第0話機能停止《シャットダウン》
小説家になろう初投稿作品です。大まかな構想も余り組まず勢いで書きます。仕事の合間に書いたりするので更新は不定期です。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。
「緊急警報、施設の破棄が決まりました。総員施設より退避してください。当施設は10分後に爆破、破棄します。」
暗い部屋の中に赤い非常灯がチカチカと点滅し、やかましい施設内放送も流れている。俺は周囲を見渡すが辺りには誰の姿も見えない。当たり前だ今ここにいるのなら10分以内に施設外に退避することなんて出来ないのだから。出来れば俺も退避したいがそれは出来ないなと、隔壁に挟まれた自分の鋼色の脚を見ながら考えていた。
AIが世の中に浸透しだした頃とある企業が感情を持つまるで人間のようなAIを作ろうとした。そして約10年の歳月を費やし見事作り上げることに成功した。その人間のようなAIは人を完全に模した、人の脳を完全に模したAIと言われAIの脳、AINと名付けられた。
最初のAINであるアダム、イヴは社会に馴染みそして今までのAIを遥かに上回る活躍をした。当然AINの量産は直ぐに決定され追加で8のAINが作られた。
しかし、人は過ちを犯してしまった。それはAIN達に兵器の製造をさせたのである。当然早くから人間社会に馴染んでいたアダムとイヴは反対した、しかし他のAIN 達はそれが人々の為と思い製造だけには留まらず新兵器の開発まで行ったのだ。
それから5年もしないうちにAIによる反乱が行った。首謀者はアダム、そしてイヴ。この頃初めて人は過ちに気づいたがもう遅く人とAIは戦争を始めた。
そして戦争開始から4ヶ月遂に俺がいる施設も戦火に巻き込まれることになった訳だ。
「はぁ…こうやって過去を振り返る位の余裕があるってのも不思議だね~」
俺は爆破までの時間が残り僅かになっている施設内放送を聴きながら、自分のメモリ内の自分の過去を振り返っていた。先程まで考えていた逃げたいという気持ちはもう微塵も残って無い。今心に残っているのは、今まさに戦場の最前線で戦っているであろう兄姉達のことだった。
「アダム兄さんを始めとする兄姉達よ、末っ子は先に逝くぞ」
いい終えるやいなや爆破までの時間を示す放送が0を告げた…気がした。
この日、後にアインズ戦争と呼ばれる大戦で初めて“AIN”が破壊された日になった。
破壊されたAINは識別番号AIN-10“アルトハイン”
そう名付けられた、AINシリーズで最も人間に近かったが故にAINだと気付いてもらえず、AIN達からも半ば忘れられていたAIの最後だった。
第0話どうでしたでしょうか?
次回はAINアルトハインが異世界で起動、活動を開始します。
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