第十話
俺達は、ワープゲートでの戦いを終えて休息をとった後、丘を越えて、その先の森の中を走っていた。
ワープゲートでの戦闘以降、激しい戦闘もなく俺達はウルミダ星の城を目指していた。
「城まであとどれくらいあるんだ?」
「この森を抜けると見えてきます。先を急ぎましょう!」
「ああ、わかった。」
(アリシアの為にもこの戦いを早く終わらせないとな。)
俺はそう思い、走る速度を上げた。
――――――――――
アリシアがアルミダ星の城からここまでワープゲートでやってきた。
ウリルは笑顔で取り繕ってはいるが、内心非常に焦っていた。何せ、アルミダ星に送り込んだ5000の兵がほぼ1人の力で壊滅させられた。ワープゲートの1000の兵も殺されただろう。そんな奴が攻めて来たら最早勝ち目はない。そんな危険なやつは排除するに限る。
それにウリル自身も戦争自体は望んではいなかった。アリシアに戦争をやめるように言われたときは飛び上がりそうなくらいに嬉しかったほどだ。まだ友達と言ってくれる。こんな最低なことをしたやつを。
でも、できない。そうしたらこの星は滅びてしまう。こんな最低なやつがあの子の友達を名乗るなんておこがまし過ぎる!
(せめて悪者として、敵として見られた方がまだ気が楽だわ。)
「ウリル、どうしてもあの人を殺さないと戦争をやめてくれないの?あの人はちゃんと話せば止まってくれるわ。わざわざ殺さなくてもいいじゃない。」
「ダメよ。それじゃあ、あたしが納得できないのよ。あんな危険人物がいるんじゃあ全く安心できないのよ。」
あたしはアリシアと玉座の間で話している。兵士も誰も付けずにというのは普通に考えれば危険だが、このお人好しなら大丈夫だ。何よりこんなあたしをまだ好いていてくれるのだから、せめてもの礼儀だ。
「ウリル、今更かもしれないけど、なんで戦争なんて始めてしまったの?何かわたくしにいけないところでもあったの?どうしたら前みたいな関係に戻れるの?」
このお人好しはまだ和解を望んでいるらしい。正直、虫唾が走る。このお人好しにも。そして、あたし自身にも。でもダメだ。あたしがここで泣くことも、この戦争を終わらせることも。
「そんなの、あなたに教えるわけないじゃないの。それに、前みたいな関係に戻るって何夢ばっかりみてるのよ。」
あたしは突き放す。それでもこの子は諦めないのだろう。こんな最低なやつにも手を伸ばしてくれる子だもの。だから…。
『アルミダ兵が王都近郊の丘まで迫ってきました!』
水晶からウルミダ兵の報告が響く。
「ほら、そんな無駄口叩いている間に、あなたの救世主様のここに到着しちゃうわよ。ちゃんとやりなさいよ。でないと…わかっているわね?」
あたしはそう言って精一杯の悪い笑みを浮かべるのだった。




