表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/116

【鬼怒恵村】 新生鬼怒恵村のプロローグ。★


 少し間が空きすぎるのもアレなので、章間に入れる内政パートを投稿します。


 あとこれまで投稿した回のステータス表示を全体的に改稿しました。ストーリー的には変わらないですけど、興味のあるかたは、見てみて下さい。

 

 追記 ステータス画面ある回に★マークつけました。




「「きゃー♪」」




「こらぁ!待ちなさい!このエロガキ!」

「け、けいちゃん!どぅだった?」

「おぅ、よかった!スゲーおっきくて、やわこかった!」

「おぽー、じゃ。ぼくはおしりを…」


「させるかぁー!」ぺしんッ!


「ふぁ…ぶった…まださわってないのにぶったぁぁあびえぇぇぇえん!」

「ふー…悪いけど、あどけなさに絆されない美女だっているのこの世には」


「くそー!りんぼうのかたき!」ぺろん。


「ぅっきゃー!また触った!こんのエロガキ!待ちなさ──」




「──ごっそさん。今日も旨かったぞ」カタ。




「はいお粗末様──ってお兄ちゃんはお兄ちゃんで暢気に食べてたわね!」

「ええ?…俺が怒られるの?つか、ガキ相手にムキになんなよ。大人げねえな」

「嫁入り前の妹!貞操の磨り減り!ほらなんか言ってやって!」


「…ハァ~…、しゃぁねぇなおいガキども、あんまオイタが過ぎっと────もぐぞ。ブチンと」


「はわ…な、なにを?」

「ぅ~、どこをだょぅ?」


「お前らの時々固くなるアソコ、に、決まってんだらう?」


「「~~!チ○コっ?」」


「あーやっぱ確信犯だコイツら。おい妹、もっとシバいて苦しゅーない。でも頭はダメぞ。ケツにしとけケツに」


 そう言いながら用事がある風に立ち上がるのを見て、


「え、また蔵に行くの?」

「おう、意外と面白えんだよアソコは…それに非力なりに出来る事はやっとかねえとな」


 そう簡潔に言葉を交わすと、ノっシノっシと太った身体を揺らして居間を出ていく造屋才蔵。それを見送りながら、


 ベシン、「ぃだぇっ!」

 バシン、「いたいー!」 


 とエロガキどもの尻を遠慮なくはたきつつ。


「ほら早く食べちゃいなさい。じゃないと片付けちゃうわよ?」


「ぅーーい」

「はぁ~い」


 とあっさり許して何とかかんとかわんぱくどもを操縦した後は、他の子供達の面倒を見る造屋才子なのであった。


 と、このように。


 あの説明会以降、この鬼怒守邸は村の子供達の託児所…というか、合宿所のような感じになっている。


 何故なら13才より下の子供はチュートリアルダンジョンに入れても試練は受けられない仕様であるからだ。


 つまりステータスを獲得出来ない。


 という事はチュートリアルダンジョンが消滅するまで家から出られない。


そのまま子供達を閉じ込めておくというのはいくらなんでも不健康だし可哀想。


 かといって大人達には村を守るため、各々やる事があって忙しい。


 だったら、チュートリアルダンジョンが消滅するその日まであと二、三日…その間だけでもあの無駄にデカくて広い鬼怒守邸に、匿ってやればどうか。


 人手が足らず世話が行き届かないと言うなら、まだ乳児幼児を子に持つ母達も一緒に住まわせばいい。


 …と、いう事になり、手伝わない訳にもいかない才子は四苦八苦。そんな様子を見て、


「ごめんなさいねー才子ちゃんー」


 とすまなそうにするママさん達に罪はない。自分達兄妹だってこの屋敷の世話になる身の上。だから、


「いいえー、これくらいは、させて下さい」


 と言って柔らかい笑顔で返す才子であったが。


 トイレや食事を一人で出来てあまり手がかからないはずの年長組が羽目を外して、中々手強い。


(…まったくもぅ…)


 遊び仲間と大勢でお泊まりとなれば、はしゃいでしまうのもしょうがないか。


 いや、鬼の目ならぬ親の目が届かないからこうなのかもしれない。


 それとも、慣れない環境の中で子供なりに頑張っている?無理に元気を出してこうなのかもしれない。


 母親となった事などないし、元々が『才蔵愛』を拗らせて基本、他者に興味を持たず生きてきた才子である。


 さらに言えば、思春期手前で親を亡くし、子供心など早々に置いてきた。


 だからだろうか。どうもうまく分かってやれない。もどかしくやりにくい。


 それでも想う事はあって。


(やっぱり、欲しいよね。子供は…なんて…)


 自分にも母性があった。


 それを感じる事が出来て、それを注ぐ未来の我が子を想像して、それを見守る才蔵がいて……というシーンでストップして。


(はあー…あるのかな、そんな未来)


 と、少し虚しく想いながら。それでも大き過ぎる胸を少しだけ暖かくする才子なのであった。


  ・


  ・


  ・



 そんな造屋兄弟より先に朝食を済ませていた鬼怒守義介は今、畑仕事をしている。


 といってもまだ、(※均次の無茶によって)荒れた田畑を巡って餓鬼の死骸や肉片を男衆と一緒になって回収する、という段階でしかないのだが。


 餓鬼の食欲というのは旺盛という言葉では足らなかったようで、作物の殆んどが食い荒らされていて、それを見た男衆はこの上なく落胆したものだった。


 しかし悪い事ばかりでもなかった。


 奇跡的に生き残った作物もあったのだ。そしてその殆んどが、というかまだ収穫前であったはずのものまで実っていた。それも、鬼怒守村ブランドでさえ見た事もないほど、上質に。


(これは…餓鬼の死骸に残る妖気が影響した?のかもしれんの…)


 趣味程度にしか農耕を知らぬ義介の目から見ても、その出来映えは明らかに違っていた。


「という訳で、念のためじゃ。ほれお前、食ってみよ」


「ええ!?」


 無茶振りされて狼狽える男衆。彼らには『農家』ジョブに就いてもらっている。

 このジョブでは【テイスティング(野菜)】や【テイスティング(果実)】というスキルなども覚えられる。その性能は、味見した野菜や果実のステータスが分かるというもの。


 そして『農家』ジョブに就いた者の殆んどが、ステータス獲得の段階でこれらのスキルを取得している。だからの無茶振りであった。嫌がるのも構わず【テイスティング】してもらったところ…、


「おお!?えええ!?いや…マジ…かこれ…いやマジか」


「おいどうした?大丈夫なのか?それ…」「いや食ってみろってほれ」「ってをい!無理やり食わすなょ…ってうめえ!」「えー、ホントか?ムシャ…うわうぅっまあ!」「どれどれ…はわわわわわなんじゃこれなんなんじゃこれうっっまああああ!」


 と、食して害は全くないとステータスで表示されたし、味や食感などは格段に上がっている事も判明したのでこれら新種作物は即、耕し直した畑で育てる事に決定したのであった。


 しかし、


 こうなると餓鬼の死骸も資源として取り扱う必要が出てきた。そう、モンスターの死骸は肥料として使えるのではないか?という意見が出たのだ。


 だからこうしてみんな、「うぇー~」とか「うげー~」とか言いながら、魔力を宿しているせいか腐敗が遅く、妙に新鮮で生々しい肉塊を回収し集積している。


 別の場所で本格的な肥料に改良するためなのだが、それはもう心身共に過酷過ぎる作業であった。しかしその甲斐もあり、



『【精神耐性】を取得しました』



 と、男衆は無事?有用なスキルをゲットした。その様子を見て、


(均次の指示通り、まずは餓鬼の回収作業をさせてみたが…作物といい、スキルであったか…あれといい、…なるほど。これが狙いであったか)


 と、またも均次の事を無闇に感心していた義介の方も、



『【精神耐性LV10】に上昇します。上限到達。【精神大耐性LV1】に進化します。』


「ぬっ、」


『この進化に伴い、派生スキルを一つ取得出来ます。【心撃】と【心壁】の二つから選んで下さい。』


「おおお?」



 元々『祓い師』という副業がら、対心霊の戦闘も経験した事もある義介であったので、ステータスを獲得した時は既に【精神耐性】を所持していた。


 しかし、均次のレクチャーによるとスキルレベル9というのは、進化前で中々上がらない状態であったはず…だからそう簡単に上がるとは思ってなかった…それが上がって。


「おおおっ!」


 と、周りが少しびくつくぐらいの大声で喜ぶ義介なのである。


 彼の本業は結界守護者、当然それでは食べてゆけず、副業としてモノノ怪の類いを討ち祓う仕事をしていたのだが、その戦い方は他の祓い師とは一風違って『雷気を纏わせた妖骨刀で斬る』という力技。


 この妖骨刀とは、狩った妖怪(※霊と違って血肉はあるが、魔力を宿したために現世との繋がりが曖昧となり、通常武器で打倒できない超常生物全般の事。西洋で言う悪魔や吸血鬼、狼男などもこれに含まれる)の骨肉と特殊な鉄を合わせ、雷気の妖力(※雷属性の魔力)により鍛え上げた刀の事であり、この武器製作術も鬼怒守家秘伝の一つ。


 そして祓い師界隈で鬼怒守家と言えば、代々宿す妖怪と同じ力をもって妖怪を倒すとして有名であった。


 しかし通常の祓い師達のように対心霊となると大して活躍出来ない事でも知られていて、均次の前世で『鬼』が簡単に取り憑けたのは、それも大きな理由として挙げられる。


 あの『鬼』のような存在は、国家対策レベルの大怨霊。そんな災厄が興味を示す程に強大な力を持っていながら、それに対抗する術を持っていなかったのだ。


 義介自身は均次の前世で自身にそんな災難が降りかかった事は知らないでいる。だが代々にして祓い師をしていながら心霊に弱い家系である事は密かにコンプレックスとしていた。


 なので迷わず【心撃】を取得。


 この時は望外の褒美を神から賜った気持ちになったものだった…が、


「ふぶぅ~…、いや…さすがに…これは…堪えるぞ…」


 と、吐く息は喜びとは裏腹のもの。


 そう、精神的負荷もなく【精神耐性】は進化したりしない。



 義介は義介で、難儀していた。



 均次から頼まれていたアレ。破損が少ない餓鬼の死骸から、肝臓を摘出するという、グロい事この上ないブラック作業。


 義介はその殆んどを一人でやるハメとなっていて、摘出可能な餓鬼の死骸はまだ数百と残っている。


 それなのに一人でやっているのは何故かと言えば…こればっかりは、男衆に無理強いする訳にいかなかったからだ。



 義介は、やり過ぎた。



 昨晩の説明会で彼が煽りに煽ったお蔭で、均次のイメージは裏社会のボスどころの話でなくなっている。『閻魔』というより『悪魔王』寄りに定着してしまっている。


 そんな、均次にとって超アウェイな状態で『餓鬼の肝を抜きとったらんかい』などと強制すれば?


 やってる義介でさえ意味不明なのだ。村人達が抱く均次のイメージは今度こそ恐怖のどん底に…それどころか、恐慌が破竹の勢いで天元突破してしまう事請け合いなのである。


 そんな義介をじっと見つめるヌエとキヌ。


 そのまま何もしないし言わないご先祖様を見る義介の目は、救いを求めて…しかし。


 『知らんもーん』とばかりヌエはモンチ猫形態のままチテテテテーと駆け去っていった。


 それを見て「あらあら~」という呟きを言い訳代わり、白装束美乙女まで姿を消した。


 それを見送る義介は涙目である。


 そんな彼をチラ見する村人達の目はドン引いている。


 あの作業だけは御免だと、誰も目を合わそうとしない。


 いや、うん。


 進化するよね【精神耐性】。


 可哀想。


 だけど自業自得だし。





=========ステータス=========



名前 造屋才子(つくりやさいこ)


ジョブ 魔食研究家LV9


MP 1350/1350



《基礎魔力》


攻(B)83

防(D)57

知(B)83

精(D)57

速(C)70

技(D)57

運   50


《スキル》


【MPシールドLV1】【MP変換LVー】【暗算LV4】【機械操作LV2】【語学力LV6】


【斬撃魔攻LV2】【刺突魔攻LV5】【打撃魔攻LV4】


【精神耐性LV2】


【拙速LV2】【身体強化LV2】


【解体LV2】【魔食調理LV2】【テイスティング(魔食材、魔食料理)LV2】【隠し魔味LVー】


《称号》


『魔力の器』『雷獣の加護』『毒巫女の加護』『乱暴者』


《装備》


『釘バット』



=========================



名前 鬼怒守義介(きぬもりぎすけ)


ジョブ 未定




MP 2880/2880



《基礎魔力》


攻(A)40

防(B)35

知(B)35

精(B)35

速(S)45

技(B)35

運   33


《スキル》


【MPシールドLV2】【MP変換LVー】【暗算LV3】【機械操作LV2】【語学力LV4】


【斬撃魔攻LV7】【刺突魔攻LV7】【打撃魔攻LV2】【雷属性魔攻LV3】【心撃LV1】


【精神大耐性LV1】


【雷迅LV3】【身大強化LV2】


【雷怪魔法LV1】【専用武具製作術(雷・毒)LVー】【目利き(独自)LVー】


《称号》


『英雄の器』『雷獣の加護』『毒巫女の加護』『結界守護者』『無骨者』


《装備》


『鬼怒守出水(いずみ)作・剥ぎ取り刀禿光(とくみつ)

『鬼怒守義介作・妖骨刀隼雷畆(はやらせ)


《重要アイテム》


『ご先祖のお守り』


=========================


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ