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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第一章 戦闘支部第十五期候補生
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Mission3.お茶と友人と厳しい訓練



体力を十分回復させた後、国彦は心配する千聖に付き添われて寮の自室へ戻った。壁に取り付けられた武器を置く取っ手に大太刀を置いて自室についている台所に向かう。ベッドの上では暇を持て余した灯茉がゴロゴロと寝そべっている。さっきまで臣下の契約をした国彦が大変な目に(体力が切れただけだが)あっていたのに。だがいつもの事なので国彦は気にせず、棚から2人分のマグカップを出すと台所に並べられたお茶が入った瓶のラベルを眺める。


「灯茉ー、お茶何がいい?」

〈ジャスミン茶〉

「本当、それ好きだよねーっと。えぇえと、昆布茶、昆布茶」


国彦は灯茉の要望のジャスミン茶と昆布茶のラベルを発見し、瓶の蓋を開けてマグカップに準備をしていく。


〈お主は戦闘支部の候補生なんじゃから、しっかりしろ〉

「いきなりナニ言ってんの?」

〈体力が無いお主に言っとるのじゃ。お主は体力面以外は優秀なのに…勿体無いのぉ〉

「なんでだろうね、体力面。じゃあ今度から千聖に体力作りお願いしてみよっか」

〈それが良い。国彦の成長ぶりを見るのは妾の楽しみじゃからの〉


カラカラと灯茉が嬉しそうに笑う。まるで自分の子供の成長ぶりを喜ぶかのように。長年、一緒だったのでいつの間にか息子のように思っているのかもしれない。

国彦はお茶を淹れたマグカップを灯茉に差し出した。彼はそれを起き上がって受け取ると息を吹きかけて熱気を飛ばし、飲んだ。が、次の瞬間に怒った顔をして国彦に怒鳴った。


〈国彦!これはお主の昆布茶ではないか!〉

「いいじゃん、昆布茶。美味しいから飲んでよ…ジャスミン茶美味しー」

〈あ、それは妾のじゃ!〉

「もう飲んだから交換なしねぇー」


悪戯っ子のようにニヒと笑う国彦に灯茉は悔しそうに顔を歪めながら本来は国彦が飲むはずだった昆布茶を飲んだ。

やっぱり、ジャスミン茶が良い。と思いながら灯茉は昆布茶を飲み干した。


**


「いいけど」

「やった、ありがと」

「いいって事よ。明日からやるか。時間とか内容は後で教えるな」


そう言って千聖は朝食のパンに囓りついた。

初日訓練の翌日。国彦は食堂で千聖に灯茉と話していた体力作りの件をお願いしていた。

食堂では朝食を食べる者と訓練が始まる時間まで暇潰しをしている2種類の候補生達がいた。寮の部屋に台所がついているため料理が出来る者は部屋で朝食を摂るがそうでない者もいるため食堂は毎日解放されている。それに此処はミーティングルームとしても活用されている。


国彦が座るテーブルには彼の正面で朝食を食べる千聖、千聖の隣の席に立て掛けられた大斧、亜矢都。そして国彦の隣の席には暇そうにむくれている灯茉が座っている。国彦と灯茉は朝食を自室で済ましている。


「にしても(もぐもぐ)体力面以外は(もぐもぐ)優秀って臣下かみさまから(もぐもぐ)言われるってすげぇな」

〈ちーちゃん、お行儀悪いわよ〉

「あ、悪い」

「大丈夫だよ、聞き取れたし」

〈違う、国彦、気にするとこ違う〉


ゴクンと千聖はパンを飲み込んだ後、「悪りぃ」と国彦と灯茉に謝った。灯茉は頬杖をつきながら国彦の言葉にツッコミする。それに亜矢都が笑う。千聖は再びパンを囓り、国彦は左耳のイヤリングを弄んでいる。亜矢都と灯茉が2人が話さない代わりにか話し始める。


「あ、そういえば」

「?なに?」


千聖が朝食を食べ終わり、「ごちそうさま」と手を合わせた後そう声をかけた。国彦が首を傾げ、話していた2人も千聖の話に耳を傾けた。その時だった。


「なぁ第十五期候補生にさ、ある国の王太子やある国の騎士見習い、由緒正しい武家の奴…とかがいるんだってさ」

「へぇ、今回やべえ」


他のテーブルから聞こえて来た話に全員が一瞬にして気を取られた。その後、千聖が言う。


「…ってことを言おうとした」

「本当に?」

「らしいぜぇ。まだ見てねぇけど…国彦、気を付けろよ」

〈そうねぇ国ちゃんは気を付けた方が良いと思うわ。灯茉も気を付けてね〉

「えぇ?なんで僕が心配されるの?ねぇ灯茉」

〈……………………〉

「灯ー茉ー?!」


灯茉の肩を揺らして意見を求めるが灯茉は知ったことかと無反応。クスリと千聖が笑い、朝食が乗ったトレイを持って立ち上がった。


「そろそろ時間だ、行こうぜ」

「あ、うん!武器とってくるね!」

〈妾も行こう〉


国彦も立ち上がり、慌てたように頷く。それに灯茉も立ち上がり、空中に浮かぶ。千聖がトレイ片手に大斧も持つ。


「じゃ、後でなー」

〈遅れるんじゃないわよー〉

「分かってるよ、後でね。行こ、灯茉」


千聖に手を振って国彦が灯茉と共に食堂を後にする。それを見届け、千聖はトレイを回収棚に持って行くために歩き出した。


〈今日の訓練は何かしらねー〉

「さぁな」


スッと千聖と亜矢都の横を候補生らしき人と神が通って行った。千聖は何かを感じ、振り返ったが気のせいだと思ったのか回収棚に向かって歩いた。あいにく、第十五期候補生全員を覚えてはいない。


〈ちーちゃん?〉

「んあ?」

〈どうかした?〉

「なんでもねぇよ」

〈そう?何かあったら言いなさいよ?ワタシがいい女の子、紹介してあげるから!〉

「結構!間に合ってる!てかどうやって知り合ってんだよお前は!」


千聖の怒ったような答えに亜矢都は笑った。


***


厳しい毎日が続く訓練10日目。午前中いっぱい武器を振り回す実技訓練だった。が午後は何故か食堂でミーティングだった。


候補生全員が席につく。人間の姿をしている臣下によってはその後ろに立っていたり空中に浮いていたり席に座っていたりしている。動物の姿をした臣下の場合、候補生の腕の中か肩か頭の上と決まっている。

国彦はと云うと誰かが自分の隣に座る前にいつも通り灯茉が陣取り、その正面に千聖が座り、誰も隣に来ない事を良いことに隣の席に大斧を置いた。


「腹減った」

「さっき食べたでしょ?」

「んだけどさー」


2人がそんな話をする。昼食は先ほど、軽くだが摂った。すぐに始まると言われたので本当に軽く摂っただけだ。後でちゃんと摂ろうと国彦と千聖が話していると小乃刃教官がやって来て全員を見回した後、告げた。


「昼食を摂る時間もなかった事については申し訳ない。本来ならば午後も実技訓練だったが急遽変更になった。理由はこれよりグループを作って貰いたいからだ」

『?』


小乃刃教官の言葉に全員が全員、首を傾げた。臣下の神も首を傾げている。


「明後日から4人1組のチームの実技訓練として模擬試合を行う」

『(ざわっ)』


訓練10日目で模擬試合予告。早くないかと誰もが思い、ざわつく。だがこれは知っている人にしてみればわかる事なのだ。最終的に候補生は部隊に所属する。中には年上や年下がいる。コミュニケーション能力が少なからず部隊の先輩とは必要になってくる。それは部隊の中だけではなく周り、戦闘をしに行った場所にも活かされる。そして、戦闘支部は数年に一度の間隔で他の部隊と4人1組でチームを組み、戦闘に赴くと云うのがある。その予行練習も兼ねているのだろう。


ざわつく空間を小乃刃教官はパンパンッ!と手を叩いて静めた。


「チームは男女混合でも構わん。臣下の神はチームの人数に組み込まない。お前達が使用する武器として模擬試合では扱う。模擬試合は2人VS2人、先に3勝したチームの勝利とする。なお、負けが多いチームにはペナルティを与えるので心して挑むように。本日の午後はチームを決め、明日の訓練はそのチームで行って貰う。本日組んだチームはその後の訓練でも使用するのでよく考えて相手をさそうように。嗚呼、あと再来週の頭にはテストするからな…なんのテストかまでは言わんがな…以上だ!」


そう言って小乃刃教官が一礼すると候補生全員もそれに一礼を返す。小乃刃教官が食堂から出て行くと候補生達は4人1組のチームを組むために動き出した。


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