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貴方と幸せに~したことがすべて自分に返ってきただけですよね?~

ブリュンヒルデが故郷を離れて一年が経過した。

すっかりディートリヒの母国になれ、また仕事をしたがる癖も直っていった。


そんな時、ディートリヒから会わせたい「罪人」がいると言われ──




 私がグリュツィーニエ王国(この国)に来て一年が経過しました。

 当初は働きすぎと、心配された私も、息抜きを覚えることができました。

 最愛の方、ディートリヒ様のおかげで。


 それに、この国の方々もとても優しく、私に親切にしてくださっています。

 だから、ディートリヒ様に確認を取って無理のない範囲で色々と活動させていただいてます。


 幸せすぎて死んでしまいそうです!!

 でもそれは駄目。

 ようやくディートリヒ様の婚約者から妻になれるのだから、もっとちゃんとしつつ息抜きもしないと!

 とちょっと変な努力を私はしています。


 そういえばファイルヒェン王国(あの国)は他国を侵略しようとして連合を組んだ国々に総攻撃されて陥落したそうですが、どうなのでしょうね?


「ブリュンヒルデ」

「ディートリヒ様」

 ディートリヒ様が私の元に来ました。

「どうなさったのです?」

「お前に会わせたい『罪人』達がいる」

「……分かりました」

 鈍い私でも、それが誰を指しているのか分かりました。

 私はディートリヒ様の後をついていきます。


 広間では「罪人」達が怯えた表情で並んでいました。


 私を、扱き使っていた国、ファイルヒェン王国のお偉い方々が。

「ぶ、ブリュンヒルデ助けてくれ……!!」

「お願いだ、ブリュンヒルデ、僕たちを助けてくれ!!」

「ブリュンヒルデ様、お願いします!!」

 皆様、口々に私へ助けを乞いますが――


 貴方達は、一度も、私を助けてくれませんでしたよね?

 貴方達は私の事を、奴隷よりも酷い扱いで扱き使っていましたよね?

 それなのに助けて?

 おかしいですよね?


「ブリュンヒルデ、この者達を助けるか?」

 ディートハルト様の言葉に私は首を振ります。

「いいえ、助けません」

 私の言葉に、先ほどまでの態度とは真逆に「罪人達」は私を非難しはじめました。


 育てた恩を忘れて、とか色々言われましたが――


 あれを、育てたといいません。

 愛したとはいいません。

 敬われてなんかいません。


 都合の良いように記憶を改変するなんて、身勝手な方。


「貴方方は私を奴隷のように使ったではありませんか。エルマーは私が働かされている間女性たちと『仲良く』していたではありませんか。王様、貴方は引き離される事を嫌がった私と私の両親を引き離したあげく、両親を殺したではありませんか」

 冷たく事実を告げて訂正すると、全員の顔色が青ざめ、そしてディートリヒ様とディートハルト様の顔が明らかに怒りの色に染まっていました。



 そう、私は両親と引き離されました。

 両親のために、と思って頑張っていたのに──

 王宮で耳にしたのは両親が殺されたという話。

 国守りとしてこき使われている娘を帰してくれと言う両親を殺すよう命令したのは国王。

 私は、少しだけ残った両親の故郷を守る、という感情だけで国守りをしていたのです。

 そんなこと、する必要なんて、無かったのに。



「死刑が妥当だな」

 他の国の方々も、頷きます。

「……エルマーと王様は、死刑は少し待ってください」

「理由を述べよ」

「私とディートリヒ様の結婚式を見せてから死なせるなり、奴隷以下に扱うなりしてください」

 冷たい女かもしれません。

 私は非道な女でしょう。



 復讐したいのです。

 幸せな姿を見せて――

 相手に地獄を与えてやりたいのです。



「私も異論はありません、父上」

「――よかろう。他の者は即座に刑の執行を、エルマーとフリートヘルムは連れて行け!!」

「は!」

「待ってくれ、ブリュンヒルデ!! 僕は君を愛して――」

「貴方から『こんな女は嫌だ』と言ったのに? どこまでも頭が花畑な方ね」

 エルマーが連れていかれるのを見て、安心しました。

 がっくりとうなだれる元王様はようやく諦めたようです。



――一か月後



 ついに私とディートリヒ様の結婚式の日です。

 私は侍女の方に付き添われてディートリヒ様の元へと向かいます。

 ディートリヒ様は優しく微笑んでくださいます。


「――共に生き、支え合うことを、誓うか?」


「「誓います」」


 誓いの言葉口にすると、拍手が沸き起こります。

 ディートリヒ様と口づけを交わし、そして抱きかかえられて道を後にします。


 ふと視線をやると、見る影もないエルマーと元国王様がいらっしゃいました。

 死人のような表情で私達を見てます。


「……」

「どうしたんだ?」

「ディートリヒ様、二人はどうなりますの?」

「奴隷以下の扱いを受けることになった。死刑よりそれが妥当だろうとな、父上が」

「そうですの……」



 一瞬で死ぬよりも、じわじわと疲弊して死ぬの、どちらが楽かと言われたら前者でしょうね。


 愚かなエルマー、愚かな元国王様。


 どんな立場であれ、相手を大切にしなかったから、こんなことになったのですよ。



「ディートリヒ様」

「なんだ、ブリュンヒルデ」

「私、幸せです」

「私もだ」

 そう言って再び口づけを交わしました――





 国守りを大事にしない国がありました。

 その国から、国守りを救った国と、王子が居ました。

 国守りとその王子はお互い初恋の相手でした。

 二人とも、長い間思い続けていたのです。

 二人は結婚し、国守りは王となった最愛の王子を支えながら、支えられながらともに国を守り続け、死ぬまで国民に愛され続け、そして死も惜しまれながらともに亡くなったそうです。


 その国は、今も国守りの子孫――王族によって守られ続けています。

 民から愛され、他国からも愛されて。






めでたしめでたし


この話はこれでおしまいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました!


この話を読んで良かったと思ってくださる方がいたなら私にとって嬉しいことこの上ないです。

では!


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誤字脱字報告、ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
どん底に堕ちた馬鹿の 心情を読みたい。
スカッとしました。エピソードタイトルにあるように、自分でやったことは自分に返ってくる、まさにそのとおりでしたね!あんだけブリュンヒルデちゃんを蔑ろにしてきながら自分たちがピンチになると頼るだなんて全く…
[良い点] すっっきり感が異常値を計測w [一言] 最後までやっていることがどういうことか、どういう結果を産むのか理解してませんでしたねぇ。守られることが当然、守る力があるなら守って当然、感謝する謂れ…
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