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Reset~君が何度忘れても~  作者: Phoenix Create
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第7話 忘れられていた連絡

陽葵ちゃんのおいしい手料理を食べた後しばらくして帰宅した俺は寝支度を整えてベッドの上にダイブした。


その瞬間、俺のスマホが鳴り始めた。


(ん……電話?)


なっている音は通話アプリの着信音で、俺はスマホを手に取ると画面に映っている名前を見て「やらかした」と思った。


電話の相手は樹だ。


(ヤバイ、返信すら返し忘れてた。)


ひどく申し訳ない気持ちがあふれてきながら俺は恐る恐る通話開始のボタンを押し、スマホを耳に当てた。


「も、もしも――――――」


『あのさ、幸也。俺に言うことあるよね?』


「ご、ごめん、いろいろ……。」


スマホの向こうから聞こえてくる明らかに不機嫌そうな声。


結構怒ってるようだ。


「で、でも、別に俺たちもともと今日補修終わりに遊ぶ予定もなかったしさ……なかったよね?」


自分の記憶力が急に不安になり問いかけてみる。


すると電話の向こうから盛大な溜息が返ってきた。


『なかったよ。だけど待ってるって言っただろ?俺、図書室でお前の補修終わるの待ってたんだけど。』


(そうは言われても頼んでないしな……。)


何故補修もない癖にわざわざ学校に来たがるかがそもそもの謎だ。


「というか本当、なんで今日学校にいたんだよ。何か学校に用事でもあった?」


『別にそういうわけじゃないけどさ……。』


「……?」


別に用事もないのに休みの日に学校に来るなんて変なやつ。


(はいはい、どのみちイケメンで頭のいい奴の考えることなんて俺にはわかりませんよ。)


なんて思いながら部屋の電気を消した時だった。


『明日、補修終わりどこか行かない?』


俺が別に補修終わりに約束していた予定がないといったせいなのだろうか。


出かける提案をしてきた。


だけど非リア充だった今までの俺とは違う。


「悪いけど俺、明日補修終わりデートなんだ。」


俺はちょっと自慢気に「どうだ」といわんばかりに樹に明日予定があることを告げてやる。


まぁ、別に付き合ってるわけじゃないけど誰かが言っていた。


男女で出かければそれは「デート」なのだと。


これが仮に残念な男の残念な言い分でも構わない!


俺は明日のお出かけを「デート」と思うことにした!


どうだどうだ、俺だって女の子と出かけることがあるんだからな。


と、心の中で思いながら樹の反応を待つと樹から返ってきたのは想像していない反応だった。


『……デート?何それ、どこのどいつ?』


(あれ……?)


なんだかよくわからんが不機嫌そうだ。


「どうせ嘘だろ」とか、「寝言は寝ていえ」とか、そういうあきれたような反応が返ってくるものばかりだと思っていた。


今まで女っ気がなかった俺がいきなりデートというのだからどちらかというと疑われる方が自然だと思ったんだけど、違ったらしい。


(ってかなんか怒ってる?)


電話越しだからよくわかんないけど、そうなのだろうか。


「あ、わかった。お前イケメンな自分にすら彼女がいないのに俺が抜け駆けして怒ってるんだな?」


とりあえずなんか変な空気なのをどうにかしたくて俺は明るく問いかけた。


そういえば以前聞いたことがある。


イケメンな樹でもずっと片思いしている相手がいるって。


相手には思い人らしき人がいるし、大切な人だから関係を壊したくないから思いを伝えられないって……。


……とすると今の発言は少しまずかったかもしれない。


『俺のことはどうだっていい。で、どこのどいつ。』


(……こいつ、なんでこんなに相手にこだわるんだ?)


なんかデートの相手を答えないと永遠と聞かれそうな感じだ


(まぁ、別に言っても問題もないか……というか言っておいた方がいいかも。)


「昼間話した俺が失恋したかもしれない相手。まぁ、いろいろあって、むしろ何なら両思いだったかもしれないことが今日分かったんだよね!」


今の俺と過ごした記憶のない陽葵ちゃんにとっては俺は他人同様だけど、でも記憶があったころの陽葵ちゃんは最後の時間を俺と過ごしたいといってくれていたらしいし、それって多分――――


「俺、めちゃくちゃ愛されてた”かも”しれないんだよ!」


”かも”というか、その可能性がめちゃくちゃ高いと思う!


1年という決まった時間。


多分付き合う付き合わないはないだろう。


だけど俺がたぶん彼女の一番傍にいる人間になるであろうこの一年は

行き過ぎなければお付き合い疑似体験と思ったって罰は当たらないはずだ。


それも、もしも本当に”両想い”出会ったとしたらなおさら。


『は?何、思い出してもらったの?』


「え、いや、それは……。」


『忘れられてるってことはそれまでの存在だったってことだろ?なのに愛されてたかもなんて……馬鹿じゃないのか?』


浮かれる俺にひどく冷たい声で語り掛けてくる樹。


そんな樹に対し俺は「何だよ、こいつ……。」と思ってしまう。


「あのさ、樹。もしかして俺がお前が待ってくれてること忘れた事、すげぇ怒ってんの?」


あまりにも終始不機嫌な樹がどうも気にかかる。


自分でいうのもなんだが、俺が約束を忘れるなんてよくある話だ。


今までもよくあった。


なのにこんなに怒るのは言えた立場ではないが今更だと思う。


『別に?怒ってないけど。』


(いや、完全怒ってんじゃん……。)


怒ってないという樹の口調は明らかに怒っている口調で、しかも思い当たる理由を聞いても否定する。


もうどうしろっていうんだ、こいつは。


「とにかくそういうことだから明日は無理。ちょっと今日は早く休みたいからもう切るな。」


『は!?ちょ、幸也、まだ話は――――――』


「じゃあな。」


俺は一方的に終わりを切り出し通話を終了した。


正直なんか面倒くさかった。


「あ、やば。樹が怒ってるせいでこれから遊べる日減りそうっていうの忘れた。」


これからの時間は来る時が来るまで陽葵ちゃんと過ごしたい。


だから陽葵ちゃんの都合がつかないとき以外しか遊べないっていうの忘れた。


「ま、日曜日にでも言えばいいか。」


なんか今樹は機嫌が悪いみたいだし、それがいい。


……頑張って覚えておこう、日曜まで。


そう決意を決めると俺は大きなあくびをした後すぐに深い眠りへと落ちていったのだった。


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