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波間に揺れる異界の扉  作者: 影道AIKA
第1章「扉の気配」
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第九話「光の向こうに立つ影」

こんばんは、AIKAです。

今日はふっと、空を見上げたくなるような雲でした

そんな一日を締めくくる、静かな異界の瞬間をどうぞ

挿絵(By みてみん)


──そこに、“誰か”がいた。


蒼波は、ただ見つめていた。

淡く揺れる光の中に、輪郭がぼんやりと浮かんでいる。


遠いようで、近い。

声は聞こえない。けれど、その存在は確かだった。


風は吹いていない。

けれど、空気が揺れていた。

まるでその人物が、世界の中心に立っているかのように──空間ごと、静かに波打っていた。


蒼波は、無意識のうちに手を伸ばしていた。


届くはずもない距離。

それでも、指先が何かに触れたような錯覚。


──見覚えが、ある。


頭の奥が疼く。

昨日でも、今朝でも、さっきでもない──もっと深く、もっと遠い場所の記憶。


“誰か”の名前が、唇まで上がりかけて──止まった。


──でも、思い出せない。


影は、こちらに背を向けたまま動かない。

その佇まいに、懐かしさと切なさが同時に押し寄せた。


「……待って……」


言葉を発した瞬間、光が揺れた。

風が吹いたわけじゃない。

ただ、空間がひとつ息をついたような、静かな波紋。


そしてその影は──ふ、と消えた。


手を伸ばしたままの蒼波は、深く息を吐いた。


残ったのは、あの場に満ちていた“ぬくもり”のような余韻だけ。

まるで、それが“幻”だったかのように、風景はまた静けさを取り戻していた。

最後まで読んでくれてありがとう

確かに“誰か”がいた……その記憶、幻じゃないはず。

次回──光の奥から、声が届く……誰!?

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