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洞窟に男が落ちた話後編

それからしばらく岩しか見えない道をひらすら歩いた。10分ほどだろうか?それだけ経っても出口どころか光が差し込む様子すら見えない。

おかしい。すぐ近くに地上へ続く道があると思ったのだが........周りが薄暗くとも見える明るさがあるため出口が近いとネット知識ながらに考えていたが、その憶測は間違いだったかと思え始める。

そこから急に体にだるさがのぼってくるようになった。現状の解決策が思い浮かばず、先の見えないこの状況に憂鬱さばかりが募った。

それからほどなくして疲れがピークを達し、近くの目についた手頃な岩で休むことになった。休憩し体力を回復している内に解決策を考えないといけない。そう焦りながら黒須は腰を下ろすと膝に違和感を覚える。

ズボンのポケットに何かが入っている。カードのような形状だがそんなもの入れた覚えがなかった。

恐る恐る手に取るとそれは真っ黒な表紙の冊子だった。その大きさはゲームの説明書を思い出させる。裏を返しても真っ黒な紙面が続いており、何も書かれてはいない。息を飲んでざらざらした、羊紙だろうかの、その黒い表紙に触れ冊子を開くと、そこにはつらづらとよく見る文字のフォントで、現状についての説明が書かれてあった。

その内容をまとめると、

曰く特定の文化と風習、人種から土地を、所謂”国”で別けてそこから代表となる3人を選び、この選定に呼び出したと。

曰く我々地球人は試練を乗り越えることを迫られ、その義務を代表が担うことになったと。

曰くハンデとして後述されている中から特典を一つ選び、それをもって試練の壁を乗り越えろと。

試練を乗り越えることを願う、と最後にはそう締めくくられていた。

突然このようなことを伝えられ、彼は混乱したがいたずらにしては綺麗に内容が凝っている。妙な信憑性も持っていた。あと最後の一文。励まされて嫌な気分になる人はいない。それだけでも読んで良かったと思える。そう結論付けて次のページを開いた。彼は流されやすい性格だった。


次のページには今までとは違う大きなフォントでデカデカと数字が真ん中に書かれてある。それは0、0、0、7と4文字だけ書かれており、、今00:06になった。

、、、てこれ制限時間じゃねえか!!!

急いで他のページをめくっていくがどのページも文字が一面にびっしり書き込まれ、それ一つ一つが特典を示しているようだった。順番に読み解とうとするがパニクっていてその意味が頭に入ってこない。内容を読む時間も余裕もなかった。それでもこのまま選ばないのはまずいという危機感はあったため、一つでも良さそうなものを見つけたら選ぶことを決意する。今目を通していたところから順に読んでいくが、、、

体力up小、攻撃力up小、俊敏力up小・・・・歌唱力増加、料理人、八方美人、道化師、

・・・このページはダメだ!もっと緊急時に使えるスキルじゃないと!

ページを変えようか悩んだ矢先、突然体が光り始める。これはもうやばいと直感的に判断し、次に見るはずだった特典をとっさに選んだ。後悔する時間もなく、次の瞬間には体全体が黄色い光りに包まれた。タイムアップだ。そう思った彼の意識は次第に薄れていき洞窟から光り輝く光の柱と共に消えていく。いつもの暗闇が洞窟に戻ってきた頃には、そこに人の気配はなかった。


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