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果樹園


『ウォンウォン!』


「……んあ?ああー、クロおはよー」


『主、はよう飯仕度をせい』


もうクロとシロに起こされるのに慣れた宗太は二匹を撫でてから畑へ向かった。




「すっかり復活したな!」


たわわに実る畑に満足した宗太は朝ご飯仕度を始めた。


「おーい、飯だぞー!」


『ワフ!』


『おおー、待っておったぞ!』


いただきますをしてから食べ始めると、シロが食べながら今日の予定を告げた。


『モシャモシャ……今日から少し遠出をするからしばらく飯はいらんのじゃ。数日後には帰るでのう……モグモグ』


食べながら喋るなと注意しつつ宗太が問いかけた。


「そうか、どこへ行くんだ?」


『メスの動向をいちいち聞くオスはモテんぞ』


「…………」

(こいつ、何か企んでいるな)


宗太はジト目でシロを見つめていると、シロは急いでご飯をかきこんだ。


『モグモグ、ゴクン。ワシは急ぎの用があるでのう』


いそいそとシロは駆けていった。


宗太は怪しみながらもシロを見送った。


(まあ、そんな悪いことばかりしているわけでもないだろうしほっとくか)


「今日は後回しにしてた果樹園でも作るか!クロ手伝ってくれ!」


『ウォン!』


クロは、はち切れんばかりに尻尾を振って宗太にまとわりついた。


『主殿ー、おはようございます!』


そこへゼルギオンが空から降り立った。


「おお、ゼルおはよー。ちょうどいい所に来たな!今日は果樹園を作るから手伝ってくれ」


『果樹園ですか!?喜んでお手伝いします!』




宗太達は拠点を広げて果樹園のスペースを作った。


「クロ、すっかり開拓に慣れたな!」


『ウォン!』


クロは得意気に吠え尻尾を振った。


辺りはクロの風の爪で倒された木々と同じく風の爪で掘り返された土があった。


『本当にクロ殿は器用ですね!あっという間でした』


ゼルギオンは倒れた木々を軽々と持ち上げ一ヶ所に集めながらクロを褒めた。


「いや、ゼルも充分スゴいから」

(見た目が少年なだけにギャップが酷いことに……)


サクッと整地を済ませ、前もって植える果樹候補を決めていた果実を具現化した。


リンゴ、みかん、オレンジ、グレープフルーツ、ブドウ、レモン、桃、サクランボ、梨、オリーブ、ブルーベリー、柚子、マンゴー、パイナップル、バナナ、柿、栗、梅をスキルで出した。


冬用と夏用と春・秋用の三区画作り、それぞれの区画の中央に土の魔石と緑の魔石を埋めた。


それと、前にゼルギオンが持ってきてくれた炎の魔石を夏区画に埋め、氷の魔石を冬区画へ埋めた。


「ゼルが前に色々な魔石を持ってきてくれたおかげで、氷の魔石で気温を下げることができるから冬用の作物も育ちやすいから助かったよ」


パアーッと表情を明るくしたゼルギオンは元気よく答えた。


『いえいえ、主殿のお役に立つのは当然のことです!』


ゼルギオンはすっかり宗太の従魔気取りであった。

宗太はゼルギオンの姿が犬のように見え、尻尾を振っている様が想像できて思わず笑った。


(まったくコイツ等は。それにしても魔石っやつは本当に便利だな。これなら俺の植物操作スキルを使わなくても果樹園は良さそうだな)


緑の魔石や植物操作スキルで気候関係なくいくらでも強制的に実らせることはできるが、宗太は果樹園は基本は放置することにしようと思っていた。

魔力には際限があるし、やはりスキルで収穫するのは風情がないと思っていた。


『ワフ!主、次ハ何スレバイイ?』


クロとゼルギオンは楽しそうに宗太の指示を待った。


「よし!クロは区画全体に等間隔で果実を埋めれる程度の穴をあけてくれ。ゼルはこの夏の果実をこの夏区画に埋めてくれ。残りの冬区画と春・秋区画は俺が埋める」


『アオーン!』


『はい!』


クロとゼルギオンは張り切って果実を埋めていく。






みんなで楽しく果実を埋めていき全て埋め終わる頃には日暮れになっていた。


「よし、全部埋め終わったな!早速育てるとしますか!植物操作!」


芽が出てみるみると成長し葉が茂り実っていった。


「昼飯も食い損ねちまったし、少し早いが晩飯にしよう!今日だけはスキルで大盤振る舞いだ!」


『アオーン!』


『わーい!』


「今日から果樹園解放だ!」


宗太達は新たな果実の味に舌鼓をうちながら、どれが一番美味しいか談笑した。


『主殿!このマンゴーという果実は最高ですね!バナナも沢山実るのがとてもいいです!』


ゼルギオンは自分で埋めた果実だからか、元々ナンゴクフルーツが好みだったのか夏の果実をべた褒めした。


『主!梨ッテヤツ美味イ!ブドウッテヤツハスゴく美味イ!』


クロほ鼻息を荒くしながら宗太に言った。


「ハハハッ、好みの果物があって良かったな!」


サクランボを摘まみながら宗太達は笑い合った。




外が真っ暗になり、ゼルギオンが帰る時には取れたての沢山の果物をカゴいっぱいにお土産として持ち帰らせた。


宗太は徐々に広がっていく拠点に胸を踊らせながらマナキノコを食べて眠りについた。


「……ふんぐぅ……っ!」


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