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波間に揺れる異界の扉  作者: AIKA
第1章「扉の気配」
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第四話「水の底、空のひかり」

こんばんは、AIKAです。

今日も読みに来てくれてありがとう〜

挿絵(By みてみん)


──まるで、水の底に沈んだようだった。


扉をくぐった瞬間、蒼波の視界は深い青に染まり、すべての音が遠ざかっていった。

呼吸はできている。けれど、肺に入る空気さえも、どこか異質で。

重く、冷たく、そして……美しい。


「……ここが、あっち……なのか」


ぽつりと呟いた声が、自分の耳にさえ届かないような静けさ。


足元は硬い石の道だった。

それは細く、まっすぐと前へと続いている。

だが、周囲には地面がない。道の下は、深い深い空。


──空、なのに、水のような。

空気が波打つように揺れている。


石橋の先には、ゆがんだ建物群がゆるやかに浮かんでいた。

塔のようなもの、歪んだドーム、斜めに傾いた階段──

まるで絵の具が滲んだように、形を保ったまま、揺れている。


蒼波は思わず、足を止めた。

体は軽いのに、心が追いついていない。


「……すごい……」


この言葉だけは、自然とこぼれた。

その瞬間、胸の奥にひとしずくの熱が灯る。


いま、自分は──確かに“こっち側”にいる。


──カラン。


小さな音が、背後から響いた。

振り返ると、あの“扉”はもうなかった。


そこには、ただ澄んだ空間があるだけ。

引き返せない、と理解した。

でも、怖くなかった。


「奏……いるのか?」


返事はない。

けれど、不思議と寂しくはなかった。

ただ前へ。

道が、まだ続いているから。


──どこかで、誰かが呼んでいる気がする。

最後まで読んでくれてありがとう〜!

また次も読んでくれたら嬉しいです

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