野﨑香奈江さん用ページ
金子紀恵 女 33歳
家庭教師 優しくて素朴な性格
教え子に言い寄られ……
①月曜日
こんにちは、ふふ、覚えてる?私、金子紀恵って言って、実は君のお姉さんの家庭教師も担当してたのよ。そっかあ忘れちゃったか、結構前だもんね……お姉さんはお受験で、私立の中学校にはいるために私と一緒に勉強したから、君はまだ小学校に入りたてだったんだもんね。
あんなに小さかった君がもう高校生かあ……背も凄く高くなってるし、声変わりして声も低くなってたからびっくりしちゃった。それにすっごくカッコいいね、同級生だけじゃなくて後輩や先輩にもモテそう。……え?お世辞じゃないよ。小学生のときの君もちょっとふっくらしてて可愛かったけど、今はすっかり垢抜けちゃって。でも優しいところは全然変わってないね。ほら、さっき私にひざ掛けを渡してくれたでしょう?スカートじゃなくてパンツだから大丈夫だよ?って言ったら女の人は冷えやすいって聞いたからって。最初に私がここに来た時も、一番最初にクッションを持ってきてくれたよね…って、これも忘れちゃったよね。記憶力いいでしょう?……小さいときから得意なの。だから勉強も結構好きでね?家庭教師っていう仕事を選んだら、君と出会ったってわけ。
さ、じゃあそろそろ本題に入ろっか。色々と問題を作ってきたんだ、見てみてくれる?
②火曜日
そうなんだ!今日学校のテストだったんだね?どうだった?……そっかあ、全部平均取れなかったんだ。大丈夫大丈夫!まだ取り返せるよ!そのために私がいるんだからね!
ちなみにどういう問題が出たの?……うん、なるほど…その辺りは割と式を覚えちゃえばなんとかなるところだからそれを覚えるところから始めよっか!例えば……これ、この問題!
どの式を使うか分かる?……うーん、それはちょっと別のところで使うやつだね。正解は、……この式。あ、私が一回書き込んでも良い?ありがとう、じゃちょっととなりに座るね?
なあに~?そんなに離れなくてもいいじゃない~ちょっと傷ついちゃうな。
うそうそ、冗談よ。こんなおばさんに隣に座られちゃいやだよね?んーと、これでよし、これで一回解いてみて?……そう、うん、合ってるよ!じゃあこれからは基本を念入りにやって、徐々に応用編にも挑戦してみよう?
③水曜日
できた?……うん、じゃあ丸付けするから休憩してて?今日私が持ってきたお菓子はねぇ、君のお姉さんと勉強してたときによく買ってきてたやつなの!お姉さんもコレが好きだったんだけど、君もこっそり部屋に入ってきて食べてたな~と思って懐かしくてね。あ、ほんと?紅茶かコーヒーだったら……じゃあ紅茶がいいな!……ごめんね気を使わせちゃって。お菓子に合うから?……ふふ、じゃお言葉に甘えて。…あれ、これ自分で買った問題集かな?自分でも進んで勉強するなんて関心関心!ちょっと見ちゃおう……あれ。
……ああ、おかえりなさい!紅茶ありがとう。あのね、今これ見てたんだけどこれ全部合ってるよ。……私なにも教えてないのに……もしかして君、凄く頭いいんじゃないの?そんなことないって……でもこの問題は応用しないと解くのが難しいやつで……。
そ、そうだよね……そんなわけないか!じゃ、これ食べたら続き頑張ろうね。
④木曜日
今日模試の返却日だったんだって?……聞いたよ~お母さんから!なんで言ってくれなかったの?それに向けて勉強だって出来たし、その結果でどこが苦手か把握できるのに!
結果見せて?当然でしょう?私は君の家庭教師だよ?君の結果をもとにまた問題作ってくるから!……そんなに嫌がって……さては相当酷い点数だったんだね?
もーほら、はやく!!よし奪った!……さてさて~…?……え。……嘘、全部めちゃくちゃいい点数取ってる……。やっぱり、前も言ったけど君、凄く頭いいんだよね?なのになんで家庭教師なんか……必要だから…?この点数だったら志望校全部受かるよ?なんならもっと偏差値の高いところだっていけるのに。どうして?わたしがここにいる時間はお金を貰ってるんだよ?私が役に立ててるならまだいいけど……なんのために私……。…お母さんに話してくる、家庭教師なんて雇わなくても十分だって。駄目だよ、だって……私、必要ないじゃない…?
⑤金曜日
(金子の家のチャイムが鳴る)はーい、今行きます!……え、どうして君が?明日受験の日だよね?私の家どうやって…あ、ああ…お母さんが知ってるよね、そうだよね。…わざわざどうしたの?……とにかくうちに入って?なにか話したいことがあるなら紅茶でも飲みながらにしよう?
そこに座ってて?丁度よかった、いま入れたところだったの……はい、これ。
それで……、さっきは君、黙ってたけど、私になにか用があって来たんじゃないの?……なあに?怒るって…私は君に怒ったりしないよ。言ってみて。……え?私に会いたくて、呼んだ?……え、どういうこと?私のこと忘れてたんじゃ……ちょ、ちょっとまって、私、もう33だよ?君と初めて会ったときだっておばさんに見えただろうし……初恋だなんて冗談……。
ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって。君が凄く真剣な表情だから、冗談、じゃないのは分かってるよ…。それじゃあ、その、つまり、わたしに会うために、勉強ができないふりをして…?
⑥土曜日
(家のドアをあける)こんばんは。寒いし、うちに入れば?……そう、ここでいいのね?……それで、どうだった?……そっか、受かったんだね、おめでとう!君なら絶対合格するって思ってた。
わざわざ報告しにきてくれてありがとう。……正直、気になってたから、結果を知ることが出来て嬉しい。え、もう帰るの…?……そうよね、他に用なんてないものね。……うん、それじゃ気をつけてね。さようなら………。
……ッねえまって!!…あの、私、あの日から……君が、私のこと好きだって言ってくれたときから…ずっと考えてたの。その日も言ったかもしれないけど、私はあなたよりずっと歳上だし、きっとあなたも、もっと若くて、可愛い女の子が、君のこと好きだって言ったら……。でも、でもね。……それがちょっと嫌だなって思っちゃったの。……君が他の女の子と一緒にいるところみたら、後悔するって、思ったの。これって、君のこと……
⑦日曜日
いらっしゃい!……いい匂いでしょう?お菓子自分で焼いてみたの。君が頭をいっぱい使って大学から帰ってきたらきっと甘い物食べたくなるんじゃないかな~って。
あ、でもあんまり甘すぎるのは好きじゃないでしょう?…だから砂糖はちょっと少なめにしてあるの。……し、新婚みたいって、それは言い過ぎじゃない……?(照れながら)私の家から通うほうが大学に近いからって言うから、だから部屋を仕方なく貸してあげてるだけなんだからね?
照れてないってば!……大人をからかうのもいい加減にしなさ……ちょ、ちょっと……ち、近いよ……。ほ、ほんとよ、ほんとに仕方なく……き、君のお母さんにも頼まれちゃったから、だから……も、もう…!やっぱりからかってたんでしょう!……昔はふくふくでちっちゃくて可愛かったのに……いつの間にそんなふうにかっこよくなっちゃったの……?