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第12話

「あら、ルビアにヴォンダルおそかったわね~」


 入口で待っていたのはエゼルミアだった。


「エゼルさん!」


 ルビアは彼女の姿を見ると、嬉しそうにエゼルミアに駆け寄ってきた。


「あら?そちらの冒険者さんは昨日の…」


 エゼルミアはすぐにソウマの存在に気付いた。


「あ、はい。オレは…」


「この人はね、『ソウマ・ニーベルリング』って言うの。『ニーベルリング』だがらニー君。私の昔近所だった友達なの。所謂、幼馴染ってやつ!!」


 彼女はソウマの自己紹介を遮り、何故か変わりに彼を紹介した。


「…そ、そうなの、ニーベルリング君か~。じゃ、じゃあ、私もニー君って呼ばせてもらおうかしらね~」


ーー何か引きつっているんですけど!


 エゼルミアの引きつった笑顔にソウマは心の中でそう突っ込んだ。


「ところで大司教様は?」


「中にいるわ。アレックスが先に待っているわよ」


 彼女はそう言うと、大聖堂中へと案内した。


◆◇

 大聖堂の中はまず入ると非常に一つの大きな広間のようになっていた。


 まず目に入ってくるのは奥にある大きな女神の像であった。


 これは女神アヴァンドラを象ったものであり、アヴァンドラ正教を象徴するものであった。


 それ以外にもたくさんの長いすが並べられており、この日は大司教がやってきているためか、蘇生は行われなかった。


「…では私はこれで」


「ええ、二度と来ないでもらえますでしょうか。貴方がここにいるだけでアヴァンドラ神がお怒りになられます」


 奥では華やかな聖職服を着た金色の紙をした美しい貴婦人が何者かと口論していた。


 その人物はダークエルフだろうか。


 肌の色はステルベンよりも色黒かったが、極めて美しい容貌をしており、聖職者なのか同じく僧侶の服装をしていた。


 おそらく、『悪』の戒律の者だろう。


 彼は丁寧に大司教にお辞儀をすると、その場から立ち去った。


 その際に彼はソウマたちとすれ違った。


「待ちたまえ、『村正』の少年」


 彼はすれ違いさまにソウマに声をかけてきた。


 『中立』という戒律の彼は少し怪訝に感じたが、特に戒律間の対立と無縁の彼はその呼び声に振り返った。


「私はナイという神父。覚えておくと良いだろう。縁があればまた会おう、少年」


 彼はそれだけ言うと、その場から立ち去っていった。


「?何だ、あいつ?」


「さぁ…?何か大司教様となんか争っていたね」


 彼女たちは奥へ行くとアレックスを含めた護衛が物々しくもそこにいた。


「…あら、ルビア。これはお見苦しいところをお見せしました。そちらの冒険者は?」


 大司教はルビアたちを見ると、手始めにソウマのことを尋ねてきた。


「あっ、友達です」


「ソウマ・ニーベルリングです。以降、お見知りおきを(やっと自分で名乗れた…)」


 先程とは異なり、ルビアは控えめだった。


 そのため、ソウマは自分から名乗ることができたのだ。


「そう、ルビアのお友達なのね。初めまして、ニーベルリング君。私≪わたくし≫はディアナ・レイ・ユグドラシルと申します」


 彼女は丁寧にそう名乗った。


 ディアナは二十年以上前に聖女に選ばれた所謂ルビアの先代に当たる人物であり、およそ四十は悠に越えているにも関わらず、まだ妙齢と思わせるような色白の肌をした美しい金色の長い髪をした女性であった。


 その首には冒険者最高峰と言える第一級の“白金”の証があった。


 彼女は詳細こそは語られていないが、聖女に成りたての失態を除けば、多くの奇跡を起こした女性として世界に認知されていた。


 こうして有名であるにも関わらず、人があまり来ていないということはおそらくお忍びだろう。


 もし、事前に知られたならば、『悪』の冒険者が蘇生目的に殺到するだろう。


 最も彼女戒律は『善』だが。


「さて、ルビアわかっていると思いますが、こうして人に知られることなくあなたを呼び出したのは一刻も争うからです」


 ディアナ大司教はその美しい外見からは想像できないほど、先程の険しい態度を崩さないでこう言った。


「既にご存じかもしれませんが、この町最大のギルド『黒銀の鉾』との交渉は決裂。私が送った使者は申し訳ないのですが、辱しめを受けました。さらに無能なアイワーン王は権力欲のために秘密裏に禁忌とも言える異世界召還を行い、迷宮攻略に乗り出しています。直ちに迷宮を攻略しなさい。これは女神のご意志です」


 ディアナは厳しい口調でそう言ってきたのだ。


 余裕がないのだろう。


 ソウマの予想が正しければ神託をもらったのは彼女だろう。


「…はい、大司教様」


 彼女は控えめにそう言った。


 おそらく、本当は嫌なのだろう。


「…二つほどご質問あるんですけどいいですか?」


 ソウマは厳かな態度でディアナにそう尋ねた。


「どうぞ、ニーベルリング君」


 ディアナはまるで教師にそう言った。


「さっきの男は一体?」


「あっ、それ私も気になる」


 そう、先程口論になっていた黒い男のことだ。

 

 ディアナはそのことを尋ねられると、ため息をついてこう言った。


「『悪』の戒律の神父です…。私としたことがつい感情的になってしまいました…。お忘れください、ちょっとした価値観の相違ですよ」


「じゃあ、もう一つ質問。・・・」


「?どうかなさいましたか?何でもよろしいですよ?」


 正直、ソウマは迷っていた。


 ここでルビアが迷宮攻略を行うと彼女は女神の依代になるということを尋ねようと思った。


 しかし、ここにいるのはルビアも含めて、ディアナの配下ばかりだ。


 ましては竜人のアレックスがこちらに不審な動きがないか、目を光らせていた。


 そう思った彼は一旦ここで言葉取りやめた。


 だが、大司教は言ったのだ。


 何でもよろしいと。


 ソウマの口から放たれた言葉は衝撃的であった。


「何か料理を始めようと思っているんですけど。なんかお勧めはないですか?」


「・・・はい?」


 その言葉にルビアは噴出した。


 ディアナは呆然としている傍ら、彼女の護衛をしていたアレックスはギロリとソウマを睨みつけていた。


ーー・・・何聞いてるんだろう、オレ

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