二話 王宮
なんか若干設定集みたいになった…
飛ばしたかったら飛ばしてね…(´-ω-`)
違う、しっている。前世というものだ。前世というものもこの記憶を見て知った。きっとここはいわゆる転生先。
ここには魔法と魔物と…つまりはここはファンタジーの世界だということだ。
(自分の事…でも頭が追いつかない。整理をしよう。)
今の俺は“カイル・バリオード・エト・ジャック”。バリオード・エト・ジャックが家名で俺自身の名前は“カイル”。バリオード家の四男だ。上に三人の兄がいて、下に一人の弟がいる。会ったことはない。俺にとって全員腹違いだ。そしてバリオード家はこの国…“リザルト”をまとめる王族。つまり俺は第四王子。…頭がパンクしそうだ。よし、もう一度まとめよう。
・カイルとは名前
・現在四歳
・王族:バリオード家
・第四王子
・兄弟たちは腹違い
・兄弟達の中で一番身分が下(母親が唯一の平民)
・王位継承は絶対ない
王位継承権を持たないことを馬鹿にされ続けてきたが、今考えるととてもよかったと思うな。
・魔法は無属性
そうだ、俺の属性は〈無〉。馬鹿にされるのも、理不尽な扱いを受けるのは当たり前。ただでさえ平民の血を引いているのに無属性ときたもんだ。俺はわけがわからなかったが、中身はすでに高卒レベルだ。
(よし、もうガキみたいなことはよそう)
無属性魔法だって何かしら使える筈だ。そういえば四歳だから今から特訓すればいろいろできる気がするな。チートに目覚めたいぐらいだ。そういう小説あるしな!(こういう小説だしな)
《長男》
レオン・バリオード・エト・ジャック
11歳
第一王位継承権をもつ兄。属性〈水〉。かつて干魃していたこの地に水をもたらし勇者とされた人がいたため水属性なだけでどんな身分でも優遇され国に大切にされる。そんな属性が王家の長男、第一王位継承権を持つレオンに渡れば誰も文句を言えまい。
彼の性格はメイド達の話だと11歳とは思えないほど冷静沈着で、頭がよく勉強好きらしい。運動は人並み以上にできるが飛び抜けてすごいわけではない。魔法に関しては属性のことしか聞いたことがないが要領がいい人だからすごいのだろう。会ったことがないため見た目は知らない。
《次男》
カリム・バリオード・エト・ジャック
10歳
第二王位継承権をもつ二個上の兄。属性〈土〉。この国を支えているのはほとんど平民と言っても過言ではない。そして、この国の平民らは結構他国と比べると結構大事にされている。そのため王族が恨まれることはほとんどない。平民の約七割から八割が農民となっている。その中で貴重とされる土属性は彼らの信頼だか期待だかが集まり支持されている。
性格は優しく、人思いな人だそう。それでもやっぱり男の子なので勉強よりも遊び、運動の方が好きらしい。
見た目はもちろん知るわけない。
《三男》
マリヌ・バリオード・エト・ジャック
8歳
第三者王位継承権をもつ兄。属性《木》サブ属性《光》。人間である父とエルフである母の混ざり子。人間とエルフのハーフであるマリヌはエルフの象徴である木属性に、聖女と言われる人と同じ光魔法が使える。治癒魔法が使えるのは光属性だけで光属性が少ないこの国では彼の存在はとても大きい。
性格は人見知りでおどおどしているが、主張はできる子らしい。
見た目は((ry
《五男》
リオ・バリオード・エト・ジャック
2歳
今のところ第四王位継承権をもつかもしれないとされている弟。属性〈炎〉。炎の属性は母から受け継いだものと考えられる。伯爵の地位をもつ貴族のご令嬢が母であるリオは母に似ていると言われている。母親は見たことはあるが本人は見たことない。とても美人だったのでリオも将来は美形に育つだろうと言われている。
《四男》
カイル・バリオード・エト・ジャック
四歳
王位継承権をもたない。属性《無》。無属性とは魔素を集めるだけでそれを物質化できないといういわゆる不遇属性だ。魔素を集めるのは常人以上でも物質化できないのなら不必要。平民以下の身分だったら即奴隷送りもおかしくない。魔素を魔術師達の近くへ集めることが多い役割。つまりは戦闘員。戦死しろといいたいのだろう。
因みに見た目は平民譲りの黒髪をベースに王族譲りの白髪が右サイドに生えている。ただの黒髪で無属性の王族だったら属性がわかった瞬間殺処分だったと思う。白髪が生えていたから免れ、王様が母を母が俺を愛していたから許されたのだろう。
メイド達には関わってないのに属性だけで落ちこぼれと言われる。
ここまでみるとひどくない?俺は落ちこぼれっていわれてさ?今頃自覚したよ。すごい扱いだったんだなって。
母は平民ながらに美人だ。それだけであの王様が気にいるか?あんなに綺麗な正妻がいたのに。だから多分何かあるのだろうけど、今母と王様の関係は良好であるとはいえない。母に問題があるのだが。まぁその問題のもとは間違いなく俺だ。
「母さn…母様?お疲れですよね。もう良いですから」
「駄目よ…!あなたがどうして恥をかかなければいけないの?見せしめにするなんて許せない!もちろんあの方もあなたの事を愛しているわ。でも、“これ”を取り消せないのなら、私は許さない。絶対に。」
「母様。父様もおr…私に謝罪されました。私がどうにもならないから大丈夫です、と先日言ってきたのです。ですからお休みになられてください。私は自分が辱めを受けるより母様が身体を壊してしまう方が怖くて…それこそ自分を呪いたくなってしまいます。」
「カイル…ごめんね。無力な母親で。せめてあなたを守ってあげたいのだけれど…」
「いえ、十分守られていますよ。ここにいるだけで十分なんです。部屋にいるよりも母様の部屋の方が安全だと思えるんです。」
それはどういうこと、と母は一瞬怒りを見せたがありがとうと言ってすぐに眠ってしまった。
「ありがとな母さん。」
記憶が混合したことで慣れない敬語で母を落ち着かせれば日課は終わり。
(ここ最近、こんな会話しかしてなかった気がするな)
母が怒っていた理由。
年に数回魔の森にいる魔物達が街に降りる。その時期は決まって日照りが酷かったり雨ばかりが降るという時期。魔物達の餌がなくなってしまう時なのだ。だから、人間を攫い食いにくる。それを追い返すために魔術師・騎士達が街の最前線に立って追い返し、守る。
でも魔素が上手く集まらず魔術師達の支援が間に合わないのだ。
だから魔素を集めることができる俺を最前線に駆り出す。一歩間違えれば死ぬ可能性だって捨て切れない。無属性は歓迎されないため戦死しようがどうでもいいから、護衛も無い。たった一人で王宮からでるのだ。
それが母には許せない。俺を愛しているからというのもあるが今母と王の関係を繋ぐのは俺しかいない。俺が死ねば母も用無しとなる可能性がある。他の王の側近から疎まれている。俺がいなくなれば追い出すことは赤子の手をひねるも同然なのだ。
(うまくいくといいな)
俺だって死ぬ気はさらさらない。前世でも早い死だったというのに後世でさらに早い死というのも残念だろう?
「母様をよろしくお願いします」
たった一人俺と母に仕えているベテラン執事、“フレデリク”に声をかけ部屋を出る。
こそこそとメイド達から落ちこぼれだのなんだの聞こえる。
(落ちこぼれ?はっ上等!無属性だと侮ってろ。俺は無属性魔法で最強になってやる)
ここまでありがとうございました♡