葉忘れないでくれよ。じゃあ行こうか。」
「そうですね。それでは進軍を始めます。」
俺たちは会話を終えて、ウルミダ城へと向かった。
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「この街はどうなってるんだ?人が誰もいないように感じるんだが。」
「ええ、そうですね。おそらく避難させたのでしょう。」
今俺たちはウルミダ城のある街にまで来ている。しかし、通りを歩いている人がいないどころか家屋の中からも人の気配がないようだった。
「避難って言うけど、どこに避難できるんだ?この近くにもここまでの道にも街も村も見当たらなかったんだけど。」
「あぁ、それは街と街の距離がかなり離れているからですね。その街同士を繋ぐためにワープ装置が設置されているので、民が避難する時はワープ装置で他の街へ行くことになっているのですよ。これはアルミダ星も同じなので、ワープゲートまでの道中に街はなかったでしょう?」
「確かになかったな。なんでそんなことになっているんだ?もし反乱とか起きれば、そのワープゲートを使ってアルミダ城が攻め込まれる怖れがあるんじゃないか?」
「それは少しでも多くの民たちを救うためですよ。嵐や地震といった災害や、害獣による被害は突然に発生することがあるので、すぐに避難できるようにしているのですよ。もし反乱がおきたとしても、反乱の意志を持っている者はワープゲートを利用できなくなるようになっているのです。アリシア様は民たちからの人気度も高いので反乱の意志を持つ者はほとんど現れないですが、そうでなくても民たちも自らの保身のためにも反乱意志を持とうともしないですから。」
「へえ、なんかアルミダ星もウルミダ星も城主たちが民を管理しているみたいだな。まあ、その方が争いとか起きなくて済んで良いのかもだけどさ。」
話を聞いてると、なんか闇を抱えてそうな星なんだなって思った。
アリシアのために何かできることがないか考えていると、イズンが小さな声で話し出した。
「反乱が起きる前はアルミダ星、ウルミダ星に加えてイルミダ星もあったのですが…大きな反乱がおきて、滅びてしまったのです。その経緯もあり、悪意ある者はワープゲートの使用ができなくなるようにされました。」
「…そうだったのか。なんでそんなことを一介の兵士が知ってるんだ?それって、機密情報みたいに思うんだけど。」
「ああ……実は、私はイルミダ星の生き残りでしてね。私は運よくアルミダ星へ避難できましたが、イルミダ星は滅んでしまいました。いわゆる戦災孤児というものですかね。」
「あ、ああ、そう、なんだな。」
(闇じゃないけどすごい重いなあ、おい。星1つ滅んでるのかよ!?そりゃ対策もしてるわな。それで対策すらしてなかったら学習能力が低過ぎるもんな。)
そんな話を交えつつ俺たちはウルミダ城を目指して警戒しながら人気のない街を歩いていくのだった。




