六話 ざまぁ乙
コンコン
「入れ」
「カイル様そろそろお食事の時間です」
言葉遣いだけでは分からないが頭も下げず、上から目線のメイド達に案内される。
「えっと、これは」
出された食事は明らかにおかしい。いつものことだ。いつもなら「はい」と言って吐きそうになりながらも食べるが記憶が戻った俺はもう中身は大人のようなものだ。
「ふっ」
「何がおかしいのでしょうか。いつもの食事ですよ。」
「おい、馬鹿にしてるのか貴様は」
「へ…?」
メイド達に目を向ける。いつもと違う言葉遣い。俺はメイド達にも敬語だったのだ。それはおかしいと思うだろう。
「そろそろ我慢の限界だ。お前ら首を洗って待っていろ。」
「何様のつもりなの!無属性のくせに!!」
「無属性がどうした?一応俺は王族の端くれだぞ?少なくともお前らよりも身分は上だ。なんだ?お前らは王宮でメイドとして仕事をしているせいで身分が貴族になったとでも?思い上がるな。貴様らついて来い。父さm…父上に報告しよう。俺にその態度を取るということは兄上達にも不敬を働いているも同じ。不敬罪d「も、申し訳ございませんでした」ほぅ、今更謝罪か。まあ、許してやる」
「!(ほっ)」
「とでも言うと思ったか?フレデリク」
俺がフレデリクの名を呼ぶ。
「カイル様。呼んで参りました。」
「リチャードさ…ま」
メイド達は父様、つまりは王様を見て顔を青くしていた。
「どういうことだ」
父様は扉の向こうで会話を聞いていたのだろう。
「いえっこれは」
「何?俺を嘘つきって言うの?」
「ちがっ「俺の言ってることを否定するの?」
「父上このようなことにお手を煩わせて申し訳ありません。しかし、私も我慢の限界だった故、フレデリクに命じて「すまなかった」え?父上?」
「息子の状況にも気付けないとは王、いや父親失格だな」
「そんなことはありません!私は無属性として前線に駆り出される案も最後まで拒否して下さったことを知っています!母様も最後まで私のためにやってくれました!」
「カイル。無理なら行かなくて良いんだからな。王位継承権を与えてやれなかったことは申し訳ない。無属性として能力も…」
「いえ、私は無属性として生まれてよかったです。」
「カイル?」
やっべ。また口を滑らしてしまった(笑)
「…後のことはお願いしてよろしいですか?」
「あ、ああ。フレデリク、カイルを客室へ。カイル、今日は客室で寝なさい。王宮では苦労をかけるね。」
「いえ、ありがとうございます父上、いや父様!」
俺は部屋を出て前を歩くフレデリクについて行った。うん、フレデリク優しいね。四歳児と同じ歩幅で歩いてくれる…!