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74 早速すれ違う二人。



 お待たせしました。新章です。


 章タイトルをカタカナにしたのは、恋人同士になった二人がギコチナクも関係を深めてゆく。という章だからです。


 成長シーンや戦闘シーンが好きな方はすみません、もう少しすると激しい展開になっていきます。


 ダンジョンコアを無事に食らい終え、『ゴブリンエリートダンジョン』が消滅したのを確認してから数時間。負荷代わりにと大家さんをおんぶしながらひた走り、朝になる前には、


 俺の故郷である『赤月市』に到着。


 今は大家さん宅の前にいる。


 俺は魔食によって肉体を強化してるし、それはグルメモンスターという化物的称号効果によって急激に強化された肉体をカバーするため器礎魔力が身に付くという、一般の覚醒者とは逆アプローチ的かつ凄まじい成長を遂げていて、さらには【疲労大耐性】をLV4にまで上げている。


(まあその『グルメモンスター』もなくなっちゃったし【界命体質】の影響で魔食自体出来なくなっちゃったみたいだし。今後どうやって成長するかよく分かってないんだけど……にしたってチート過ぎだよな。我ながら)


 人一人おんぶしてここまで休みなく全力疾走を続けて殆ど疲れないってのはさすがにな。


(世界がこうなってまだ5日の段階でこれか。我ながら結構な化物になったもんだ…) 


 という訳で。


 詰め込みすぎというか生き急ぎ過ぎ感が否めないし、大家さんにも無理をさせたし、せっかく恋人同士になったしで。


 今日はもう、彼女の家でまったりするつもり……だったのだが。


「あう、これは ひどい」


「うぅ、すみませんっ(汗)俺が玄関をぶち抜いたから……なのにそのまま放置して…だからこんな事に…」


 よく考えなくてもモンスターやら空き巣やらが入り放題の状態で放置していた。中に入ってみれば物色または破壊された後となっていて、安全な寝床として使えそうにない。


 仕方ないので、というかこのまま立ち去るのも悔しいので『もうここには戻らない!』という前提のもと、今後日用品として使えそうな道具などが残ってないか家の中全部を物色、厳選、収集したのであった。


 つまりは結局、休まなかった。まあ俺はさっきも言った通りステータスのお陰で疲れないからな。というか大家さんに申し訳ない気持ちが勝って休む気になれない。でも、


『おいっ、まだあるのかっ?いい加減疲れたのであるがっっ?』


 という、倉庫ば…もとい内界マスターとなった無垢朗太の愚痴混じりの大活躍により、それら全てを無事、【封物庫】に収納出来たのは良かったな。

 結構詰め込んだつもりだったんだが、『空き容量はまだまだありそうだ。忌々しい事であるがっ』って無垢朗太は言ってたし。いや、取得した時は拍子抜けしたもんだけど、これは結構な良スキルだったかもしれん。


「まあ選択肢に『大』拡張ってあったし、記憶が飛ぶくらいに苦しんだんだから。それなりに役立ってもらわなきゃ困るか」


『いや、そうやって役立てば役立つほど困る事になる気がする主に我が。内界マスターがただの倉庫番となりそうな予感が凄くする』


 まったくグチグチくグチグチ……いい加減ウザくなった俺はオーナー権限を発動。


「 ………。」


『…無視っ!?いや我、管理人ぞ?オーナー的に意志疎通とか大事じゃない!?』


 そう、無視した。無反応を貫いた。


「均次くん…そんな冷酷な顔も出来る…」


 ありゃりゃ、大家さんまで驚かせてしまった。でも、


「時には非情が必要な時も、あるんです」


「?ごめん、何の話?」


『非情っ?こうなると『当たりが強い』レベルでないよね?『酷い扱い』だよね?』


 もうそっち系の喋り方で通してくんねえかな。いつもの古くさい感じじゃなく。


 …という感想を抱きつつオーナー権限を発動し続け数十分。今は俺の部屋にいる。

 少し時間がかかったのは道中でモンスターを数体狩ってたからだ。その間も無反応であることに神経を注いでた俺は、


「あ、しまったっ、」


 アホな事に、そこで気付いた。


「どうしたの均次くん。」


「いや、その、俺、布団一組しか持ってなくて…大家さんちで収納しましたっけ?寝具の類い…」


 一応聞いてるけど多分してない。高い『知』魔力は伊達じゃない。いや伊達だった。むしろポンコツの類いだった。だってこうして一番肝心なもん忘れてんだから。


「ううん。ベッドも土足で踏み荒らされてて、どろどろだったから…置いて、きた。」


 うう、やっぱり。


「あちゃー、じゃあ!俺は床で寝ます!大家さんは布団で…」


「今さらそんなっ、遠慮する間がらじゃ、ない。私達はもう…ゴニョゴニョ…」


「や、でも、早いとこ魔食しとかなきゃってのもありますし──」


 相当に無理なレベリングを強いたからな。大家さんの肉体にはかなりの負担をかけたはずだ。だから早いとこ魔食してもらわなければならない。


 魔食すれば内臓にさらなる負担を強いる事になるんだが、今の大家さんは大量にレベルアップして器礎魔力が大増している。魔食する準備は出来ている。


 そう、1日で、1レベルから30レベルまで上がったのだ。こんなの前世でも聞いた事がない。それに伴って急増した魔力が肉体や精神や魂に、どんな影響を及ぼすか不安があった。だからの『まずは魔食』だったのだが──



 ──後で知った事なんだけど。ここでゴニョゴニョ自己没入していた大家さんは『魔食しとかなきゃ』の部分を聞き逃していたらしい。


 このたった一言を聞き逃しただけであんなにも、俺達の勘違いは連鎖して──ホント、コミュニケーションってのは難しい。



「大家さんは(魔食するのは)その、『初めて』だから…」


「…やっぱり、そっちも、その気で…っ!た、確かに『初めて』だけど…っ!(そんな、直球で、言われると…)」


 そりゃ俺だって同じお布団で寝たいけど。それはやめといた方がいい。だって魔食した後は老廃物を大量分泌して体臭が大変な事になってしまうから。


 いや俺は別に慣れてるしいいんだけども。大家さん的にはどうだろう。そんな状態で同衾するのは恥ずかしいはずだ。


「だから、今日は──」


「でもでもっ、覚悟ならっ!…完了っしてる…痛いって聞くけど…でもそれだって、今はステータス上がって!大丈夫!…多分…」


「いや、痛いっつーか、苦しいんですよ。特に『初めて』だとこの世のものとは思えない…っていうか…」


「そんな、に…っ!?」


「それに、凄く汗もかくし…」


「汗は…確かに…でも!下着の代えなら、さっき家で!というか…え?」


「え?どうかしました?」


「均次くん今…『大家さんは』…って…」


「? はい」


「もしかして、均次くんてば……『初めて』じゃ、ない?」


「ええまぁ。それなりの回数は重ねてますね」


「…そんな自然に言うっ?そんな…に、慣れてる、の…?」


「いや慣れる事なんてないですよ(笑)才子にも結構手伝ってもらってるし──」




「(ガーンっ!)」




 あ、『ガーンっ!』って顔…それ好物。かわええなぁ…つか、


「大家さん、なんで『ガーンっ!』て顔を──」


「均次くん!」


「う、はい?」


「…手伝うってナニを…いやそれより、いつから!それに結構って!どのくらいの、頻度で!?」


「いや鬼怒恵村にいた時に?二回ほどですけど」


「まさかの最近!?しかも同じ屋根の下…!いつの間に…!」


「いや一回目は外でしたけど?」


「外で?屋外で!?」


「ええまぁ。才子は嫌がってましたけど」


「そりゃそう!てゆーか……え?均次くん…え?…均次くんんん!?まさか無理矢理に…あぅ…ダメっ!そんな事…っ!」


「はい…俺も反省しまして…次の時は平身低頭、誠心誠意、真心込めてお願いしました」


「いや、お願いしても!じゃない!謝る前に?むしろ一回目でしょお願いはっ!変!順序っ!」


「…えええ?あーでも、それでか。あんなに頼み込んだのに嫌がりやがったんで結局、脅す形に…。でも、次の日には喜んでましたよ?」



「おど…っ!よろ…っ!均──ッ!」





 …………




「いや、あの、どうかしました?急にフリーズして…大丈夫ですか大家さん?」


「──だ…じょぶ…なぃ…次くん……均次く、無理矢理は…でも、喜んだなら… … …いい訳ないっ!才子ちゃんもどうかしてるっ!ああもう、なにがなんだか…!…いややっぱり均次くんが禁じくん!どうして、そんな…っ!」


「いや、やっぱりこんな世界になったんだから、使えるモノ(魔食材)は使わなきゃ…」


「使うっ……女の子に向かってそんな…っ!ダメ!」


「いや、はい、そうですね、女の子にも試してもらう以上、先ずは自分で試しました。そりゃもう何回も──」


「う?え?試してもらう?『モノ』ってもしかして均次くんの『モノ』……それを…自分で使った…何回も…」


「いや、俺のモノ…というか(魔食材は)みんなのモノだし、嫌がられても食べてもらわなきゃだし、だったらまずは、自分かなって」


「色々、自由っ …ハァ…でもわかった…悪気はない。そう言いたい均次くんは。(天然の変態…うーっ、なんて人を好きになって…私は、どうしたらっ)」


「そりゃもちろん悪気なんて…特に大家さんには、なるべく苦しんで欲しくなくて…だから、俺…」


「いや今、凄い苦しんでるよ?凄いショック受けてる!凄い魂とか心配っ!もう今にも壊れそうっ!てゆーか!どんな健気でそれ、言う!?」


「え、ええええええ!?なななんかすみません!そ、そ、それじゃぁ、やめときますか?今日のところは!ま、また次の機会にでも…っ!」



「ダメ!今日する!こうなったら引き下がれない!」



「それほどの覚悟っ!?」


「そう、これは覚悟!(だから、帰ったら才子ちゃんと…つける!決着をっ!)」


「いや確かに大事ですけど、そんなムキにならなくても…」


「ううん!大事な事!ムキになって当然の事!キレイ事で済まされないっ!攻める時は、攻めなきゃっ!(…って雑誌に書いてたしッ)」


「いや確かにキレイではないですけど…(かいた汗はマジ汚いし臭いし)子供には毒ですらありますし(※チュートリアルダンジョンが消滅するまで、13歳以下は魔力に覚醒しないため)でもやっぱりそんなムキになる事じゃ…」


「子供に毒……それは…(良かった。まだ、分別はあった。私みたいな未熟体型な女子でもいいって、言ってくれるから…そんな性癖かと)ちょっと…心配してた」


「いや、大家…さんは…その……立派な大人です…それに、(魔食を)するなら器礎魔力の成長が前提にあって、それもクリアした今なら…」


「う!そのための、パワー…レベリング、だった…の?」


「ええまあ」


「くぅっ!(どれほどしたかったの!でも、もう、怯まないっ!)私だって、私は、どんな均次くんだって!関係ない!そう…均次くんのためなら私だってっ!頑張れるんだからっ!だからっ!待ってて!準備…するっ!」


 と、何故か恥ずかしそうに大袈裟な事を混乱気味に言いながら、大家さんは風呂場に向かおうとしてるけど。


「あの、どうせ汚れるんだから風呂は後でいいですよ?」


「…っ!汚れるって…いうのは、知ってるけど…ハッ!もしや…においが残ってる方が好き?(そんな人がいるとは聞いた事、ある)けど…まさか…」


「はあ?…いや、臭いのは嫌です。でも勢いのが大事ってゆーか。どうせ臭くなるからぱぱっと終わらして、それから風呂かなっていう…」


「ぱぱっと…っ?そんな雑な扱いをっ!?」ギリギリギリギリ──



 うお、歯ぎしりまでっ!どうしたの大家さんマジどうしたの!?



「あ、あの、お、大家さん?な、なんか怒ってます?よね?さっきからなんか…」



 こえーよスゲーこえーよ俺なんかしたかな?



「も…っ、もうッ!いいっ!」



 ──バタンッ!



「なんなんだよ…一体…」








『(…アレ、絶対勘違いしとるよね?でも言ってやらんもんね。我って根に持つタイプゆえ)』



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