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逆召喚スキル……ゲットだぜ!



                 ・・・


 48時間後。


「ねえ……まだ?」


 自称運命の女神がそう言いながら深くため息をつく。


「ゆっくり考えさせて下さいよ」


 柴田は、メロンソーダ飲みながらもらった『能力カタログ』を眺めている。


「いや、私言ったよ。ゆっくり考えていいって。でもさ、限度あると思う。もうさ、2日経ってんじゃん? 私ってこう見えても忙しいんだよ?」


「……ちなみに運命の女神様っていつも何やってんですか?」


「まあ……基本的にはいたずら。君のところの世界だと、風でリーマンのヅラ飛ばしたり、トイレで携帯落とさせたり、自動販売機にお金入れようとする指を滑らせて100円玉を落とさせることとか――」


 ……暇なんじゃないですか、と思わずツッコみそうになったガチクズである。


「よし、決めた。三国志の世界で無双。これに、決めた!」


 言い方が、キモい、とは運命の女神の想いである。


「あっ、それ却下」


 運命の女神様はあっさりと答えた。


「……なんでも叶えてくれるってさっき言ったのに」


「だって三国時代って地球でしょ。次に君が行く世界にはないんだもん。それに、そこらへん至高神の管轄だもん」


「え゛っ! できないんですか?」


「……できないよ。気の毒だけど」


 その答えに、柴田は愕然として膝から崩れ落ちる。


 嘘だろう……ユメタタレタ……ユメ……オワタ


「呂布奉天の戦も、赤壁の戦いも、三顧の誓いも見えないの?」


「……メジャーどころばっかじゃん。実は、そんなに詳しくないでしょ」


 ビシッと痛いところを指摘する運命の女神。確かに、柴田の知識はゲーム、漫画が主。小説は小学生の頃に一回読んだだけである。


 しかし、それをごまかすようにごねだすガチクズ。


「あ゛ー、じゃあなんだったらできるんだよあんたっ!」


「大抵の事できるのよ! だからそういう外部的なのは無理って言ってるでしょ!」


「会いたい! 会いたい会いたい! 劉備玄徳に会いたい! 貂蝉の舞が見たい! 小橋と大橋と3Pしたい―――――!」


 の……脳みそ腐ったやつ来ちゃった、と運命の女神は思う。


「あああああああああっ! もう、うるさいわねぇ。わかったわよ、ちょっと待ってて」


 そう言って、おもむろに運命の女神は空を見上げる。


「時空神? 聞いてたでしょこのストーカー!? ん? 聞いてない……嘘つけ、聞いてんじゃないの! ……そう、まあ私もそれしかないかなって……はい、じゃあそこら辺の調整お願いね」


 再び柴田を睨む運命の女神。


「あの……どうでしたか?」


 なにやらわからないが、調整らしきことをしてくれたことは察した柴田。


「残念だけど、三国志の世界には行けな――「嘘つき!」


「最後まで聞きなさいこのガチクズ!」


「!?」


 運命の女神を怒らせた。


 柴田、怯える。


「ふぅ……ふぅ……私は運命の女神……万民の聖母……」


 必死に己の感情をコントロールする巨乳美女。


「まあ、三国志の世界には行けないんだけどさ。三国志の英傑を召喚できるスキルならあげられるわ。今、時空神とだいたい誰でも召喚できるように調整した」


「ほ……本当ですか!?」


「うん。嬉しい?」


「嬉しいです! ありがとうございます! よーし、裸一貫……やってやるって!」


 その言い方もすごくキモいし、こんな下種びた裸一貫を私は見たことがない、とは運命の女神がひそかに思ったことである。


「じゃあ、そろそろお別れで――」


「あの……もう一つ欲しい能力があるんですけど」


「あーもう、なに?」


「僕、ガチャ好きなんですけど、ガラクタができたり、レアものができたりするんじゃ駄目ですか?」


「……できるけど」


「じゃあ、それもください」


「まあ、別にいいけど。じゃあ、その能力でいいのね」


「ありがとうございます! あと、僕アイドル育成ゲーム好きじゃないですか」


「……知らないけど」


「だから、僕もその……応援スキルと言うか、そういうの欲しいんです。僕が応援した子が下克上して上にのし上がって、やがて総選挙で1位になって……『私のことを嫌いになっても……あなたの事は好き❤』なーんていう冴えない僕とアイドルの恋愛物語的な要素が欲しいんですけど」


「……君って、基本的に世間舐めてるよね。いや、まあなんでもいいんだけどね」


「いいんですか! やったぁ!」


「じゃあ、そろそろお別れで――」


「あの……もう一つ――」


「なんなの! もう、行きなさいよ! 我儘にもほどがあるでしょ!?」


「相手のパラメーターが見える奴が欲しいんです。ほら、ラノベでよくあるでしょう? なにか叫んだら、ロープレみたいにステータス見える奴」


「そんなのいるの? 基本的に争わないんだから要らないでしょ! 何、サイドメニューのポテト的なノリでつけようとしてるのよ!」


「……えっ、駄目なんですか?」


「駄目じゃないよ。駄目じゃないんだけど、図々しすぎない? ちょっと考えてみてよ。普通能力って一人一つなのよ。ええ、決まりはないわよ。決まりはないんだけど、もう一つ、もう一つとかって御代わりしないよ。どうなの人として?」


 どうやら、運命の女神は、滅茶苦茶怒っているらしい。


「……すいませんでした。じゃあ、もういいです」


「えっ……そう」


                     ・・・


 しばらく2人の間に気まずい沈黙が流れた。


「いや、まあ色々あったけどそろそろお別れね」


「ふぅー……そうですね。もしかしたら、今日の事、一生後悔するかもですけど。はぁ……」


「……なんなのよ!」


「何がですか?」


「なんなのよそのガッカリ感は! こんだけやってあげたのに! 普通めちゃくちゃ喜ぶのよ!? ちょっと自分の望みが叶わなかったからって、そんな哀しい顔で……もっと喜びなさいよ。あんた666兆6666億6666万6666人目の死者なのよ! 私のこのテンションどうしてくれるのよ!?」


「でも……無理なんですよね?」


「……わかったわよ! つけてやるわよ、なんでも、もう、なんでも好きな能力つけてあげるわよ。今のうちに全部言いなさいよ!」


 なんか知らないけど、柴田は、他にも色々オプション的な能力をつけて貰えた。

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