第十一話
「あれが、ウルミダ星の城、なのか?」
「そうです、雄一殿。あの城を攻め落とせば、この戦争も終わらせられます。」
俺たちはあれからも小規模的ではあるものの、戦闘を繰り広げており疲弊した者が数多くいた。しかし、幸いにも死者が出ることはなくみんな無事に城のある街が見える丘まで着くことができた。
俺も少しは力になれているようなので本当によかった。
まあ、一番はイズンの指揮能力の高さだとは思うが。
「お前たち!あの城を攻め落とせれば戦争を終わりに出来る!最後まで気を抜くんじゃないぞ!」
「「「おおお!」」」
なんかイズンの方がゲイツよりも尊敬されているように思うんだが、まあそれは俺が気にすることじゃないかな。これからのゲイツの頑張りに期待かな。
その時、俺は違和感を覚えた。しかし、その正体がわからず、漠然とした不安だけが残った。
ただ、どうしても気になることがあった。
「イズン。気になることがあるんだが。」
「雄一殿、なんでしょうか?」
「その、なんでそんなに指揮能力が高いんだ?戦争なんてしたこと無いんだろ?」
「それは……いつかの時のために、指揮訓練もしていたからです。戦争は経験ないですが、害獣駆除などの任務は多々ありましたので。」
イズンは少し言葉を詰まらせたが、俺の質問に答えてくれた。
俺はそのままもう一つ気になっていることも聞くことにした。
「じゃあもう一つ聞きたいんだが。あの城を攻め落とす以外にはこの戦争を終わらせられないのか?なんかどうしてもずっとそこが引っかかって仕方ないんだ。元々は仲の良い星どうしだったんだろ?やっぱりこれじゃダメなんじゃないかって思うんだよ。」
「……」
俺がそう言うとイズンはすぐには返事をせずに俯いた。
しばらくの沈黙の後、イズンは俺の方に視線を向けてきた。俺はその時の目がとてつもなく淀んでいるように見えた。俺がその目に少したじろいでいると、イズンが口を開いた。
「…まあ、そうですね。いくらウルミダ星が友好関係にあったとしても、こういったことが二度とおこらないとも限らないので徹底的に潰そうと考えております。」
「それは、具体的にどうするつもりなんだ?」
「そんなの決まっています。ウルミダ星の王女、ウリル殿下の首を刎ねるのです。」
「っ!?」
(はっ?こいつ本気か?これまで友好関係だったのにどうしたんだ!?)
俺はイズンのセリフに衝撃を受けて固まってしまった。
俺は10秒ほど固まってしまったが、さすがにダメだ!と思いイズンを説得しようと話しかけた。
「なあ、イズン。それはアリシアが望んでないと思うぞ。話してる限りだが、ウルミダ星と仲直りしたいようだったぞ。ウルミダ星の王女はアリシアの友人なんだろ?その人を殺すのはやめた方がいいだろ。」
俺がそう言うと、イズンは憐れむような目を向けてため息とともに言ってきた。
「はぁ……雄一殿、これは星同士の戦いなのですよ?アリシア様とてそれは理解しています。その意思を汲んでウリル殿下の首を獲ることがアリシア様のためなのです。」
「いや、それでもウルミダ星の王女を殺すのは間違ってるだろ。それじゃあアリシアだって悲しむぞ。」
「雄一殿。貴殿は甘いです。それでは何も解決にはならないではないですか。」
「でも…それじゃあアリシアが報われないじゃないか。」
「雄一殿。貴殿がいてくださったお陰でここまで来ることができました。しかし、これはこの星の問題でもあるのです。雄一殿がこの戦争後もこの星に留まってくれるのですか?戦後のことの責任も取れないのですから、そんな甘い発言はやめていただきたい。」
「はっ?俺はここに、残れないのか?」
「知らされてなかったのですか?雄一殿を召喚する時に行われたのは限定的な召喚魔法だと思いますよ。でなければアリシア様お一人で行うことは出来ませんから。」
「召喚魔法?儀式とかなんとか聞いたんだが…」
俺がそう言うとイズンは呆れたようにため息を吐いた。
「それはアリシア様が理解不足なだけです。失礼な言い方になってしまいますが、あのお方は民のためを考えてはいますが理解能力はよろしくありませんから。それでもできることを探したのは称賛に値しますがね。雄一殿はアルミダ城の宝物殿にあった古代魔法具で召喚されたのでしょう。あの魔法具は召喚する目的が明確にすることで成功率が上がるのですよ。その代わりに目的が果たされたら元の世界に返されてしまうんです。」
「なっ!?……そ、そうなのか。だとしても俺はアリシアのためにこの戦争を終わらせるだけだ。だけどウルミダ星の王女を殺しはしないからな。」
「そうですか。ですが、責任が取れないのですから勝手なことはしないでいただきたい。これは私たちの問題なのですから。ウリル殿下の首は必ず獲ってみせます。雄一殿はそれを見ているだけでいい。」
俺の言葉を聞いてもイズンは考えが変わらないようでもう俺に興味を無くしたようだった。
俺は他に言葉が出てこず、口を噤んでしまうのだった。




