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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第六章 Level『禁忌』
59/85

Mission59.籠の中のトリ



少しずつ、『禁忌』について分かって来た。


国彦、灯茉、政と近が目撃した“誰か”は他の任務にあたっていた部隊でも目撃されたらしく、そして緋暮の証言から『禁忌』である事が確認された。


緋暮によれば、『禁忌』はボスとなる者を含め、人型は計5人。のち4人は幹部の者で緋暮も元幹部だったが他の者達と意見の食い違いから邪険にされていた模様だ。

それにより、その“誰か”が4人の中の誰かは分からないが幹部である事は間違いない。本部は緋暮から事情聴取を行ないながら対策を練っていくと云う。


頭(額)を負傷した国彦には一日安静している事が言い渡された。西珠は「頑張ったから一日くらい休んどけ」と国彦に休みを与えた。何故、国彦と灯茉を選んだか螢に聞くと「いずれ、ボク達はどういう形であれ、脱隊する。その万が一に備えて」と言われた。その途端に国彦が泣きそうな顔(ほぼ泣いていたと言っても良い)をしたのでとりあえず、みんなで頭を撫でくり回しときました。


休んでいる間はたまたま休みが被った壱華とシルク、弐薙、そして何故か懐かれた政と近の双子と共にゆっくりとした時を過ごした。


が、国彦はあの映像、写真が気になって仕方がなかった。灯茉に聞いてみようとは思ったのだが聞くに聞けないし、それになにより、それを考えると以前のように頭痛がするのだ。それの事を考える事をやめると頭痛はパタッと収まるのだが、脳が拒否している。

国彦はゆっくりと思い出す事にした。


が、その日以来、途切れ途切れの映像や写真のような夢を見るようになった。それを灯茉に最初は話したがそれを話すと彼は不安そうな顔をした。心配させてしまったのかと国彦は感じ、それ以降、その夢を見ても言わないようにしていた。それが最善策だと疑う事もせず………


**


そんなある日


〈ねぇ、この状況はなんなの?〉

「俺に聞くなよ亜矢都…」


千聖の臣下、大斧の状態で困惑した声色で亜矢都が言う。それに千聖は疲れたように言った。此処は食堂。任務前の腹ごしらえに第十部隊全員で来たのだが………


〈ねぇー聞いてる灯茉?〉

〈聞いておるから早よせんか〉

「駄目だ」

〈はぁ?イイじゃんちょっとくらいぃー!〉


その席に何故か双子がいる。あの件以来、政は管狐、近は灯茉に懐いてしまった。それ以来、2人を見つけるたびに寄ってくる。周りからは「また抱えてら(苦笑)&(笑)」である。


「2人共…仕事は?」


国彦が食後のお茶を飲みながら訊くと政が答えた。


〈オレら、仕事簡単なやつだからさぁー〉

〈すーぐに暇になっちゃうんだよね〉


部隊ごとの仕事は異なるがそんなに簡単に終わる仕事ものがあるのだろうか。ちょっと気になった。

と、そこへ任務内容が書かれたファイルを持った西珠とお盆を返して来た螢と弥厳が帰って来た。


「ほぉーれ、任務行くから双子おめぇらは散った散った」

〈〈えぇー〉〉


西珠が双子に去れとファイルで促すと双子は不満そうに声をあげ、口を尖らせた。それに国彦の隣に座っていた竜胆華丸が口元を押さえてクスリと笑った。今回の任務は竜胆華丸と緋暮も一緒である。いつも事情聴取だけではストレスが溜まるだろうと許可が出たのだ。緋暮は竜胆華丸の向かい側の席で暇そうにテーブルに突っ伏している。

管狐が椅子から立ち上がりながらポンッと政の頭を叩いた。


〈んっ?!〉

「帰って来たら狐幸と稽古やってやるから待ってろ」

〈ホント?!やった!〉

〈え、我が君、私もですか…〉


さらりと仲間に含まれて気分屋の狐幸もさすがに驚きの声をあげた。政は嬉しそうに笑った。それが聞こえたのか狐幸はしょうがなさそうに小さくため息をついた。


〈妾も行くからまた後での〉

〈絶対だよ?絶対!〉

〈分かった分かった〉


灯茉が国彦に向けるような優しい笑みで近に言う。以前、灯茉は国彦に〈弟が出来たようじゃ〉と語っていたので国彦も少し嬉しくなり微笑んだ。


「そんじゃあ、行くぞ」


さて、本日の任務に向かいましょう


本日の任務はいつも通りのように『忌鬼』討伐である。場所は昔、使われていたと云う織物工場である。今は廃墟だが豊かな自然が多く残っている珍しい場所なため、廃墟になった今でも残っている。その豊かな自然は四季折々の美しい風景を生み出すため、その風景を見ようと団体客が来る事も珍しくない。しかし、そんなところに『忌鬼』は住み着く。普段は防衛部隊が団体客などの護衛を務めたりしているが月に二度、戦闘支部がその廃墟での『忌鬼』討伐を担う。その一度目が戦闘支部第十部隊『神樂』の任務である。


〈〈自然豊かだね~綺麗〉〉


緋暮が目の前で色とりどりに咲き誇る花達を見て言う。それに近くにいた国彦と螢がしゃがみ込んで花を見、同意するように笑った。灯茉もそう思ったのか3人の頭上で微笑んでいる。

西珠が大剣を肩に担ぎ、辺りを見回した。それに習って千聖や管狐、弥厳、竜胆華丸も辺りを見回した。周りは自然豊かで『忌鬼』がいるような感じはしない。


「この花、持って帰っちゃ駄目だよね…?」

「ダメだねー此処、色んな人の憩いの場だから」

〈〈ん~写真とかは?〉〉

「「ナイスアイデア!」」

〈ひー!〉


国彦と螢がそれ名案!と緋暮を振り返ると竜胆華丸がたしなめた。今回は任務で来ているのだ。写真撮影ではない。それを思い出したかのように国彦と螢が慌てて立ち上がり、見回りしてますよと言わんばかりに周囲を見回した。それに2人の臣下が小さく吹き出した。


「んー」


西珠が『忌鬼』が見当たらないので首を傾げた。この調子なら帰っても良いのではないか。そんな考えが頭をよぎったが後でどうもと出てこられても困る。


「少し探索するか」

「そうだなー」


千聖が同意するように笑う。そして誰と言うでもなく、第十部隊は二手に分かれて探索しようとした。


〈〈?!〉〉

〈?緋暮?〉

〈どうした?〉


その時、緋暮が緊張した面持ちで竜胆華丸の前に何かから守るように立ちふさがった。それに全員が何事だと首を傾げた。その時、


「!!!???」


だだならぬ悪寒が走った。この感じ、何処かで体験した事がある。そう、あの戦争たたかい。『忌鬼』、『禁忌』に身を喰われた(捧げたとも云う)あの男と闘った時と同じ…!

理解した国彦が大太刀を構えると全員が意図を察し、武器を構える。


〈〈ねぇ、知ってると思うけど、僕達は大昔、力を奪われた〉〉


唐突に緋暮が真剣な声色で喋り出す。今度はなんだと全員が面食らう。


大昔、『禁忌』は力を奪われ、お社に封じられた。緋暮も力を奪われたが竜胆華丸との契約により、本来の半分の力を取り戻した。だが残りの『禁忌』は力を取り戻していない。それはボスとされる者も同じ事。


それは全員知っている。『禁忌』の姿を知らないだけで。

緋暮は何を言おうとしているのか?全員が首を傾げる。


〈お主、何を言っておる?〉

〈〈まぁ~聞いてよ。僕は大将様のおかげでちょっとだけ力が戻った。でも『禁忌あっち』は戻ってない。でも、でもね、事情聴取でも言ったけど僕の記憶だと別の方法で少しだけ力を取り戻す事が出来るの〉〉

『?!』


全員が今、自分達が相手にしている敵を理解した。敵は、『禁忌』。しかも力を取り戻す方法がある?自分達に勝ち目などあるのだろうか。

その時、美しい笛の音色がした。聞いた者の心を虜にするような音色だ。全員が突然の事に唖然としていると緋暮が不愉快そうに口元を歪めた。


〈〈貴方が来るなんて、『禁忌そっち』は何考えてるんだろうねぇ。手の内、晒したいの?〉〉


緋暮の挑発的な物言いに音色が止まった。全員が一瞬にしてその方向を振り向いた。山のように積もった瓦礫、そこにあの時の“誰か”がいた。太陽の光で逆光だがその顔が無表情なのは見て取れた。


「君は………誰……?」


国彦が小さく呟いたのを聞いたのかその“誰か”はニィと嗤った。




〈〈かーごめかごめ、籠の中の鳥は、いーついーつ出会う……〉〉



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進みます!

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