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夜の考察

今回は切りが良いとこに行くために少し短め、しかも少し重めです。


ほのぼのさせたい、けど厳しい。

 キュピリアは申し訳なさそうな顔をしていたので、俺はそんなに気にすること無いとなだめてようやく落ち着いた。キュピリアも自分で言うのもなんだが絵を相手に魔法を教えるというめったにない経験ができて、息抜きになったのではないだろうか。


 さてキュピリアに提案をし、その後なんだかんだで魔法を教わることになった日の夜。俺は『カバー』の中でいろいろ考えていた。なぜ魔法が成功しなかったのか……などだ。やはり俺も男なので、魔法にあこがれるのだ。


 だが、その俺の個人的な悩みの前に優先させるべき問題があった。


 それは、キュピリアの抱えている問題だ。


 俺はキュピリアの現状をできるだけ良い方に持っていきたいが、壁に書かれている絵に何ができるというのか。正直俺ではキュピリアの話し相手にしかなれない。


 キュピリアの現状は地球の児童相談所とかに持っていけば即座に対応してくれるような状態だ。俺はそのような状態に追い込まれているキュピリアを放置はできない。


 だが、俺はこの世界についてまだまだ無知だ。有用な公的機関などは知らない。存在するのかもわからない。壁から離れられないので、情報源がキュピリアの発言くらいしかないのだ。だが、おそらくキュピリアは公的機関や、こういう時に助けになってくれる組織など知らないだろう。彼女は世間を知る前にあの叔母によってここに閉じ込められているのだから。


 だが、そんな状態でもこの世界の公的機関に一つだけ心当たりがある。今までの会話で出てきたギルドだ。


「画家ギルド……か」


 そう、画家ギルドである。


 キュピリアは詳しく知らず、それゆえ俺も知らないことが多い画家ギルドだが、このような状況で何もしていないのだろうか? キュピリアには悪いが向こうは彼女の両親……『ダブルヘッドドラゴン』の作品を画家ギルドは見続けてきたんだ。彼女の絵は確かにすごいが……『ダブルヘッドドラゴン』とは別人・・の絵だ、画家ギルドが気が付かないものなのだろうか?


 正直、画家ギルドがどのような組織なのかは分からないが、気が付いていないのならそれはキュピリアがすごいのか画家ギルドが節穴なのか……


 なにか、こちらに対して行動を起こしてくれると助かるんだが……


 だいぶ壁に張り付いたままの生活にも慣れてきたし、次にするべきことは画家ギルドの動向の把握だな……そして、その動向次第で俺がキュピリアにしてやれることも変わってくるだろう。そう俺は思った。


 最悪の場合はキュピリアの現状をこれ以上悪い方にもっていかないようにしつつ、画家ギルド以外の真っ当な公的機関を探しキュピリアを保護するように働きかけないといけない。まあこれは画家ギルドとあの叔母が結託しているとか、すでに画家ギルドが腐っていて、悪事でも何でもござれのようになっていた場合なので、そこまで心配しなくてもいいだろう。


 キュピリアの話から聞く限りでは彼女の両親…………『ダブルヘッドドラゴン』はしっかりした人だ。そんな人が腐った組織に所属したままなんてあまり考えられない。



  ~~~~  ~~~~



 さて、とりあえずキュピリアの問題としては画家ギルドの動向を調べる、という事で結論が出た。残りは俺のロマンのため、魔法の考察をしよう。


 昼キュピリアが言っていたことから普通は俺の体が『ライト』で光るはずだ。だが俺は何も起こらなかった。


 最初、その説明を聞いたときに俺が『魔力』を意識できていないから使えないのかとも思ったが、生活魔法は『魔力』を意識しなくても使えるらしい。となると、キュピリアでは俺の体が光らなかった理由が分からないのだ。キュピリアはあくまでも画家なのだから。その前に子供なのだから。


 まあ、壁に描かれたドラゴンに明かりがほわっと出てくるのって、どこのプロジェクターだと言いたいが今回は俺が使いたいのだ。やはり行動範囲が狭くて、というか無いので暇なのである。


 それはともかく、なぜ俺は『ライト』を使えないのか。


 魔法を使うという意識が足りないのだろうか?


 やはり俺が絵だからなのだろうか?


 それとも、俺が未完成だからなのか?


 俺の今の状態は、というより今の俺の見た目は西洋風ドラゴンだ。そこにしっかりとした目があるはずなのだ。だが、俺の目があるはずの場所は空白となっている。最初にキュピリアの魔法で確認して、少なくない衝撃を受けたから間違いない。


 そういえば、あれが初めて見た魔法だったな。いろいろ驚いたからか記憶にしっかりと残っている。


 まあ、今問題なのはそこではなく、俺が未完成というところだ。つまり俺はガリョウ()として完成していないから、普通のものが当たり前にできる事……ここでは魔法を使うという事ができないのではないか? という考えだ。


 もしもこれが正しかった場合、俺一人ではどうしようもない。キュピリアに目の部分を描いてもらえればとも思うが、彼女の中では両親のことはまだ深い傷になっているのだろう。落ち着いて考えると、今日ドラゴン以外の絵を描いてみるという提案したときのキュピリアの反応は、ただ絵を描くことが辛いと言っているだけではなかったように思える。


 俺の目はいったん保留だ。今考えても答えが出ない。


 俺が魔法を使えない別の可能性……絵だからか? だが、確かキュピリアは芸術品には意思が宿ることがあると言っていたし、そんなことがあるなら絵が魔法を使えてもおかしくはないと思うが……


 先に、キュピリアに絵が魔法を使ったという前例がないか聞いておくべきだったな……まあ、また聞けばいいか。


 ほかに可能性はないか? キュピリアは生活魔法は魔力に反応すると言っていたよな。そこから順当に考えるなら、俺に『魔力』がないからか?


 ……今まで考えていたことが馬鹿らしくなるくらいしっくりくるな。なんで俺も気が付かなかったのだろうか? キュピリアもだが。


 なら、俺に『魔力』がないから失敗したと仮定して、どうすれば『魔力』を得ることができるのか。そもそも、なぜ俺に『魔力』がないのかを考えるべきだろう。


 『魔力』がない理由、まず考えたのがやはり絵だからではないかという事だ。だが、そもそも絵が喋っている時点で謎のエネルギーは消費しているからそれはないだろうと考えた。


 ではなぜか。そもそも『魔力』とは一体何なのか? 俺は最近のキュピリアとのやり取りを思い出すことにした。まずは今日魔法を教えていたキュピリアのことを思い出し、少し嬉しそうに魔法の話をするキュピリアは可愛かったと考えそうになり……


 俺はロリコンじゃない!!


 と、脳内で叫び声をあげる羽目になった。



  ~~~~  ~~~~



 とりあえず、落ち着いて魔法に関するキュピリアの言葉を思い出したところ、今日の昼、俺に魔法を教えてくれているとき、彼女はある重要なことを言っていたことに気づく。


 それは『魔法はこの世界の人なら誰もが持っているといわれている『魔力』というエネルギーを消費して扱います』といったことだ。


 正直俺はこのことに気付いたときかなりショックだったのだ。やはり前にも思ったように俺はガリョウでいるべきではないのかもしれない。


 どういうことかって? 簡単だよ。彼女の発言の重要なところは『この世界の人なら誰もが持っている』という部分だ。どおりで俺のような『ライト』の発動ができない、という前例がないわけだ。


 もう分かるだろう? 俺は転生しているが魂はここの住人ではない、この世界の存在じゃないってことだ。だから『この世界の人なら誰もが持っている魔力』が存在しない。だから魔法が使えない。至極当然で、当たり前のことだ。


 やはり俺はイレギュラー、異端の存在なのだろう。本来ガリョウ(ここ)にあるはずの存在が、それこそキュピリアの窮地をすぐに助けることのできる王子様のような存在がいたんじゃないだろうか?


 そんなことを言ったとき、キュピリアはガリョウ()が俺でいいということを言ってくれた。かなりうれしかった。だからこそ、ガリョウ()は俺の意志で何とかしてやりたいと思うのだ。



 いやなことに気付いてしまった。もう休もう。俺はそう思い意識を緩めた。



  ~~~~  ~~~~



 その日、俺は不思議な夢を見た。


「……頼……を、完………せ……れ。……む!」


 誰かが俺に呼び掛けてくる、そんな夢だ。とぎれとぎれになってしまい内容は分からない。本当に変な夢だ。珍しく考察などをしたから脳がつかれていたのかもしれない。


 関係ないかもしれないが、絵でも夢を見れることが分かった。


次回更新は未定です。

ゆったりですが書いていきたいです。

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