三話 無属性無双
『落ちこぼれ』その名を糧にして俺は行く___最強と言われる未来へ
「魔素制御〈コントラー〉」
無属性には特有の性質がある魔素を制御する際空に存在する魔素を視ることができるのだ。魔素はほとんどが透明にぼうっと光っているのだが中には属性を持つ魔素があり、赤が火、青が水、緑が木、黄色が光、黒が闇、茶が土。無属性の俺は全ての魔素を集めることができるが物質化は出来ない。
俺は魔物の森の浅いところで訓練をしていた。
魔物の森はその名の通り魔物がたくさんいて最深部へ行くには冒険者ランクBは無いと苦戦するとか。浅いところでもFランク冒険者の死者が出るらしいが、俺はそういわれる場所よりももっと浅いところなので魔物にも遭遇していない。だが、魔素がそこら中に溢れているので魔術師にとっていい訓練地になるだろう。
それから毎日俺は周りの目を盗んでは魔物の森へ足を運んでいた。
(最前線に駆り出されると予想できるのは半年後だろうから、それまでに魔物は一人で倒せるようになりたいな)
属性のある魔素はその属性の持ち主にしか扱えない。そしてどの属性も持たない俺は“このまま”では扱うことはできないことがわかった。
(あ、そうか。俺は魔素を物質化できないだけで物質化しなくてもいいような魔法なら使えるはずじゃないか。)
因みに俺は無属性だからと詠唱方法も教えられなかったので“コントラー”も自分で考えたらできた。正直そのうち詠唱しなくてもできるようになるんじゃないかとワクワクしてる。
「お、あれはホーンラビットじゃん?」
角のついたウサギの魔物。角を冒険者ギルドにもっていくと大きさにもよるが相場10ルビー貰えるらしい。日本円だと単位が一個上がって百円だ。
(んじゃ新しいやつやってみるか。効果なかったら逃げよ)
(精神制御魔法〈マインドコントロール〉)
ほわっと魔素が俺の近くに集まる
(〈無〉)
……
「あれ?」
集まるまではいいがそれだけだ。
「んー?考えてたのと違う。物質化以外もできねぇのか!?」
ホーンラビットは俺の声に気づきよってくる。
「シャァァァァ」
へー、ホーンラビットも鳴くんだ。鳴く?んー、なんか違う。っじゃなくて!!
「うわぁぁっ!?ちょ、待て、おい!〈マインドコントロール〉〈無〉!!」
ぴた
「……あれ?止まった??」
ホーンラビットは何もなかったように静まり、ぼーっと遠くを見つめていた。
「せ、成功??と、とりあえず」
俺はナイフをもちとどめを刺す。その間もホーンラビットは無だった。
憶測だが言葉に出すか出さないか、つまるところ詠唱するかしないか。魔素制御も精神制御も声に出して成功している。
(練習あるのみか)
そういってホーンラビットに触れる。
(解体の仕方知らないんだよなぁ。とりあえず魔石と角とって。どうするか。そういえばゲームだとインベントリとかあった気がする。空間魔法っていうんだっけ?それ。でもこの世界だとそれスキルなんだよな。)
考えても仕方ないのでレッツチャレンジ
「空間魔法〈インベントリ〉」
フワッと目の前に宇宙の空間のようなものが出る。
「おぉ!?おう、すげぇ」
(チート魔法やん!!)
ホーンラビットはとりあえずインベントリにぶっ込んどいた。素晴らしいことにインベントリの中に入れたものは時間が停止するようで肉は腐らず、温かいスープも冷めない。
「よし、この調子でやってくぞ!」