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プロローグ




「ここはどこだ?」




男は辺りを見渡すが真っ暗で何も見えない。


「ん?なんだ、あの光は?」


突如前方に明かりが見え、誘われるように向かうと、机と椅子とパソコンがあった。


「なんだ、パソコンの明かりか」


男は疑問に思いながらもパソコンを覗いた。そこには、


“異世界転生の手引き”


と書かれていた。


「なんだこりゃ?」


何気なくクリックしてみると、ズラーッと目次が現れた。

男は意外と冷静であったが、スクロールさせていく内に自分の名前を見つけ悪寒が走った。


恐る恐る、“国見宗太”という自分の名前をクリックするとそこには、宗太の人生の全てが載っていた。


親でさえ知らないことや宗太自身が忘れていたことさえも載っていて恐怖や吐き気に襲われたが、最後の一文に戦慄した。






―――六月四日、仕事場の仮眠ベッドにて過労により死亡―――






「……はあ!?えっ!?」


宗太はこの空間に来て初めてパニックになった。


「ないないない!それはない!だって俺、今生きてる、し……」

(……そういえば、ここはどこなんだ?……もしかして死後の何もない空間なのか?)


宗太は今まで大量の仕事に忙殺され過ぎて、ここ最近は感情の起伏すらほとんどなかったが、死んだとなれば話しは別だ。


楽しい人生を夢見て、辛い下積み時代を過ごしていたのに、その辛い下積みだけで人生を終えたとなったら、何のために頑張ってきたのか分からなくなる。


宗太はパソコン画面に映し出された自分の人生を見た。






口下手で引っ込み思案なため友達もできず誰かと遊ぶという経験もほとんどなかった幼少時代。


イジメられこそしなかったが完全にいない人という空気扱いの少年時代。


頑張って頭の良い大学に入るも人との距離が測れず大学デビューに失敗し、ひたすら勉学に勤しむ痛々しい大学生時代。


勉強した甲斐あって狭き門を乗り越え官僚という勝ち組人生を約束された職に就くも、給料は少なく議員に頭を下げ、胃も心も痛めながらタコ部屋に軟禁されて働かされる社会人時代。






宗太は涙を流しながら自分の人生を目で追った。


「うっ……、うぐっ……」

(これから!これからだったんだ!俺の人生は!何のために頭のおかしい上司の無理難題に耐えて、無能な議員のご機嫌取りまでして……!)




宗太は時間の進みも分からない暗い空間で、何時間も何十時間も泣き続けた。




久しぶりに感情を爆発させ切った宗太はようやく落ちつき、冷静に現状について考え始めた。


(まずは、本当に死んだのか確かめないとな)


宗太は真っ暗な空間をひたすら歩き続け行き止まりを探すも、歩いても歩いてもパソコンとの距離はひらかなかった。

床を叩いてみても音も鳴らないし、叩いた手も全く痛くない。

試しに自分の腕を噛んでみたが、痛みどころか歯形もつかなかった。


(なるほどな。ここは地球ではなさそうだ。死後の空間と断定はできないが、可能性は高そうだな)


「んで、このパソコンだが……」


宗太は“異世界の手引き”を全て隅から隅まで何度も読み返した。


「ふむ、要約すると地球じゃない剣と魔法の異世界に特別なスキルを持って転生できるよ!ってことか」

(なんかゲームみたいだな)


目次から次の選択画面に移ると個人プロフィールの確認と変更画面が現れた。ここで名前や年齢や種族が変更でき、初期装備も選べるようになっていた。


「んーと、名前は国見宗太でいいな。年齢は二十五歳にしておこう。見た目は若いほうがいいからな。種族は人間以外は嫌だからこのままで。初期装備は……、あんま選べるものはないな。まあ無難に旅人の衣装セットと旅の小道具セットと携帯食料でいいだろ」

(どれどれ、俺の基本ステータスは……)




【国見宗太】


性別:男  年令:二十五歳  種族:人族


初期装備:旅人の衣装セット

    :旅の小道具セット

    :携帯食料


初期ステータス

体力:D

攻撃:D

防御:D

魔力:B

魔攻:E

魔防:E

俊敏:E

器用:A

幸運:B


初期スキル

Aランク

・精神異常耐性A 

Bランク

・精神疲労耐性B ・睡眠耐性B ・忍耐

Cランク

・肉体疲労耐性C ・集中 ・速読

Dランク

・交渉




(よ、弱ぇー。ステータスはFが最低みたいだがEとDばっかの低水準。器用でちょっと運がいいだけとかただの一般人じゃねーか!唯一、魔力が高いけど魔攻と魔防が低すぎて全然活かせねー!スキルはAランクのがあるからまだいいけど、精神異常耐性かあ。精神疲労耐性と睡眠耐性がB……、心当たりがありすぎて涙がでそうだ。しかし、忍耐は当たりスキルだな。黙って耐えてれば防御と魔防が大幅にプラスされるって俺にピッタリだ。集中も器用さが上がって作業効率が上がったり攻撃の命中率も上がるようだから、なかなか優秀だな。速読と交渉はそのまんまだな。速く読めるのと相手の顔色を伺って話しを進めやすくするってやつだ。はあ、なんだろう、ランクの高いスキルと使い勝手のいいスキルがけっこうあるのに全然嬉しくない)


宗太はもやもやした気持ちのまま決定を押し、次の画面に進むと今度はスキル取得画面が現れた。




国見宗太 所持ポイント50


Sランクスキル 消費ポイント10

・不老不死 ・無病回帰 ・全知全能

・絶対防御 ・絶対攻撃 ・生殺与奪

・天地創造 ・生命創造 ・時空支配

・運命支配


Aランクスキル 消費ポイント6

・不老長寿 ・不労不屈 ・不眠不休

・健康快癒 ・肉体活性 ・魔力活性

・超再生 ・予知神託 ・世界全書

・以心伝心 ・心眼 ・呪殺宣告

・多重演算 ・多重結界 ・多重封印

・物理反射 ・魔法反射 ・不変不動

・必中 ・完全消滅 ・蘇生

・能力奪取 ・魂魄奪取 ・生命吸収

・魔力吸収 ・重力操作 ・天候操作

・土石操作 ・植物操作 ・水流操作

・時間操作 ・記憶操作 ・同族支配

・魔物支配 ・精神支配 ・無限収納

・瞬間移動 ・浮遊飛行 ・万能適応

・変幻自在 ・具現化 ・急成長

・良縁幸運

・全武術ランクB

・全魔法ランクB

・全耐性ランクB


Bランクスキル 消費ポイント3

・不老 ・長寿 ・回復 ・再生

・電光石火 ・肉体強化 ・魔力強化

・魔力節約 ・言語理解 ・解析

・看破 ・探知 ・遮断 ・地図

・結界 ・封印 ・透化 ・同化

・指揮 ・占い ・呪い ・攻撃追尾

・攻撃貫通 ・解呪 ・成長促進

・魔物操作 ・転送 ・収納 ・浮遊

・飛行 ・停滞 ・危機察知

・思考加速 ・瞬間記憶 ・幸運

・○○職人極

・1つ武術ランクA

・1つの魔法ランクA

・1つの耐性ランクA ……etc.


Cランクスキル 消費ポイント1

・視力強化 ・聴力強化 ・嗅覚強化

・味覚強化 ・触覚強化 ・腕力強化

・脚力強化 ・魔力操作 ・夜目

・感知 ・偽装 ・変装 ・感知

・鑑定 ・体温調節 ・集団連携

・超音波 ・硬化 ・消化 ・吸収

・悪食 ・水中呼吸 ・土中呼吸

・○○職人匠

・1つの武術ランクB

・1つの魔法ランクB

・1つ耐性ランクB ……etc.




(めぼしいスキルはこんなもんかな)


宗太はSランクとAランクのスキルの詳細を何度も読み返し、BランクとCランクのスキルは数が多すぎるのでめぼしいものだけ熟読した。


(こんなゲームみたいなことが本当に起こるのか疑問だけど、万一本当にスキル持って転生できた時のために慎重に選ばないとな。どうせこの空間では暇だし他に考えることもないしな)


いつも通りの平静さを取り戻した宗太は気持ちを切り換えて新しい人生を夢想した。時間経過の分からない空間で宗太は何時間あるいは何日間かの長い時間をどのスキルを取得するか考えるのに費やした。




「よし!とりあえずSランクはなしだな。神がかり過ぎてとてもじゃないが俺には扱い切れん。不老不死とか、死なないとか怖すぎだし」

(気に入らない奴をサクッとアレしちゃえる生殺与奪なんかは心引かれるけど、異世界ではもう上司みたいな嫌な奴等からはとことん逃げて暮らせばいいしな)


「決めた!俺は異世界では憧れの田舎暮らしをするぞ!どうせまともな人付き合いなんて俺にはできんからな。人気のない山奥にこもって畑を耕して、スキルを活かして悠々自適な生活を送るぞ!」


目標を決めた宗太の目はかつてと違い輝いていた。


(俺の所持ポイントは50だから無駄なく欲しいスキルを詰め込むには……)


「まずはAランクスキルの不老長寿は絶対必須。6ポイント消費するけど、老いないのがいいしやっぱり長生きはしたいしな。それとセットで欲しいのは健康快癒だな。病気にならない上に状態異常や体が欠損してもある程度治るんだからAランクでも充分神スキルだ。後は俺の安全のために多重結界と魔物支配があれば、どんな山奥だろうが魔物に怯えなくても大丈夫だろう。あと植物操作があればどこでも畑を作れるだろうし、無限収納があれば劣化せずに作物を長期保存できるから飢える心配はないだろう。具現化があれば日常生活や農作業に必要な道具を作れるからこれも必要だな。」

(ただ、具現化能力は触れたことがあって、ある程度構造を理解しているものしか具現化できないから制限が微妙に厳しいんだよなあ。それを差し引いてもだいぶ優秀だけどさ)


「そして一番大事なスキル、世界全書!これは世界の説明書だから、この本さえあれば全てが分かる!出し入れ自由で異世界語の翻訳機能まであって超万能!しかも俺の死亡原因は仕事で黒本読みまくった末の過労死だからな、本を読むことにかけてはまさに死ぬほど適性があると言っても過言ではない!ワーハッハッハッハーッ!」


宗太は上手いこと言ったと一人でウケて高笑いした。しかし、すぐにむなしくなり冷静になった。

法案作成時に過去の法令と矛盾のないように同僚と読み合わせしまくった日本の様々な法令が載った黒本は、宗太にとっては二度と見たくないトラウマレベルの本であった。


「えーと、これでAランクスキルが八個で、消費ポイントが48か。本当はBランクの飛行スキルが欲しかったけどポイント3だから無理だな。残りは消費ポイント1のCランクで一人で生きるのに必要そうな大工職人匠と料理人匠にしよう。家まで自分で作れたら完璧だろ。料理もせっかく畑作るんなら取れたてを美味しく料理できたほうがいいだろ。よし、これで決まりだ!」


宗太はスキル取得画面で欲しいスキルにチェックを入れ決定を押した。


次に出発地点の選択画面が現れ様々な国の都市や町や村の名前の一覧が出てきた。


(都市名なんか見ても分かんないし…。あっ、詳細見れるわ)


国の風土や国民性、特産物など詳しく載っていたが、あまり人と関わり合いたくない宗太にとってはどこも同じようなものだった。


都市名の一覧をスクロールしていくと人気のない森や山などの地域からも出発地点を選べることが分かり、魔の森という前人未到の秘境があることが分かった。

地図で見ると、魔の森はたいていの国と隣接しているほど近いわりに人が奥まで踏み入れたことがないという事実に宗太は疑問を抱いたが、魔の森の詳細を見て納得がいった。


(なるほど。単純に強い魔物が出るだけじゃなくて森全体に濃い魔素や障気に満たされてて長い間森には居れないわけね。しかも奥に行くほど障気が強くなって魔の森の最奥の山にはドラゴンが住んでるのか。こりゃあ誰も近づかないっしょ)


「よし!ここに決めた!俺は魔の森で隠者のごときスローライフを満喫してやるー!」


宗太は高らかに宣言して決定を押すと、突如パソコンが光り辺りが真っ白で何も見えなくなるほどの光を放った。



不定期17時更新。


完結目指してマイペースに頑張ります。

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