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柚樹アサさん用ページ

阿笠優(アガサ ユウ) 男 16歳

高校1年生 喫茶店バイト

近所に住む中学生の女の子に助けてもらい……

①月曜日

(10歳。上級生からいじめられる)

や、辞めてください……!痛い!!辞めて……!お願いします……!

(中学生の女の子が助けてくれる)……はっ……はぁっ……。……あ、あの、助けてくれてありがとう、ございます……。大丈夫です、ちょっと髪を掴まれたりはしましたけど……え?本当ですか…?さっき転けたときに擦りむけたのかな……っ、ちょっと痛くなってきた……。あ、絆創膏…ありがとうございます。

僕…ですか?4年生です…あの小学校の……。さっきのは多分同じ学校の上級生で…、僕は知らない人だったんですけど、その、僕の家のことを知ってたみたいで、それで見つけられてはあんな感じに……。お姉さんはその服……中学生ですか?あ、ごめんなさい、制服に血がついちゃった……。ど、どうしよう……で、でも血は落ちにくいってお父さんが……。そう、ですか……。あの、本当にありがとうございました。きっと、きっと僕が大人になったら、またお姉さんにお会いできたら、恩返しします。…必ず。


②火曜日

(16歳)

いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?……はい、珈琲がおひとつですね、かしこまりまし……あ。……え、や、えっと……凄い量の本ですね……?すみません、急に話しかけたりして……。え?問題?……この本がなにに見えるか、ですか?んー……小学生の教科書に見えますけど。やっぱりそうですよね。……なんで小学生の教科書を持ってるか?クイズがお好きなんですか?……質問に質問を返すなって、急に喫茶店の店員にクイズを出すあなたも変わり者だと思いますけど……。わかりましたよ、えーと、そうだな…。小学生の教科書が好き…とか。

そりゃわかんないですよ!なんでなんですか?……へえ、教師を目指されてるんですね。ああ、この店この辺に住んでる常連のお客さんしか来ないので居心地いいですよね。好きなだけ居てください。

え?僕の名前ですか?……阿笠優です。あの……なんで名前を……。はは、気に入っていただけたなら良かったです。それではごゆっくり。


③水曜日

ああ、いらっしゃいませ。……今日もカウンターに座るんですか。常連のお客さんにはあっちのソファのほうが柔らかくて腰に優しいからって好評なんですけどね。

別にお姉さんをおばさんだなんて言ってないでしょう。……僕ですか?16ですけど……。若いって、そんな変わんないじゃないですか。……5歳なんてあってないような差ですよ。

……まあ確かに、僕が小学校に入学したときに5年生だから、学校が被るのって2年しかないですね。……僕が小学4年の時は………そっか。……や、やっぱおばさんだなーと思って。いてっ、あー未成年殴りましたね?…ふふ、冗談ですよ!お姉さんってこの辺に住んでますよね。行ってた中学校ってあの角のとこの学校ですか?

エスパーないですって(笑う)ここに来る人はこの辺に住んでる人だし、この辺に住んでる人は大抵あそこの中学校なんですよ。僕もそうでしたしね。……お姉さんが先輩?そんなふうには思えないけど。…いてっ


④木曜日

お姉さんって、なんで教師になろうと思ったの?……別に、なんとなく気になっただけ。

違う、お姉さんのことが気になったんじゃなくてどうして教師になったのかが気になるんだ。照れてないし。ほんと調子いいんだから……拗ねてない。

で?なんでなの?……お姉さんが中学生の時に?……うん、…へえ……じゃあ、お姉さんが助けてあげたその男の子みたいな子を守るために教師になるんだ。

ふうん……その男の子って何歳くらいだったの?……小学4年生か。

別に気になっただけだって、あ、お姉さんのことじゃなくて、ね?

腹黒?そんなこと初めて言われたなあ?反応を面白がってるって?……はは、だってお姉さんっていじり甲斐あるし。表情がコロコロ変わって面白いんだよ。


⑤金曜日

僕、もうすぐ試験なんだ。うん、期末の。だからこのバイトもあんまり入れなくなるから。

丁度いい?なんで?……あ、お姉さんも試験が近いの?…そっか、教員免許の試験なんだ。じゃあそれ取らないと教師になれないのか、大事な試験だ。しばらく会えない?そうだね……まあでも仕方ないよ、お互い重要な時期だから。

寂しいかって?……ま、少しは。ちょっと!…っもう髪の毛ぐしゃぐしゃにしないでよ、また子供扱いして……。言ったでしょ、5歳なんて大した差じゃない。

……僕の将来?……考え中だよ。いやだ言わない。お姉さんには絶対に言わない。……だれが反抗期だ!お姉さんは自分の心配をしてよ。ここですごい勉強してたしきっと大丈夫だと思う。

うん……応援、してる。……ありがとう、僕も頑張るよ。


⑥土曜日

いらっしゃ……あ。びっくりした……久しぶり。ってまたカウンターに座るんだね……。はいはい、いま珈琲入れるよ。……それで、ここに来たってことは落ち着いたの?

ああ、おめでとう!免許取れたんだ!じゃあこのままうまく行けば教師になれるんだね。

よかったね、夢が叶いそうで。きっとそのきっかけになった男の子も喜んでると思うよ。

……僕?そりゃまあ嬉しいよ。頑張ってたの見てたし……。頑張ったかいがあった?そこまで?なんでそんなに喜んでるの?僕のために頑張ってたわけじゃないでしょ。

え……。え、嘘だ、気づいてたの?……僕が、あのときのイジメられてた小学生だって。

だ、だってそんな素振り一度も……、そりゃ僕は気づいてたけど、あなたは気付いてないって思ってたし、なんなら覚えてなんかないって……。僕は、…僕はずっとあなたのことを忘れられずに生きてきたのに……6年も前のことなんて言って気持ち悪がられたらって怖くて……。なんだよ……、僕のために頑張ってたって……。……ずっと、会いたかった。


⑦日曜日

おはようございます、先生。今日もよろしくおねがいしますね。……え?先生は辞めて?だって先生だし。……まあ僕も同じ先生だけどね。僕がこの学校に就任したときのあなたの顔ったら……ふふふっ、いてっ、あー暴力。社会人になったからって暴力ふっていいわけじゃないんだけど。

なんで教師になったか?……そんなの決まってるでしょ。あなたの仕事ぶりを見張るためだよ。

いてて!……はは、冗談。ほんとは、恩返しがしたかったんだ。僕を助けてくれたあなたが、僕みたいな学生を助けるために一生懸命な姿を見て、僕もあなたみたいになりたいなって。

あ、今僕の髪の毛ぐしゃぐしゃにしようとしたでしょ。照れ隠しだって、知ってるんだからね?背も僕のほうが高くなったし、この細い腕を掴む力も強い。気付いた?……僕男だよ?

子供扱いしないでって言ったでしょ、5歳の差なんてあってないようなものだからね。覚悟して、ね?お姉さん。

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