シクラのステータス
2019/7/24/16:06 投稿
僕の通っている高校は夜雲市にある。特に電車を使う必要もなく、自転車に乗る必要も無い。歩いて行ける距離だった。
僕はいつも通りの時間に家を出た。やはり代わり映えの無い通学路を歩く。僕の肩の上には大きな変化があった。それはラコルが座っているということ。
「シクラの現在のステータスを教えるニャ」
彼女はそう言った。
「ステータス?」
僕はつぶやいた。なんだろう。RPGゲームならやったことがあるが。
ラコルが語るところの僕のステータスはこうだ。
シクラ LV1
力 7
固さ 4
素早さ 6
知能 12
運 11
HP 15
MP 7
攻撃力 8
防御力 6
容姿 88
武器 学生カバン。筆箱。制汗スプレー。
装備 学生服。ミロの靴。
スキル 無し。
魔法 無し。
アビリティ 読者の力。
聞いた感じでは僕は強くはないようだ。LV1だし。仕方無いか。
容姿だけは他と比べてぐんと高い。これについてラコルに訊いてみた。
「容姿? うん、まあまあ高いほうだニャ」
ということらしかった。
他にも読者の力とは何だろうか。気になったので訊いてみた。
ラコルは答える。
「前にも言った通り、このライトノベルはリアルタイムで小説家になろうにアップされているニャ。これからシクラが困難に出会って、それを解決したいと思った時、読者にお願いすると良いニャ。読者が叶えてあげたいと思い、それを感じ取ったあたしのご主人様が魔法の力で、願いを叶えてくれるニャ」
「そ、それって……」
何でも叶えられるってことなのかな。
「ご主人様の限界を超える願い以外は叶えられるニャ。まあ、分からない能力はさっそく試し撃ちしてみると良いニャ。例えば、好きな女の子と恋人になりたい、とかでも良いんじゃないかニャ?」
「そ、そんなこともできるの?」
「そんなことも? 別に、変な願いじゃ無いと思うニャけど」
「そ、そんなことできないよ」
「できないも何も、読者次第ニャ」
「ほ、本当に?」
僕はひきつった笑いを浮かべた。
「何、ほっぺを赤くしてるニャ」
僕は両手を顔に当てた。
「い、いいのかな?」
「良いニャ。やってみるニャ」
「わ、分かった」
僕は覚悟を決めた。